BLACK SWAN

白鳥のブログ - 日々の世界を徒然と

蒼き鋼のアルペジオ -アルス・ノヴァ- 第12話 『航路を拓く力』

2013-12-24 19:15:04 | アルペジオ
楽しみにした最終回だけど、ちょっと惜しかった。

物理空間での戦闘とはいっても、メンタルモデルのもつ人外的能力を駆使した、サイバーっぽい戦闘、しかも、ほとんとイオナとコンゴウの戦いになってしまった。

なんていうか、魔法戦みたいで。

それも、最終回の今回、本格的に魔法戦になってしまったので、正直なところ、手に汗握るというよりも、ポカン、だった。要するに、イオナにせよ、コンゴウにせよ、手札としてどんな技を持っているかが事前にわからなかったから、なんか今ひとつピンとこない。

しかも、ボッチになって引きこもってしまったコンゴウを救い出すために、戦闘中にもか係わらず、いろいろと「意志」とか「変化」とか、抽象的な概念語を交わし合っての戦闘になってしまった。

要するに、ガンダムとエヴァを足して2で割ったような展開。
あと、戦闘行為そのものは、Fate/Zeroと超電磁砲を足して2で割ったような展開。

そのため、この物語の魅力であった、戦艦戦という、物理戦闘における戦術の展開とそれによるカタルシスがほとんどないものになってしまった。

つまり、今までの、おお!そう来るか、という展開がほとんどなかった、ってこと。

まぁ、これは、メンタルモデルが中心の話になっていたから、仕方のないことなのだろうけど。

でも、もう少し、尺があったら、つまり、2クールが前提だったら、こういうまとめ方はしなかっただろうな、きっと、という意味で、残念。

でも、それを除けば、綺麗にまとめた感じ。
あっさり、振動弾頭がサンディエゴに届けられてしまったのはちょっと拍子抜けだったけど。
この12話で物語的には一応完結させなきゃいけなくて、駆け足になってるところも惜しかったかな。

もっとも、ここまで盛り上がるとは、多分、制作側も想定できなかっただろうから、やむなきかなー、と。

裏返すと、これだけ評判がよければ、このまま「アルス・ノヴァ」の流れで二期製作、って流れもあると期待したい。

それにしても、タカオ、最後の最後でメンタルモデルが再生出来てよかったね~。
ようやく、群像に飛びつくことが出来たw

既に、新生401として共に航海をしてきたわけだから、心情的に随分近くなったと感じていたのだろうけど、その分、フィジカルに感じることが出来なくて苦しかったのではないかと思うので、そりゃ、飛びつくよね。

ただ、10話のことを思うと、もう少し尺があったら、ちゃんとその場面も描けるとよかったのだけど。つまりは、あと15分くらい欲しかった。

しかし、キリシマ、もう、キリクマであることがアイデンティティとなってしまったのだろうか?

メンタルモデルの面々が一堂に会する、冒頭の、コンゴウとの概念伝達の場面でもキリクマのままで登場。振動弾頭をアメリカに届けた場面でも、キリクマのまま参列。他の面々に比べて一生懸命歩いているのに笑った。アンダーからのショットがそれを強調していたのも面白い。

で、結局、キリシマ、ハルナ、蒔絵は、アメリカに残ったのかな?あの椰子の実の海岸はサンディエゴ?
そうすると、ナノマテリアルを新規に獲得できないこともあったのだろうか。。。
まぁ、蒔絵との友情を優先した、ってことかな。

「面倒な思考ルーチンになっちまったな」

といいながら、そのくせ、この面倒くさい思考ルーチンが最も気に入ってしまったのがキリシマで、それを受け入れるにはキリクマの外見をそのまま選択したのかも。

まぁ、キャラ的にはちょっとタカオと被るからね、って事情もあったのかもしれない。

・・・と、最終回を振り返ったわけだが、
あー、しかし、終わってしまったか。。。

やっぱり、この物語は、このままもっと見たかったなー。

もう1クールあるなら、今回のメンタルモデル戦も、なるほど、そういう戦い方もあるのか、ってことで、とっても納得できたんだけどね。

どうやら原作だとヤマトも登場するみたいだから、それらの設定を活かして、是非、二期をお願いしたいところ。

その場合は、401のクルーには、メンタルモデルの面々もそのまま、是非参加して欲しいところ。できれば、ハルナ、キリシマ、蒔絵、も参加してほしいなぁ。
もちろん、ピンチになったら、友軍コンゴウの登場も含めてw

それにしても、ホント、完全なるダークホース。
当初は全く気にかけていなかったけど、きちんとドラマを埋め込んだ良作だった。

勝因は、メンタルモデルの物語にしたところだろうね。

なんていうのかな、人間と出会った戦闘女神(バルキリーとかアマゾネスとか)が、人間と接触し、どうやって人間と交流し相互に信頼を得ていくのか、その結果、生じた女神の間の歪をどうやって解消していくのか、・・・、という感じで、叙事詩や神話のような構成になってしまったところがよかった。

期せずして、その、人外としてのメンタルモデルを描く上で、フルCGという手法も逆に生きていたし。

不思議なのは、途中から、きちんと人間?ドラマが脚本的に作られていたから、見ている側も、もうこれがフルCGとか気にならなくなってしまって。だから、これは、感情移入をさせる上でヒューマンな物語に作りこんでいったところが上手かったのだろうな、と思う。

裏返すと、つくづく物語が大事なんだな、と思った。

久しぶりの快作、傑作。
物語的にも、表現的にも。

是非とも、二期をお願いしたい!


