(この「知性間戦争」のエントリーについては、その2、その3、その4と続きます。)
SAOのアリシゼーション編の最終話でようやく登場した「知性間戦争」。
SAO/AWの読者の間では、すでに話題になっていた謎だけど、それがなぜ、関心を集めるのか?
理由の第一は、表題の通り、SAOとAWをつなぐミッシングリンクになるから。
「知性間戦争」という言葉は、SAOのアリシゼーションで登場したけれど、その具体的な内容が明かされているのは、もっぱらAWの方。
というのも、AWにおけるVRゲーム空間であるブレイン・バースト2039が創造されたきっかけとなった事件が「知性間戦争」であるから。
ちなみに「2039」というのは、このブレイン・バーストのシステムが稼働を始めた2039年のこと。一方、アインクラッドを舞台にしたSAOがローンチしたのは2022年なので、SAOとAWは17年しか離れていないことになり、そのため、両者の間の基礎技術の間に連続性をみるのは全然おかしなことではない。
特に、SAOのソウル・トランスレーターが小型化され民生品になったのがAWのニューロリンカーであり、この技術の連続性から逆にSAOとAWの間の「リンク」を具体的が想像できてしまうわけで。
気分的には、プレステの進化でも想像すればいい感じ。
で、話をもとに戻すと、すでにSAOでは、この知性間戦争に、キリト、アスナ、アリス、リーファ、シノンたちが関わることは伝えられているから、端的に、彼らはAWの物語世界の始祖となると想像される。
なので、必然的にSAOとAWの間の繋がりを探ろうとする読者がでてくるわけで、このブログもその一つw
もちろん、SAOとAWの間をつなぐ謎を設定することで、一方の読者にもう一方のシリーズを読ませようとする作者や出版社側の「大人の事情」があることは、間違いないのだけどw
でも、それがわかっていてもこのミッシングリンクが気になってしまうのは、単純に、SFとして見ても興味深いものだから。
「知性間戦争」というのだから、「2つ(以上の)知性の間の戦い」ということになって、どうやら、その2つの知性とは、「人間の知性」と「人工の知性」のことを指していることは間違いない。そのうえで、後者の「人工の知性」、すなわちAIについては、SAOの世界ではすでに、ユイのような「トップダウン型AI」と、アリスのような「ボトムアップ型AI」の2つが登場している。
しかも「ボトムアップ型AI」は、作中設定では、人間の「魂」を構成するとされる神経細胞内のマイクロキューブルにある「フラクトライト」を、人工的に再現することで制作されている。
問題は、フラクトライトのレベルでは、人間とAIの間の垣根の存在が限りなく曖昧になること。
なので、これもまたSFではよくある話だけれど、はたして人間とAIの間に、存在としての差はあるのだろうか?という疑問につながる。
で、知性間戦争、というテーマは、大本のところで、こうしたSF全般にかかわる普遍的な疑問を喚起させるわけで、これが、単純にSAOとAWの2つの物語をつなげる以上の興味を読むものに抱かせてしまう。
しかも、フラクトライトが魂の源泉、というのは、SF、というよりも科学的にも全く根拠がない話ではなくて、この設定は、ペンローズという学者が提唱した「心の理論」にヒントを得ていると思われるから。
アンダーワールドという世界は、この人工フラクトライトが、人間の姿をとって現界している世界として(人間の手で)ゼロから構成されている。
さらに、「知性間戦争」以後の世界を描いたアクセル・ワールドの方では、フラクトライト仮説を徹底的に活用していて、人間の脳内のフラクトライトを、一旦、ブレイン・バーストのシステムサーバー内で複製して、その複製したフラクトライト/量子回路をつかって「加速した世界」で格闘ゲームを行うことを物語の基本設定にしている。
加えてブライン・バーストでは、ログアウトした時点で、複製したフラクトライトの経験を元の脳内フラクトライトに同期させるという手順を踏んでいる。
アリシゼーション編を見た後だと容易に想像がつくように、人間が脳内のフラクトライトを使ってダイレクトにアンダーワールドの世界にログインすると、アンダーワールド内の時間を加速させた場合、フラクトライトは直接その時間経過による「加齢」を経験してしまう。
