BLACK SWAN

白鳥のブログ - 日々の世界を徒然と

知性間戦争(4) ― 『アクセル・ワールド』は「知性間戦争の成れの果て」の物語?

2020-09-24 23:18:28 | SAO/AW
このエントリーの、その1その2その3で見てきたように、SAOにおける「知性間戦争」を語ろうとすると、勢い、アクセル・ワールドのことばかりに触れることになる。

その理由は、SAO本編ではまだ、知性間戦争については、明示的に何が起こるのか、その徴候すら描かれていないから。

対して、AWでは、ブレイン・バースト2039という世界の謎の鍵をにぎるものとして知性間戦争が、すでに何度も言及されている。

結局のところ、『アクセル・ワールド』という物語は「知性間戦争の成れの果て」として描かれた世界、ということになる。

いわば、アクセル・ワールドは、スターウォーズにおける最初の3部作(エピソード4から6)にあたる。

一方、ソードアート・オンラインは、なぜダース・ベイダーは誕生したのか?という前日譚を描いた、いわゆる「プリクエル」(エピソード1から3)に該当するというわけだ。

その結果、現状において知性間戦争について触れようと思ったら、勢い、アクセル・ワールドについて話さなければならなくなる。

それゆえ、知性間戦争は、SAOとAWの間をつなぐミッシングリンクという位置づけになる、というか、ならざるを得ない、という次第。


ということで、すでに、その1、その2、その3で、触れたものも含まれるけれど、AWの中で知性間戦争ないしはSAOの世界を想像させるネタを思いつくままに挙げておくと:

●「フラクトライト」や「心意」というSAOアンダーワールドに登場した言葉が登場する。

●AWのニューロリンカーは、SAOのソウルトランスレーター(STL)の発展した技術であることが明示されている。

●ニューロリンカーの開発会社はSAOに登場したレクトとカムラ。レクトはアスナの実家が経営する会社、カムラは、黒雪姫(AWのヒロイン)の実家が経営する会社

●アスナの通う高校に、黒雪姫に容姿のそっくりな神邑樒(かむらしきみ)が転校。

●アスナと神邑樒がもともと通っていたエテルナ女学院は、黒雪姫とその姉も通っていた学校。

●黒雪姫のアバターであるブラックロータスの剣技の名には「スターバーストストリーム」のように、キリトがアインクラッドで身につけた剣技と同じ名前のものがある。

●その剣技を黒雪姫に伝授した師匠であるグラファイト・エッジの流派は明陰流(アインりゅう)。これは、多分、アンダーワールドでキリトがユージオに教えたアインクラッド流のもじり?

●グラファイト・エッジが黒雪姫に与えた「SSSオーダー」というハッキングソフトに浮かぶ紋章は、星王キリトの紋章と同じ図柄。

●このようにグラファイト・エッジというアバターはどうにもキリト、それも星王キリトの関係者臭い。ただし、作中では《同位体》というカテゴリーに置かれるといわれ、これも星王キリトのコピーっぽい印象を与えている。

●黒雪姫は、神邑姓の母の卵子と父の精子から生まれた子だが、人工子宮で育てられ、その時点で、《魂の複製実験》の被検体として、魂を第三者のフラクトライトで上書きされている。さらにうなじに、生年月日(実際には人工子宮から出た日)である「20320930」の数字とバーコードが記されている。この「9月30日」はアスナの誕生日でもある。


・・・という具合。

以前は、AWとSAOの関係はパラレルワールドである、と言われていたのだけれど、これほどまでに両者の間を直接つなぐ情報が次から次へと開示されると、さすがに両者の間にダイレクトな関係がない、というのはもはや無理だと思う。

作者の当初の目論見は、物語が進むうちにいつのまにかなかったことになるw

それは、当初は、アインクラッドのパラレルワールドのやり直しと言われていた『プログレッシブ』の内容が、直接、ユナイタル・リング編で言及されたりしているところにも見て取れる。

もちろん、それでもなおパラレルワールドであるといる可能性があるとすれば、それは、SF的には半ば禁じ手だけれど、アクセル・ワールドはSAOの登場人物、あるいは誰かのフラクトライトが見た夢、すなわち「夢オチ」だった、ということくらいではないか。

でも、AWがSAOの中で見られた夢とわかった時点で、AWの物語のほとんどが茶番になるので、そのときの炎上ぶりを想像すると身震いしないわけにはいかないw

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Re:ゼロから始まる異世界生活 2nd season 第37話『魔女たちの茶会』 感想2: 7人の魔女が勢揃いする第38話が今期の最終話。そしてエキドナが諸悪の根源!