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キルラキル 第12話 『悲しみにつばをかけろ』

2013-12-20 17:17:48 | Weblog
いやー、これも、今期のダークホース。
というか、暴れ馬、っていう方がいいかな。

正直いって、毎回面白いとは思わない。
むしろ、多くの回が、あまりの昭和蒸し返しテイストでうんざりさせられることの方が多い。
でも、時々、4回に1回ぐらい、おお!、って思わせられるところがあって。
その1回のために、ここまで付き合ってしまった、という感じかな。

そういう意味では、この12話は見応えがあった。

前々回あたりから、なんだまた四天王と脳筋なバトルかよ、と思っていたところで、針目の乱入で全く異なる方向へ話がずれていき、その針目が流子からすれば父の敵だった、というのは、おお、1クールで引っ張った謎をここで解明してきたか、と思ったし。

その結果、復讐心に煽られて暴走してしまった流子を平手打ちの連打で正気に戻したのがマコだったわけだけど、その直接の動機が、ケンカ部回の時のお返し、というのだから、参るw
だって、あの回、なんだよ、これー、と思うくらいアホ回だったからw

てな具合に、バカな話を画力とむちゃくちゃな展開で、つまり「勢い」だけで見せてるだけと思いきや、要所要所で、そのアホ描写も、デフォルメされた(昭和な)画風も、ちゃんと意味があった、ってことになるんだよね。

いやー、上手いのか、下手なのか、わからない無茶苦茶ぶり。

でも、間違いなく、カタルシスはある。
それも、絵、展開、構成、物語、セリフ、・・・、とそれぞれに。

そんな感じで、決してベストって思えるものではないけど、しかし、何か、常に引っかかる感じのする作品。もっとも、評価が分かれるのもわかるかな。ビミョーなところも多いしw

で、よく考えると、このキルラキルは、ある意味、アルペジオの対極にあるよね。
全編セル画にこだわったキルラキルと、全編CGで描いたアルペジオ。
その両方が、ともに物語的カタルシスを伴っている、というのは、結構考えさせられる。

昭和のカタルシスと平成のカタルシス。それらが物語的面白さではどこかで繋がってしまうわけだから。

そう思うと、どちらもラノベ原作付きの、突き詰めればイラストが動いて面白い!ぐらいの作品群へのアンチなんだろうなぁ、とも思えてくる。

いや、もちろん、ラノベ原作つきのものが全て悪いとは言わないけれど。

でも、今期であれば、ISだったり境界だったりは、ホント、止め絵にしたら格好いいシーン、エロいシーンをただつなげただけのようなものじゃない。ああいうのに対するアンチ、という感じはとてもするかな。

そういう意味では、マンガの逆襲なのかもしれないけれど。
進撃の巨人、だってマンガ原作だったしね。

マンガ的カタルシスをどうやって映像に落とすのか、それを現代的(平成的)にCGで追求したのがアルペジオなのかもしれない。

一方で、画風を徹底的に昭和的にすることで、いまどきのスカスカの、ラノベ販促用のアニメとは一線を画そうとしたのがキルラキルなのかもしれない。あるいは、進撃とかね。

そういえば、今やってるシャフトの恋物語のOPも昭和風だったな。

むしろ、昭和的な表現が同時に、頑張る、とか、番長、とか、純愛、とかの、雰囲気をしらけさせないための、安全弁としての記号なのかもしれない。

アルペジオの方は、物語の進行役をメンタルモデルという人工体にすることで、CGという表現の無表情さ、発展途上にある様子を逆手に取ることで、逆説的に、人形と人間との邂逅をリアルに表現しようとしているように。例の、タカオが「その身を捧ぐ」ところの流れは場所が深海ってこともあるけど、まんま人魚姫の展開だしね。

そう考えると、アルペジオとキルラキルが同時に登場している様子は興味深い。

残念ながらアルペジオは次回で終わりだけど、キルラキルはまだ1クール残っている。その残りで、一体どこまで物語を疾走させるのか、どんなカタルシスを与えてくれるのか。やっぱり気になる。

しかし、それにしても、針目縫のようなキャラを演じさせたら田村ゆかりの右に出るものはいないね。微妙にキャスティングがうまいところもキルラキルのいいところ。あ、その意味では、アルペジオもね。メンタルモデルたちだけでなく、群像役をジョナサン・ジョースターを演じた彼にさせたのは、その真っ直ぐ世界を見つめる目、という感じを出すためにも重要で。

いやー、ホント、この二作が同時期に出てきたのは面白いな―。
いろいろと考えさせられるよ。

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IS 〈インフィニット・ストラトス〉2 第12話 『少女たちの展翅』

2013-12-20 14:43:04 | Weblog
始まる前は、二期か、と期待していたのだけど、その期待に反して、今期、最も残念だったのがこれ。

いや、誰もが思ってると信じてるけど、一期の方が格段に面白かったよね。
まぁ、一期の時は、何の予備知識もなく見て、なんか、結構盛り上がるねー、適当に秘密とかバトルとかラブコメとかあって、バランスよく楽しめるね、という感じだったのだけど。

なんていうか、今期の二期は、もう、お話もなにもないよね。

はい、ここで、バトルです。
はい、ここで、エロです。

という感じで。ホント、各回ごとの繋がりも雑なら、1クール通じての構成も雑。

何も盛り上がりずに、よくわかんないけど、エロとバトルの往復で、はい、今日は時間がきたので、ここで終わり、って感じで。

エロの部分を寒いギャグにすれば、構成としては「境界の彼方」と大して変わらない。
もの凄くおバカな話。

しかし、何でこうなった?って方が大きいかな。
いや、一期は、ちゃんとバトルに繋がる流れがあったし、一応、普段は一夏を巡ってギャーギャー言ってるけど、大きな事件が起これば、普段の反目は脇において、ちゃんとバトルする。そういう感じだったんだけどな。

そういう意味では、一期は、第1話冒頭に最終話のクライマックスシーンを先見せして、そこに向かって物語が収束していく、という予感もあったから、途中の、どうでもいい日常パートもそれなりに見れたのだろうけど。

今期は、そういうクールを通じての流れみたいなものが全くわからなかったかな。
なので、気がついたら、あれ、もう終わりなんだ、ってことで。
ホント、盛り上がりに欠けた。
なんか、もうファンのためだけに作ってる感じだよね。
まぁ、それはそれでいいのだろうけど。

