久しぶりのお台所の必需品です。
ネットを見ていたら妙なことが書いてありました、このブログをお読みの方は大丈夫と思いますが一応書いておきます。
「妙な」という内容は、刃物の刃先は目に見えないくらいの「のこぎりの刃状」で、これが欠け落ちて真っ平らになってしまうと切れ味が落ちる、と言うものでした。
ご丁寧に、金属を削ったような、鋸の刃のような「使用前の写真」と、「真っ平らな使用後」の写真が添えてありました。
以前、私が書いたように、包丁が切れなくなるというのは「刃がつぶれてしまう」または「刃が欠けてしまう」から切れなくなるのはお分かりでしょう。
これは太陽の光を刃に当てて、反射を見れば一目瞭然、太陽は台所の照明より格段に明るいので老眼でも見えてしまいます。
最初から鋸のような刃だったら、お刺身の切り口につやなど出ません。
また、鋸刃が良いのだったら仕上げ砥石なんて要りませんし、刃が欠けると鋸になるので切れが良くなる?そんなことは無いでしょう。
いつも妹宅から包丁研ぎの依頼が来ます、今回は2本持ってきました、どちらも使い込んで細かく刃こぼれしていました。久しぶりに「荒砥石」の出番がありました。
「使い込んだら平らになる包丁」見てみたいものです。
もう一つは、砥石は砥汁を出して使うなどと、ネットでもっともらしいことを書いています。
天然砥石ならあり得ますが、天然砥石を使っている人がこれを読んでいる訳がありません。
丁度、家の包丁につぶれが出て、切れなそうだったので研いだところです。
中仕上げから仕上げを掛けたところです。茶色が6000番、黄白色が8000番です。
仕上げ砥石は、使うとき水をかけるだけなので、漬け置きはしません。
角度を少し変えてみましたが分かるでしょうか、右下から斜め45度で前後に研いで、裏刃の返りを軽く引いて終わりです。片刃の包丁です。
特に下側の仕上げ砥石は黒い線がわかると思います。これは黒い砥汁?な訳はありませんよね。
刃についた6000番のざらつきを8000番が削った包丁の金属粉なのです。
刃が往復する間に平らになってゆくので、黒い線はだんだん出なくなります。
黒いものは刃の方にもついていて、水を流しながら手で拭うと指紋に入ってしまうくらい細かい金属の粉です。
これは人工砥石ですが、天然砥石でも砥汁が有ると、刃が浮いて石の本体にあたらなくなるので上手く研削できません。
そもそも削れてしまうような砥石は、石が削れて凹むので、刃先が丸くなってしまいます。
また、平らな砥石から粒が落ちて石の上にのっていると、刃面に傷が残ってしまいます。
ですので数回擦って黒くなると砥石を洗います、砥石を交換するときは水を変えます。
荒砥から仕上砥に替える際に粗い粒が残ると、その傷を消すのに砥石の順番を戻さなければいけないからです。
それから、番手の高い砥石は研いでいると匂いが出てきます、刃の錆を防ぐ弱アルカリ成分だそうです。
「研ぎ」には、少しだけコツが必要です。
石の全面を使って常に平らにしておく、使った後は同じ番数か近い番数で擦り合わせて修正します。
石の真ん中だけ使うと、両端を削って捨てなければならないので修正に時間が掛かるし、高い石がもったいないです。
「コツ」には理由があるのです。
わからないことは他人に聞けばよいのです、ただし聞く相手は良く考えて選んでください。