2020-09-24 14:21:58 | リゼロ
リゼロ、今期、もう1話、残っているらしい。

いやー、勘違いしていた。

(なので、37話の感想1も、そういう風に見直して。)

感想3も加えました)


でも、そうなると、37話の最後に、エキドナの「魔女のお茶会」にサテラが登場したところで終わっていたのも納得。

次回、7人の魔女の間での争い、というか「サテラvs残りの6人の魔女」の争いがひとしきり描かれた後、スバルは現実の世界に戻り、再び、このクソみたいな聖域の攻略にむかう、ということで。

そういう意味では、37話で明らかになったように、要するに、この4章のもろもろの問題の諸悪の根源はエキドナということだよね。

聖域をつくったのもエキドナ

だから、試練をつくったのもエキドナ

リューズたちをつくったのもエキドナ

ベアトリスをつくって、図書館で待ちぼうけさせたのもエキドナ
(ついでにパックをつくったのもエキドナ)

ロズワールをあんなふうにサイコにしたのもエキドナ

で、そのロズワールがエルザとメイリィを使って邸宅を襲わせた張本人で、目的はスバルの死に戻りを使って、なにかを成し遂げようとしているけど、それも十中八九、エキドナが絡んでいるとみてよい。

大兎とかでてきて、それは暴食の魔女がつくった化け物だった、というエキドナが教えてくれた情報も、間違ってはいないけど、ミスディレクション。

そうすることで、スバルの疑念がエキドナに向かわないようにしていた。

それだけでなく、スバルに自分は協力者足り得る存在だと思わせようとした。

それを天然で、呼吸をするようにしてしまうのが酷い。

その意味では「強欲」、極まりない。

きわめてたちの悪い存在。

知識欲が旺盛という点から見ても、エキドナって、一種のマッドサイエンティストだよね。


なので、とにかく4章の攻略には、このエキドナが、意識的かどうかを問わず、貼ってしまった「悪意の網の目」をどうやって崩していくか、だよなぁ。

あとは、ロズワールの真意を聞き出すこととか。

ロズワールにしても、ベアトリスにしても、彼らの破壊力を利用しないことには、力のないスバルには正気がないだろうし。

あ、そうそう、ガーフもさっさと仲間にしないとだねw


しかし、嫉妬の魔女サテラを筆頭に、魔女って、ホント、性悪だよなぁ。

そうすると、相対的にミネルヴァあたりがいい魔女に見えてしまうわけだけど。

でも、魔女に良い魔女なんていない、と思ってかからない、容易に足元をすくわれるってことが、今回の教訓。

スバルは彼女たちの仲の悪さに救われたわけだw

なんともひどい話だな。

でも、この徹頭徹尾、胸糞悪い展開が、リゼロの真骨頂なんだよなぁ。。。w


感想3へ)

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劇場版『冴えない彼女の育て方 Fine』 感想: これは「2次元への愛」のあり方を「3次元での愛」を踏み台にして描ききったラブコメの傑作!

2020-09-24 11:45:37 | 冴えカノ
ようやくブルーレイになったので、『冴えカノ』の最終章を見た。

いやー、よかった!

前から期待していた、恵の「メインヒロインルート」は、あぁ、そうそう、こういうのを見たかったんだよ!ってとても強く思ったw

普通だけど、業の深い女子っているよね、ってw

でもさぁ、そもそも『冴えカノ』って物語は、もともとメタフィクション的要素が強くて、たしかに英梨々にしても詩羽先輩にしても、ゲームやラノベの中からいるよね、というテンプレ・キャラなんだよね。

だから、その2人に重度のオタクの倫也がとにかく惹かれる、というのは、ホント、ただのオタクの習性が投影されているだけのことで。

その確信的に2次元的キャラとして設定された英梨々と詩羽先輩と、もとから現実世界で隣りにいてくれる3次元の恵は、だから、設定の段階で、異なる次元の存在として、すでに描き分けられていたわけで。

その根本的な初期設定の違いが、この映画版では非常にクリアに描かれていた。

いや、もっとざっくり言えば、要するに、英梨々と詩羽先輩は2次元の世界の創造神キャラで、その2柱が倫也の前に現界して今いるのだ、という方が正しい。

だから、仮に、倫也が恵と恋仲になっても、倫也は、いつまでも英梨々と詩羽先輩のことを、愛すべきキャラクターとして追い求め続けることができるし、そこは実は物語の始めから全然変わっていない。