あとは、あのよくわからない、更識姉妹ね。
あれ、なんで、またわざわざ二人も新規に加えたんだろう。
一期の5人だけでも十分多いのに、そこに新たに二人も加えて。
あの二人の登場が、完全に物語の勢いを削いだな。
箒やシャルはともかく、ただでさえ影の薄い鈴なんて、もう半分モブ状態じゃない。

しかし、どうするんだろう。今後もこんな感じでEDで一夏の後を追いかけるキャラを増やしていくのかね。10人とか20人とか。もう、それだけで寒いギャグ。

ほーんと、何でこんなにつまらないものになったんだろう。
一期はわりとバランスが良かったんだけどな―。
原作が悪いのか、脚本が悪いのか。
原作未読なので、そこらへん、よくわかんないのだが。

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境界の彼方 最終話 『灰色の世界』

2013-12-19 15:50:09 | Weblog
何なんでしょうね―、これは。
最終二話で、なんか、メチャクチャな展開。
京アニだから、絵や動きはとても綺麗なのだけど。
それだけ。

さすがに、こんなにお話の帳尻があわない、ってのはどうなのだろう。

もう、物語とか話の流れとはどうでもよくて、テンプレ的な刺激のあるセリフをコラージュ的につなげていって、あとは、作画の綺麗さ、というかイラスト的綺麗さがあればいい、って、作る側も、割り切ってるってことだよね?

ある意味でアニメって表現の極北、ってことで。
絵以外は、あとは尺に収まってさえいればいい。

うーん。
なんていうのか、これ、二次創作を楽しむ、って感覚を文字通り映像にしました、ってことだけなのか。

いや、お話の全てに帳尻を合わせろ、なんてことはさすがにいわないけれど、とはいえ、最後、不愉快です、の人がどうして生還?したのか・・・くらいは、それっぽい理屈を残してほしいと思ったかなー。

最強の姉ちゃんが半妖だったのは何故?とか、あの気色悪いコスプレ母ちゃんは何だったの?なんてことは、この際、一切無視するとして。

でも、不愉快さんの生還は、ちょっとは説明しようよ。

前々回あたりから、あの「境界の彼方」って存在は何なの?、でも、そのうち説明されるから一応今はスルーでいいよね、って感じで流していたのだけど、まさか、それが全く説明なしで終わるとは思わなかった。

なんだろう、この物語無視の展開は、マンガだったら、ヤンキー目当てのチャンピオンみたいなものだよね。自社の作品は、とにかく二次創作好きのコアなオタクの中二病願望を叶えるためのものと、京アニ自身がもう割り切ってしまった、ってことなのかね。

まぁ、確かに、氷菓以後の京アニって、程度の差こそあれ、ずっとそんな感じだし。

これなら、中二病をネタにしてイタイ二人を扱った「中二病でも~」の方がよっぽどマシに見えてくる。まだ、中二ってどうよ、というアイロニカルな自意識があったから。

でも、その、ちょっと俺、このままでいいのかな、と若干躊躇するような、中二病的自意識まですっかり外して、ベタに中二病を表現してしまったら・・・、どうなのよ?

その上、話はメチャクチャだし。

わけがわからないよ。

やっぱり、京アニは、他の出版社で定評のある作品を、二次創作感覚全開で映像化する、ってことに注力したほうがいいと思うのだけど。ハルヒもらき☆すたけいおんも、全部そうだったわけだから。

なんだか痛々しいよ。

別にアンチをきどるつもりはないけど、それにしてもねー。
どうしちゃったんだろう、と思うよなー。


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蒼き鋼のアルペジオ -アルス・ノヴァ- 第11話 『姉妹』

2013-12-17 20:01:02 | アルペジオ
いやー、前回が超神回だっただけに、今回は一見すると地味な気がするけど、とはいえ、よく出来ている。これ、やっぱり、脚本がいいんだな。

前回の流れがないと、こうはならないよなー、ということばかりで。

まず、今回は、イオナと同型艦=姉妹の400、402との交戦が中心だったわけだけど、姉妹に刃を向けることに躊躇するイオナを描くにあたって、タカオと融合した新401であることがとても生きている、ということ。

操舵をタカオに委ねることで、イオナは400や402と交戦中にも拘わらず、会話を交わすことが出来た。イオナ自身、最初から「姉妹」という言葉を使っていることからわかるように、400や402を他の霧の艦隊とは異なるものとみなしている。あたかも三つ子であるかのようなメンタルモデルの外観を、今回、執拗に強調しているのも、そのあたりをはっきりさせるため。そして、その姉妹を傷つけることと群像を守ることを天秤にかけて、後者を選択する。その躊躇や迷い、葛藤をイオナは表情に表すわけだけど、そんな余裕は従来だったら交戦中はありえない。となると、タカオに操舵を預けられる現状があればこそ可能になった展開といえる。

それに、イオナって、実はずっと「私は霧だ」と自分をアイデンティファイしているんだよね。そのことが今回も強調されたわけで。この自問自答は、前々回あたり、タカオから、「群像の船になる」ことが「命令」だからしてるのね、と指摘されたあたりから継続されている。そして、イオナ自身は、それが命令からなのか、自発的意志からなのか、名状しがたいことに当惑している。その当惑を扱う上で、同型艦=姉妹との交流は状況として上手い。なぜなら、姉妹とのあいだで、鏡像的な関係がどうしても想像されるから。要は、もしかしたら、イオナではなく400や402が群像の船になっていたという展開もあったはずという疑念。

このあたりは、イオナが自身を個体として捉えているか、それとも、アドミラリティコードという大きな意志から役割を与えられた存在でしかないのか、という戸惑いでもあるわけで。

そのあたりの疑念があるからこそ、躊躇が生じる。

けれども、その躊躇を振るい払うために効いてくるのが、前回、400と402にイオナが撃沈されたという冷徹な事実。そして、その結果、群像が瀕死の状態にしてしまったという事実。その後悔が躊躇を振るい払うために効いている。

このあたりが脚本が上手いなと思うところ。

その意味で、今回、物語展開上、地味に重要な役どころを演じているのがハルナ。

冒頭、群像に対して、ハルナは「前回沈められているのに、400、402と交戦するとは、勝算はあるのか?」と問い詰めるわけだけど、この辺りの冷静な発言は、とてもハルナらしい。

もちろん、これは、ハルナからすれば、勝算のない戦いに巻き込まれることで、蒔絵を危険な目に合わせたくない、という判断からなのだけど、そういうハルナの態度が、現在、401に集っている者達が、一種の呉越同舟状態であることを再確認させるわけで。

その上で、群像の戦術に納得した上で、実際に、ハルナ、キリシマも今回の作戦に協力することになる。面白いのは、ハルナ、キリシマ、ヒュウガは今回、群像の作戦に協力するうちに、しっかり、群像の指揮下でそれぞれの役割を自発的に果たしてしまうのだよね。

このあたりも上手い。

つまり、当初は、互いに利するところがあるために始まった暫定的な共闘も、その共闘を繰り広げるうちに継続的な信頼関係に変わってしまうというところ。むしろ、関係は強固で確かなものになってしまう。

このあたりも、前回、401が撃沈されている、という事実があればこそのリアリティ。

こういうところが、脚本として上手い、と思うのだよね。

なぜなら、登場人物それぞれの思惑を見る側に勝手に想像させて、そうやって彼らの行動を納得させることで、ドラマを引き起こしているわけだから。

うーん、やっぱり、この物語は良く出来てるなー。
ホント、面白い。

そうそう、タカオがちゃんと401内に存在していて一安心w
さすがにメンタルモデルは失っていたけれど。
まぁ、それくらいの代償がないと、前回の内容が薄れてしまうから、やむなしなんだろうけれどね。

ただ、結果的にはタカオの望んだ通りになっていて。

新401にはタカオの兵装も上乗せされていて、その分、群像の願望の実現に寄与できるし、間接的にではあれど、群像から「命令」してもらえるのだから。
まぁ、群像になかなか気持ちを推し量ってもらえないのは不憫だが。
でも、別に、この物語は、群像のハーレムワールドでもなんでもないわけだから、多少、群像が鈍感?であっても、全然気にならないところがいい。

というか、今回は、初めて401クルーとメンタルモデルたちが共闘したのだけど、そんな雰囲気の中で、群像ラブ!なことを明示しているのはタカオだけだから。そういう意味でも、ハルナの存在は大きいよな。

しかし、こうなると、実体はなく二次元の存在になっているタカオと、実体はあるけれどその実クマのぬいぐるみのキリシマと、どっちがいいんだ?という究極の選択にもなってくるわけで。ちょっと面白いw

まぁ、どちらもその存在のあり方が、ちゃんと物語にフィットしているからいいんだけどね。あと、ナノマテリアルさえ調達できれば、もとのメンタルモデル体?にもどることもできることはわかっているわけだから。

しかし、なんか、タカオはナビAIみたいになってるなw

それにしても、冒頭のハルナの「惜しい船を失った」という発言のくだりは、ハルナだからこそできる、シリアスを装ったボケだったわけでw

うん、今回の話で、ハルナの株はまた随分とあがった。

てか、ハルナ、物語を進める上で、やっぱり重要な役回りだなw

結果的に彼女の判断が、振動弾頭だけでなく、その開発者である蒔絵まで401に乗船させることになったわけだから。

そして、彼女の判断によって、もれなくキリシマもついてくるわけだからw

・・・ということで今回も面白かった。

そうそう、最後のコンゴウの変化ぶりには驚いたけど、でも、あの、マヤとの融合?を図るところを見ると、今回のタイトルの「姉妹」は、実は、コンゴウとマヤとの関係でもあった、ということだよね。

この場合は、同胞という意味での姉妹、ということだけど。

そして、誰もが期待したとおり、コンゴウの口から「401を倒すのは私だ!」という、あんた、ラオウか!と思わせるような発言が出てきてニンマリ。

最終回の展開はとても綺麗に予想出来てしまうわけだけど、その王道的展開をベタベタに画力で見せてくるのか、それとも、さらにもう一回何かひねりを加えてくるのか。

いやー、しかし、ホント、この物語は、しりあがりにどんどん面白くなっていく。

次回の最終回が楽しみだ!

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蒼き鋼のアルペジオ -アルス・ノヴァ- 第10話 『その身を捧ぐ』

2013-12-13 00:10:48 | アルペジオ
いやー、まさか、こんな超!神!展開が待っていようとは!
タカオ、マジで決断力ありすぎだろう!
というか、それほど群像への「愛」が深かったということなのだが。

タカオが「その身を捧ぐ」ことで、401が復活する場面は、マジでゾクゾクした。
鳥肌が立った。

また、あの場面が、海底、というのがいいよね。
群像とコアになったイオナが横たわるカプセルのほかは、タカオしかいない静謐な世界。
その群像のもとに、泳いで近づいていくタカオがね。
どう見ても、群像の生命維持カプセルが棺にしか見えない。
その棺に寄り添うタカオ・・・

いやー、まいった、これは、ホント、名場面だよ!

このシーンのためだけに401が沈められたのだろうな。
ここのところ、海中描写が少なかったことも効いている。

というか、いままで、こんなふうに「海」を描いてなかったよね。
その分、この、彼らしか存在しない海底という場所が効いている。

で、その生命維持カプセルをどう引き上げるのではなく、
自らの船体のナノマテリアルを捧げて、401の船体を修復、というか、再構成するのだもの。参りました。
これは、この世界の設定があればこそ可能なドラマで。

タカオの解体されたナノマテリアルが輝く奔流となって海底に届き、あたりを照らしながらカプセルに身を寄せるタカオに降り注ぐ場面は、不覚にも、マジで美しいと思ったものね。
いやー、参った。