つまり、倫也は、最初から、求め恋い焦がれる対象として捉えるという意味で、英梨々と詩羽先輩のことを「愛して」いたんだよね。

だから、この劇場版の中で変わったのは、そうした倫也と英梨々&詩羽先輩の関係のあり方にようやくきづくことのできた恵の方だったってことで。

つまりは、一般人代表が、オタクの持つ「キャラへの愛情」を理解し受け止めることができた、ということ。

その「2次元キャラに向ける愛情」と「人間である自分=恵に向ける愛情」は両立しうるものである、ということに、恵が気づくことができた、という話。

同時に、倫也もそのことを自覚したという話。

なので、倫也と恵は、最終的に付き合って、婚約まですることになる。

それだけでなく、恵は、倫也の「創造のパートナー」として彼の傍らに立ち続けることを選んだ。

まぁ、要するに、加藤ちゃんは倫理くんに感化されちゃったんだよ、染められちゃったんだよw

でも、一旦染められちゃったら、2次元への愛と3次元への愛は互いに独立して共存しうるものとして認めることができる、ってわかってしまったら、英梨々と詩羽先輩のことを、恵も許せるようになってしまったってことだよね。

だって、英梨々も詩羽先輩も、かしましい妖精さんでしかないからw

で、そんな創造神で妖精さんである英梨々&詩羽先輩からすれば、今度は倫也を、同じく創造神の世界に引き寄せてしまえば、その中でいくらでも(それこそ恵公認でw)、彼との間で愛を交わすことができる。

だから、倫也は最後の場面で、高校時代のようなプロデューサーではなく、ゲームの「シナリオライター」になっていた。

彼もまた、英梨々や詩羽先輩と同じ「創造神」の地平に立つことを選んだわけで。

で、恵は、その創造神の活動を現実世界から支える「ディレクター」を引き受けることになった。

なので、これは、事実上、倫也が、3次元で恵を、2次元で英梨々&詩羽先輩の、都合3人を嫁にした、ということに等しい結果なのだ。

いやー、素晴らしい構図だね。

ここまで、美しく「2次元への愛」を描くことのできた作品ってないんじゃないかな。

しかも、ちゃんと「3次元での愛」を踏み台にして、そことの関係性までちゃんと明らかにした、という点で。

マジ、傑作だよ。


で、そのためにも、この劇場版、というか『冴えカノ』という物語で大事だったことは、倫也が、コンテントを消費するだけのヌルオタではなく、みずから作り手になろうとするキモオタであることが、極めて重要だったことになる。

創ることで、初めて2次元への愛は完成する、ということ。

そうした作り手たちの「創造に向けた情念」、すなわち妄想を、失わせてはいけない、というもので。

要は、「欲望せよ、されば与えられん」ってことで。

その一点で、この作品は、2010年代以後の、ソシャゲで課金されて巻き上げられることが楽しいと思う程度の新興のヌルオタたちを徹底的に批判している。

で、作中でのそうした批判者の急先鋒が、紅坂朱音なわけで。

彼女が倫也に対して、オナニー、オナニー、と連呼するところは、さすがに苦笑せざるを得ないわけだけど、でも、あの場面が、この作品の、映画だけでなく、全物語を少チョするアルファでありオメガであった、ということだよね。

創造とは、自らを愛撫するオナニーであって、それをとことん徹底せよ!ということで。

あの紅坂朱音は作者・丸戸史明の分身だよね。

いやー、丸戸史明、マジで業が深いw

でもその分、この物語の細部まで、心地よい緊張感を伴いながら見ることができる。

そして、「2次元への愛」を理解してくれる3次元の恋人、最後にはパートナーとなった「加藤恵」がどれだけ、作者の妄想の結晶であるかもw

でもこれもまぁ、一種のオタクバッシングに対する内省から生まれた、理解ある3次元の女子、ということで。

うーん、深いなぁ。

多分、多くの自称キモオタの心を、そういうフレーム=妄想が揺さぶったからこそ、結構なヒットになったのだろうなぁ、と納得。

で、よく見たら、この劇場版って、公開は去年の10月だから、もう1年も前のことなのだけど。

でも今書いたように、そこで表されていることが、2次元への愛、つまりは、およそ人間の創作物である人工物にはすべて当てはまる愛のことを扱っているから、全く古い気がしない。

だって、要するに、芸術全般に対する愛のことを扱っているのだから。

で、その芸術愛には、勇気を奮って自ら「創造」の世界に踏み入ることが不可欠だ、と言っているわけでしょ。

いやー、マジでこれ、傑作じゃないかな。

もっと称賛されて然るべき作品であることに気がついた。

マーベラス!!!