あれ、復活した401は船体には、タカオの戦艦としての面影?も残っているんだよね。
艦橋があったように見えたし。

それにしても、まさか、ここまで化けるとは。
なんていうか、今期のナンバーワンをもっていったんじゃないかな、これ。
それくらい、今回の話は、深いし、凄いよ。

前回の「動」に対して、今回は全編にわたって「静」だったわけだけど、にも関わらず、いや、むしろ、だからこそ、前回よりもドラマがあった。

群像、イオナ、タカオ、の、各人各様の「自己犠牲」の形。
その背後で生じたコンゴウの「執着」という「感情の創発」。
それを促した、まさかのマヤの「操り人形」という正体。

てかさー、これ、結局のところ、完全に「人間(らしさ)って何よ―???」ということだよね。

前回の感想で、この作品は、人類と「霧という存在」の「ファーストコンタクト」の物語だ、と言ったけど、まさか、その翌週に、「人間とは何か」、「人間と人形/機械との違いは何か」、なんて主題が持ち込まれるとは思わなかったよ。

いやー、ホント、面白いよ、この作品は。

構造的には、一見すると、群像のハーレム設定にもみえるわけだけど、それをうまく撒き餌にして、その背後で、人と人との関わりとはいかなるものか?、という主題をガチで持ち込んでしまうのだから。

そもそも群像はこの世界を救いたい、座して死を待つようなことはしたくない、だから、行動したい、という、ある意味で彼のいる世界では、真っ当な志から、彼が引き受けたミッションの引き継ぎこそをイオナに求めるわけだけど、そのミッションを担うのは自分ではなく群像であり、だからこそ最優先すべきは群像の存命であると判断したイオナ。このイオナの判断は、彼女が群像を愛しているから、というような明確な表現にまでは、この段階では行き着かない行動。

でも、その自己犠牲の行動を「愛」というコトバでくるむ役割を担ったのがタカオだった。タカオの、自身の身体=ナノマテリアルをイオナに譲渡し、結果として、群像の思いを遂げさせることにタカオ自身も貢献する、という形をとった。

この、群像、イオナ、タカオ、の三段ロケットはホントに凄いよ。

これは、今後のタカオの登場の仕方にもよるけれど、もしもタカオ―イオナの船体/身体融合の結果、401艦内にもタカオのゴーストのようなものが残るのであれば、ある意味、タカオはイオナと身体的に同化することで、まさにタカオのもつ「愛」成分wまでイオナに譲渡することになる。

この点は、ヒュウガが、イオナのサブプロセッサーとして生きる、と宣言していたことに対する一種のあてつけにもなって、その分、ヒュウガとタカオの関係も複雑なものとなりそうだしw

というか、タカオ、自分には(群像とイオナの間に)入り込む隙なんかない、なんて言ったけど、これで大逆転だよね。むしろ、身を差し出すことで、強引に二人の間に割り込んだようですらある。なんたって、新生401のボディはもともとタカオなんだから。もうこれで、タカオも群像とともに旅をする、ということになったのだから。いやー、押しかけ女房作戦、大成功じゃなイカ!

それに、さすがにメンタルモデルのコアだけは残るだろうから、仮にナノマテリアルが不足だとしても、キリシマのように、何らかの物理的依り代を得れば、タカオもメンタルモデルを再現することができるのかもしれない。だとすれば、この際ロリ化して、蒔絵とは違う意味で、場を盛り上げる存在になるのかもしれない。

ともあれ、キリシマにせよ、タカオにせよ、コアが無事なら、あとはナノマテリアルの供給のみなのだろうから、極論すれば、もう完全に悪役が決まったw400や402を撃沈した後、彼らの船体の一部を奪う、というのでもいいと思うけどね。

もっとも、そうやってタカオとキリシマが完全復活するのは、物語的にはもはや蛇足でしかないのかもねw

あとは、こうした状況の一部始終見ていた、記録好きのハルナが、どういうふうに影響をうけるかだよね。彼女の立ち位置は、一種の「記録屋=歴史家」のようなものだから、彼女によって、人類との接触によって霧がいかに変貌しうるか、ということが一般化されていくのかもしれない。

・・・で、最後のコンゴウ。

いやー、愛憎は裏返し、とはよく言うけれど、コンゴウが前回示した「嫌い」という判断=感情までも、人間的な「執着」の現れと解釈されたのは、コンゴウからすれば、もの凄く不幸なことなのだろうな。

そういう意味では、コンゴウ艦隊?に、イオナが接触することで、玉突きよろしく、みな、何らかの影響をうけてしまったわけで。その影響の元凶を群像という人間の個体に絞ってしまったところが、コンゴウの脳筋なところだったんだろうな。既に、メンタルモデル間で多様な心情のやりとりを行ってしまっていたわけだから。

だから、コンゴウは、もの凄く不幸なわけだけど。

それにしても、ここに来て、この作品がフルCGで作られていることがこれほどまでに意味を持つとは思わなかった。ちょっと絵的に「違和感」があることが、むしろ、メンタルモデルの間で、人間的か人形的か、の違いを分けることに繋がろうとは。

だから、後半、この物語は完全にメンタルモデルがやりとりする物語になったってことだよね。401クルーが背景になってしまうのもよくわかる。

そして、フルCGでできたキャラが、完全に人間となる瞬間が、タカオやイオナが示したように涙を流すところだったんだろうな。泣ける、というのが人間の示す反応の最たるもの、ってことで。

そうそう、よく見ると、イオナが涙を流すシーンは、実はタカオによって401が再生されて海上に浮上してきてからのことなんだよね。その前の、群像がもう死ぬかも、という時のイオナは、むしろ自分の感情をどう表現していいか、終始戸惑っていたわけで。となると、この、イオナの涙は、やっぱり再生を通じて、タカオの「乙女プラグイン」が新たに実装されたからなのかな―、とか思えてきて。明らかに表情が、それ以前と違うから。

もっとも、となると、タカオがホントに401+イオナと「融合」してしまった、ともとれるわけで。。。これは解釈にこまるところ。

それにしても面白いのは、イオナの目の間がちょっと離れていて・・・、結果的にちょっとキモい、みたいなCGによる絵面も、むしろ、メンタルモデルの彼らが、人間とは違う存在であることを示すためにちょうどよかったとも思えるところ。

だから、逆に、マヤが壊れた、というか、マヤが操り人形であったことも、むしろ、それが本来の姿、とでも言うべきもので。いわゆる「不気味の谷」が微妙に、メンタルモデルによってズレルの面白い。

そういうことで、フルCGは、メンタルモデルの物語を作るための環境としても必要だったってことだよね。そういう、自己批評的なメタ構造も持ち合わせているとは思わなかった。

いやー、これは、マジで脱帽!
こんなに、楽しむポイントが多層化されているとは思わなかったよ。
マジ、傑作だね!

それにしても、これ、最後、どうなるのかな。
まだ2話、あるわけだけど。

コンゴウをどうするか、というのは大きな問題だけど、それはもう、「機械ないしAIがどうやって人間としての意識を得るのか?」という話になってしまって、ちょっと思弁的過ぎるよね、この物語の結末としては。

むしろ、今回の、タカオの振る舞いをどう401に残ったものたちが解釈し行動するのか、というところに焦点を置くのかな―。

もちろん、タカオの復活問題については、何らかの形で言及されるのだろうけど。

しかし、まさに、死ぬ=自己犠牲することで、姿は消えても、群像の「心のなかで生き続ける」というのは、超乙女プラグインのなせる技だと思えるし。

何らかの形で、タカオが群像から「ありがとう」と言ってもらえるといいよね。

多分、そこで、群像たち人間は、あのメンタルモデルのお茶会空間にはいけない、という事実を改めて実感させられるのだろうし。

・・・ということで、いやー、10話、すごかったわ。
これ、もう、タカオは、今期のトップヒロイン、持っていったんじゃないかな。
デレだけじゃなく、ここまで突っ走ると、もうホント清々しい。
なので、最高の10話だった!
こんなに高揚したのは、最近だったら、まどマギの最終2話以来かな。

ホント、これだけハードル上げてしまって、一体最終話までどうするのか、ってのが逆にとても気になってしまうくらい。その意味でも、残り2話が超楽しみ!!!

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はたらく魔王さま! 第10巻 感想

2013-12-12 15:42:51 | はたらく魔王さま!
いやー、綺麗な「中締め」回。
よかったねー、みんな無事で!おかえりなさい! って感じ。

ということで、8巻から始まったエンテ・イスラ編にようやく終止符!
一応、ネタバレもあるので、ちょっとスペース空けときます。

















































いやー、繰り返しになるけど、ホント、綺麗な中締め。
エミリアが真奥に救出されるのは、まぁ、もはや予定調和的にわかっていたことなので、あとは、そこに至る過程をどう描くのか?ってことだけで。
そういう意味で、綺麗な締め方だった。

細かいところを言えば、前巻で体調不良に陥っていた真奥の復活のあたりが、今ひとつよく理解できなかったけど、そこは、まぁ、勢いで読めた。

補足すると、一応本文中の描写と説明を合わせるとこんな感じ。

真奥とアシエスとの融合を一旦解除することで、真奥への魔力供給が回復し、元の魔王としての力が完全復活した、ということ。
その後、魔王はアシエスと再融合して、聖剣ベターハーフを使って、完全チート復活し、三天使を超!圧倒して終わり!、って感じなんだけど、再融合の時は、アシエスがアルシエルから魔力と馴染んだイェソドの欠片を補充したから、魔力全開の魔王とも馴染んで融合できた、ってことみたい。

と、説明されてもよくわかんないよねw

まぁ、多分、このよくわかんない感じを順を追って説明していくが、11巻以降の話なのだろうな。

なので、この10巻は、予定調和のエミリア救出の流れの中で、どれだけイェソドの欠片や生命の木セフィロト、宝珠セフィラの秘密の核心に迫っていくのか、というのがポイント。なぜなら、それらが、11巻以降の伏線になるから。

しかし、そう思うと、概ね前巻の9巻の感想の時に書いた「今後の展開予想」通りの流れになってしまって、ちょっと笑ってしまった。
ある意味、わかり易すぎるほどわかり易い物語展開でw

魔王たちが不在中の笹塚でルシフェルが活躍してた、ってところまで含めてw
で、その話は11巻以降で明かされる、ってことも。

ホント、綺麗な中締め回だった。

しかし、そう思うと、このエンテ・イスラ編で最も株を上げたのは鈴乃だったな。
実質的にエンテ・イスラ世界最高の聖職者になり、しかも、オルバに代わって、勇者エミリアの仲間入り。これで、周りからも一目置かれる存在となり、晴れて悪魔大元帥を引き受けてもおかしくない存在として認められたw

ということで、ある意味で、鈴乃=クリスティア・ベルの作内位置づけの大幅引き上げ、がエンテ・イスラ編の裏テーマの一つだった、ってことで。

それにしても、まさか、最後の最後で、ミキティw降臨、とは思わなかった。
しかも、わざわざ貴重なイラストページまで使ってw

わかっていたこととはいえ、彼女が11巻以後の第二部のキーパーソンだよね。

あとは、セフィロトやセフィラだけど・・・

最後に、ミキティが対峙した、天使をも手玉に取る超・実力者が「宇宙服(のようなもの)」を着ていたのは想定外。

序盤に、天祢が示唆していた「月」を踏まえると・・・、

やっぱり、エンテ・イスラって月面にあるのかな?