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デカダンス 第12話『decadence』感想: 結局、勢いで押し通しただけの凡庸な終わりだった、はぁ(ため息)。

2020-09-24 01:03:30 | Weblog
うーん、なんか、最後は、みんなの力を結集させてオメガを倒そう!、システムに抗おう!・・・で終わってしまった。

デカダンス、もとい、カブダンスw、パーツを集めてるから、てっきりロボになるのかと思ったら、ただのドリルだったし。。。

カブラギが最後に力尽きて倒れてしまった・・・って思ったら、3年後!にバックアップデータのあることに気づいて復活?させられたと思わせての終幕。

いや、ジルさん、さすがに、もう少し早く気づこうぜw

でも、きっとナツメが飛びつく前に、ミナトがカブラギに飛びついたのだろうけどw


ということで、おしまい。

結局、第2話の、サイボーグバレが一番もりあがったところで、後はごくごく普通の、

システムに抗え!
みんな仲良く!

だった。

いやー、ものすごい拍子抜けで脱力感がひどいw

最後のドリルを見ると、きっとグレンラガンみたいなことをやりたかったのだろうけど、うまくいかなかったね。

特に、最後、人間とサイボーグが共存する場面だと、あのデザイントーンの違う存在が一つの絵の中に収めるのは、お世辞にも見やすくない。

というか、みにくい、みぐるしい。

ということで、2話の衝撃で、無駄に期待値を上げた結果、終盤のテンプレ展開にショボさが3倍増し!って感じの終わり方だった。

なんとも残念。

一体、なにをしたかったのだろう?

設定としても、キャラ造形にしても、物語展開にしても、奇をてらっているけれど、それは最初だけで、極めて凡庸なものだった。

がっかり。

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Re:ゼロから始まる異世界生活 2nd season 第37話『魔女たちの茶会』 感想: 強欲の魔女エキドナは人の心がわからないボッチの怪物だった!

2020-09-24 00:08:10 | リゼロ
(注意:リゼロ、今期はもう1話、あった。でも、修正を加えると結構面倒なので、以下はそのつもりで読んで下さい。)

(訂正をを含めて、感想2感想3もアップしたので、そちらもどうぞ。)



******


そうかー、この魔女たちの茶会で、前半クールが終わりかぁ。 

まぁ、きりがいいとといえばいいけど、しかし、やっぱり最後に出てきたサテラが残りの6人の魔女たちに対して何をしでかすのか、このまま続きを見たかったなぁ。

1月まで待つのは辛い。

にしても、第2の試練の「ありうべからざる今を見ろ」、エグいなぁ。

特にスバルの場合は、死に戻りが、単に同一の時間軸を戻るのではなく、死に戻るたびに、スバルが死んだ世界が、そのまま残ったまま、平行世界化していくわけで。

それを知らされたスバルとしては、自分が死んだ後の世界にどれだけの不幸を残したのか、気にかけずにはいられないだろうし、それにどこまで責任を持てばよいのか、にも悩まざるを得ない。

もっとも、他人の感情を理解できないエキドナには、一切合切が、一種のシミュレーションのようにしか見えず、痛みも憐れみも発生しない。

そりゃ、化け物だよな、知識欲の塊の、強欲の魔女エキドナは。

それに懸想するロズワールというのも大概だけど。


あー、でも、お茶会に勢揃いした魔女の姿にすっかり気を取られてしまったけど、このお茶会があったからといって、この第4章の、聖域とロズワール邸の間に複雑にまとわりついた不幸の連鎖を紐解くヒントは、まだ得られていないよね?

つまり、前回までの、もろもろの死に戻りの不幸を正常なルートに戻す方法は、まだ見つかっていない。

それをどうするかが、第2クールの課題になるわけだ・・・

でもそれって、この1クール、なにしてたの?ってことにならない?

なんていうか、今回、ボーナスステージ的に、ラムを筆頭に、過去の名場面と過去の主要キャラたちがワンポイントで登場して、なんだか満足度は高いのだけど、でもそれすら、スバルじゃないけど、うまいこと、エキドナに視聴者も騙されたようなものだよね。

特に、レムの登場とか。

てか、やっぱりレムがいるとスバルの行動が孤独にならないのがいいな、と改めて思った。

もっとも、この4章をクリアすれば、ベティやガーフが、あるいはラムやオットーも、レムの立ち位置につくことになるのだけどねw

はやく、そうなってから後の、5章の物語を見たいのだけど。

それには、まだまだ時間がかかりそうだよなぁ。

魔女因子を得て、魔女の権能を使いこなすようになる鞭使いのスバルをはやく見たいのだ!

ともあれ、次は1月なのかね。

もう少し思いつくことがあったら、あとで書くかも。


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