となると、天使とか悪魔って、実は月面でも活動可能にするために、人間をベースにして何らかの改造?を加えた存在なのか?・・・ってなことも想像してしまう。

いきなりのトンデモ設定だが。

もっとも、魔王が笹塚でバイトしてること自体、既に十分トンデモwなわけだから、今更なわけだけど。

それにしてもねー。

ミキティのトンデモパワーで、ガブリエルも簡単に拉致できたので、まぁ、彼から、彼ら天使側が描いている計画を明らかにするのが11巻の中身なんだろうな。

そして、その上で、新生魔王軍や悪魔元帥や四天王が、つまりは、笹塚に集まった悪魔や人間や天使が協力して、その世界の危機に立ち向かう! ってのが11巻以降の展開かな。まぁ、今回の一件で、魔王と勇者の因縁はすっかり片がついてしまったわけで。

そういえば、アルシエルは、ホントに一国の王として迎えられそうだけどw

それだけに、魔王の留守中にいったい何が起こったのか、どんな事件があったために、10巻最終場面でミキティが介入するような事態になったのか。その辺りが気になるところ。

とはいえ。

9巻感想でも書いたように、こうした、みんなで世界を救う、といった話をどこまで本気でやるかによって、この作品の印象は今後、大きく変わってしまうかもしれない。

というのも、この物語の面白さは、あくまでも悪魔や天使、勇者といった異世界のプロフィールを抱えながらも、笹塚で労働に励む真奥たちが繰り広げる、時に悲哀感漂うコメディの部分にこそあるから。

だから、ミキティにしても、なにか訳知り顔の奇っ怪な存在、ぐらいで真奥たちのまわりに漂っていれば良かったぐらいの存在でなくちゃいけない。それが、今回のように、本編の話を進める鍵となるのは、ちょっとね。

もちろん、今までの記述から、ミキティや天祢の立ち位置は、一応「中立」のはずだから、必要な情報だけ渡して、その最終判断や実際の行動は魔王たちに委ねる、ってことになるのだろうけど。

と言った具合に、11巻以降は、結構、物語の展開が微妙になりそう。
それくらい、本巻10巻は、ターニングポイントの回だったってわけで。

さぁ、どうなるのか。

ただ、この手の「ファンタジーもどき」の物語が、進行上、その世界の秘密に迫った結果、ガチの「ファンタジー」に旋回してしまうと、あまりいい結末にはならないんだよね。

なぜなら、「ファンタジーもどき」の物語では、ファンタジー成分とはあくまでも背景に過ぎないはずで、その背景に手を出すと、本編の魅力まで損ねてしまうから。

その意味で、少し前から小出しにされていた、天使はもともと人間だった、というような設定は、できれば、ああそうなの?というぐらいで、極力スルー扱いして欲しいかな。

いや、だって、マジで嫌な予感しかしないじゃない。

魔族も天使も人間も、もとは一緒で、区別のないもでした、とか、
人間を操作することで生まれたのが、天使や魔族です、とか。

興ざめでしょ?

あるいは、どこかの世界にあるとしかいえない異世界=エンテ・イスラが、
実は、月面にある人工基地でした、云々、とか。

夢破れるでしょ?

ということで、次回11巻がどんな仕切り直しをしてくるのかが、とても気になる。

それは、今書いたようなエンテ・イスラという「世界」に関わるものだけでなく、確執が限りなく消失してしまった、真奥とエミリアを始めとする「登場人物」たちについても。

いや、むしろ、後者のほうが大事かもしれない。
一体どんなこだわりをもって彼らの間にドラマを生み出していくのか。

その意味では、10巻最後で、鈴乃が真奥を問い詰めていた、千穂との関係はどうするのか?千穂にはなんて答えるのか?というあたりは、結構重要な問いだよね。

真奥とエミリアの確執、エミリアの故郷や父母への愛情、鈴乃の真奥に対する疑念、千穂の真奥への思慕、梨香の芦屋への感情、あるいは、天祢はどの程度信頼できるのか、・・・、など、それぞれの登場人物の間に存在したドラマ的素材(不安要素)が、8巻からのエンテ・イスラ編で、概ね、フラットになってしまったんだよね。

前巻で、鈴乃は真奥を許してしまったように、皆、超・仲良しであることがお互いにわかってしまったから。

なので、コメディないし人間ドラマとして続けるには、実はかなりやばい状態。
一つ間違うと、マンネリのグダグダな展開になりかねない。

その意味で、11巻は、超重要。

さて、どんな形で、第二部の幕があがるのか?

とても楽しみ。

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ソードアート・オンライン プログレッシブ 第2巻 プレ感想

2013-12-11 14:39:07 | SAO/AW
ようやく第2巻か、と思って購入してみたら、
なんと、「黒白のコンチェルト」だけだったので、さすがに驚いた。
これ、ウェブ連載の時に全部読んでたんだよね。
なので、一応プロットレベルではもう全部わかってる。
一応、単行本にするにあたっては、第四階層の攻略も入ってるんだろうな、とおもっていたのだけど(1巻がそうだったから)。まさか、黒白だけどは思わなかった。

まぁー、だから何だ?ってことではあるのだが。

一応、一通り、単行本の方を読んでから、感想は上げたいと思うけど、何分にも、一度読んでるので、大分あとになるかも。

もっとも、読んでみたら、ウェブの時とは大分違うな、ってことなら万々歳なんだけどね。

そういう意味では、キズメルは重要キャラ。
意外と、黒白の話で、ゲームプラットフォームとしてのSAOの仕組みについても突っ込んでいる。その様子を匂わせる存在として登場したのがキズメルってことで。

いずれにしても、一通り読んでから、このあたりのことは書こうと思う。
なにげに、SAOやAWの世界の設定裏話になってる気がするんだよね、SAOPって。

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UQ HOLDER!  第15話 感想

2013-12-11 14:25:26 | UQH/ネギま!
一応、その後も読んではいたのだけど、
あー、やっぱ、もう、これだめだ。
何したいのか、わからん。
前回あたりの、夏凛話でちょっとは物語が進むかな、と思ったら、
また、修行モード。
しかも、瞬動に虚空瞬動。

あのさー、こういう風に、ネギま!のネタを、大した関連もなく思わせぶりに混ぜてくるの、もうやめてくれないかな―。
いい加減飽きた。

こうなるともう、初回のエヴァンジェリンの登場ですら、単なるツリにしかみえなくなる。
大体、エヴァ、もう出てこないし。

あと、刀太、魅力なさすぎ。
こういうただの天才型元気キャラは、やっぱサブ止まりでしょ。
九郎丸もうざい。男でも女でもどっちでもいいよ。
要するに、実力はあるけどオドオドキャラなわけだから。刹那のように。

多分、前回、前々回あたりで誰もが感じたのは、もしもネギま!を匂わせつつこの物語を進めるなら、もういっそ夏凛を主人公にする方にギアシフトした方がいいんじゃない?ってことだと思うけど。

いや、だって、夏凛だけでしょ。
この物語で、何かこいつにはある、って個人史を匂わせるキャラは。
夏凛だけが何か重荷を背負っている。

それに対して、彼女以外は、何か思わせぶりなおっさんかニヒルキャラばかり。
あるいは、その他大勢の、妙に昭和的なモブキャラ。

夏凛についてだけど、大体さ、背中に型番のように13とか彫ってる時点で、作り物に成り代わったものって、わかるじゃない。となると、超とか葉加瀬がらみ?とか思うわけで。

要するに、このUQ HOLDER、物語として読むには、あまりに脈絡がなさ過ぎるんだよ。因果関係がほとんどない。だから、次回が全く気にならない。

そりゃ、ネギま!の後の世界は気になるし、ネギま!のキャラたちがその後どうなったのだろう、ってのは見てみたい気がする。

でも、そういうノスタルジアを撒き餌にして、読者を釣るのは嫌だなー。
なんていうか、むしろ、麻帆良ネタを散りばめることで、新規の読者にネギま!を今更ながら買わせようとしているんじゃないかとすら思えてくる。

要するに、UQHは、ネギま!の宣材なんじゃないの?と。

そろそろ、いったん、ネギま!や麻帆良のことを作者や編集者も忘れて、UQH単体で果たして毎回、これは面白く読めるのかどうか、考える時じゃないのかなー。

詠唱のない魔法アプリなんて、愚の骨頂だよ。

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蒼き鋼のアルペジオ -アルス・ノヴァ- 第9話 『決死の脱出行』

2013-12-06 00:12:19 | アルペジオ
東京レイブンズについて大分書いたから、こちらも忘れないうちに。
アルペジオは、東レ同様、今期のダークホース。

いやー、最初は何だ、このガチな軍艦設定と思ったけど、
ある意味で、これは、ファーストコンタクトものの変種だったわけで。
それに加えて、後半に入っての、メンタルモデルたちのはっちゃけぶり。

正しい意味で、萌えと燃えを並び立てていて、いい。

素直に、戦略の展開ぶりが面白いし、それを支えるキャラたちもいい。

まぁ、若干、401の人間のクルーたちが空気化しているのが何だけど、これはこれでいいんだろうな、と。

今回であれば、タカオのデレがちゃんと「蒼き鋼」の戦術の展開に繋がっているところがうまい。タカオの衣装の色が、それまでの赤から青に変わる、という演出もわかりやすいけど、あの場面でやられると、おお!って思うものね。

あるいは、ヒュウガの、テンションがメチャクチャ高いテンションも。
これはこれでいい。

今回の最後の部分は、あれ、401撃沈?、と思うものの、再三再四、イオナが「私は群像の船」と言ってるあたり、実は、イオナというメンタルモデルが究極の要素であって、物質的実体である戦艦(彼女の場合は潜水艦)はあまり関係がないのかな、と思う。

となると、沈んでいても、何とか二人?が助かれば再起もあるかな、と思う。

いや、実は、あの401の船体そのものが、一種のレプリカであり、ダミーだ、ということもあるのではないかな、と思っている。

要するに、ヒュウガが、401クルーが不在の折に、イオナのバックアップなのかダミー用の船体を作っていてもおかしくないし。それだけの設備も資源も硫黄島にはあったと思うし、何より、あのイオナ想いのヒュウガが、400や402の存在を度外視しているはずがないと思うのだよね、仮にも元旗艦であるわけだから。より大きな視野で、霧全体の勢力分布を理解しているはずだし。

それに、そういう撃沈も含めて徹底的にダミー化する意志があったからこそ、振動魚雷やその開発者である蒔絵をタカオに任せたと思うんだよね。

というか、そもそもイオナと群像を除く401のクルーまでタカオに乗船しているわけだから。401本体は、最悪、彼らがマニュアルでも動かせる状態にあるんじゃないかな。

最後の描写だと、タカオはヒュウガを拾いに一旦硫黄島の方に戻るようだし、そこで、既に起動済みの401本体で群像たちを探しに行けばいい。もちろん、そのためには、周囲に霧の脅威がない、ってことが大前提になるのだろうけど。それも含めて、コンゴウたちとまず、一戦交える必要があったんじゃないかな。向こうの戦力も戦意もいったん削ぐために。

まぁ、以上は、そんな展開があったら、軍師・群像っぽいな、ということも含めてのことなんだけど。

でも、この物語は、そういう、いい意味で、裏の裏をかく戦略ゲームの面白さもあるので。それは、物語の進行でもいえて。

たとえば、ハルナが蒔絵の屋敷で静養するあたりも、あれ、これ、横道に入ってる気がするけど、どうするのだろう、と思ったのだけど、しばらくそのまま刑部邸の描写が続いて、いよいよもってハルナたちのピンチというところに、イオナがさっそうと登場したりするところ。実際、あそこまでハルナ、キリシマ、蒔絵の物語に転じていたので、実はイオナたちの存在を忘れていたのだけど(なぜなら、もうアメリカに向かっていたと思っていた)、よもやの再登場だったわけで。

そういう見る側のミスディレクションも微妙にこの物語はけしかけているところがある。

なので、今回もそういう展開かな、と思ってる。

ということで、次回が楽しみ。

しかし、本作も、今回のダークホース。

本当は、こういう展開をIS2あたりに期待していたのだけど、ISの二期は一期と比べて恐ろしくつまらない展開になってしまって、がっかりしていた(あれ、そもそも原作が悪いのか?)。その穴を埋めてくれたのが本作だと思ってる。

こちらこそホントに1クールなので、ラストスパートが楽しみ。

しかし、あれが全編CGでの作成なのか。
凄いな。
最初こそちょっと違和感があったけど、実際に物語が動き始めたら全然気にならなくなってしまった。その点も面白い。

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