それが、キリトとアスナが、200年間アンダーワールドで生活した後でリアルワールドに戻ってきた際、アンダーワールド内の記憶を消去することで、フラクトライトのフレッシュ化をしなければ行けなかった理由。
もっとも、これだと単純にフラクトライトに、ハードディスクみたいな記憶容量限界があって、200年も生きるともうそれを使い尽くしているから、一回、メモリをきれいにします!ってな感じなので、え、そんなんでいいの?とは思うわけだけど。。。
でも、そうして200年間分の記憶を消去することで、一応、キリトとアスナは、リアルワールドでもとどおりの17歳と18歳として生活することができることになった。
多分こういう教訓を経て、アクセル・ワールドの世界では、こうしたオリジナルのフラクトライトの摩耗ないしは破損の危険性を回避するために、一旦、複製体のフラクトライトを用意することで、ダメージは複製体の方で受け止めることができるような設計がなされている。
ちなみに、このブレイン・バースト2039のシステムは、SAO的にいえばリアルワールド人がアンダーワールド(と酷似したブレイン・バースト世界)に出向くための方法だが、その一方で、多分、このブレイン・バースト2039の開発者たちが裏で考えていたのが、
では、アンダーワールド人がリアルワールドに出向く場合はどうすればいいのか?
という問いだと思っている。
・・・という具合で、まだ続きそうな気がするので、一旦ここで切っておきます。
続きは、その2で。
SAOのアリシゼーション編の最終話でようやく登場した「知性間戦争」。
SAO/AWの読者の間では、すでに話題になっていた謎だけど、それがなぜ、関心を集めるのか?
理由の第一は、表題の通り、SAOとAWをつなぐミッシングリンクになるから。
「知性間戦争」という言葉は、SAOのアリシゼーションで登場したけれど、その具体的な内容が明かされているのは、もっぱらAWの方。
というのも、AWにおけるVRゲーム空間であるブレイン・バースト2039が創造されたきっかけとなった事件が「知性間戦争」であるから。
ちなみに「2039」というのは、このブレイン・バーストのシステムが稼働を始めた2039年のこと。一方、アインクラッドを舞台にしたSAOがローンチしたのは2022年なので、SAOとAWは17年しか離れていないことになり、そのため、両者の間の基礎技術の間に連続性をみるのは全然おかしなことではない。
特に、SAOのソウル・トランスレーターが小型化され民生品になったのがAWのニューロリンカーであり、この技術の連続性から逆にSAOとAWの間の「リンク」を具体的が想像できてしまうわけで。
気分的には、プレステの進化でも想像すればいい感じ。
で、話をもとに戻すと、すでにSAOでは、この知性間戦争に、キリト、アスナ、アリス、リーファ、シノンたちが関わることは伝えられているから、端的に、彼らはAWの物語世界の始祖となると想像される。
なので、必然的にSAOとAWの間の繋がりを探ろうとする読者がでてくるわけで、このブログもその一つw
もちろん、SAOとAWの間をつなぐ謎を設定することで、一方の読者にもう一方のシリーズを読ませようとする作者や出版社側の「大人の事情」があることは、間違いないのだけどw
でも、それがわかっていてもこのミッシングリンクが気になってしまうのは、単純に、SFとして見ても興味深いものだから。
「知性間戦争」というのだから、「2つ(以上の)知性の間の戦い」ということになって、どうやら、その2つの知性とは、「人間の知性」と「人工の知性」のことを指していることは間違いない。そのうえで、後者の「人工の知性」、すなわちAIについては、SAOの世界ではすでに、ユイのような「トップダウン型AI」と、アリスのような「ボトムアップ型AI」の2つが登場している。
しかも「ボトムアップ型AI」は、作中設定では、人間の「魂」を構成するとされる神経細胞内のマイクロキューブルにある「フラクトライト」を、人工的に再現することで制作されている。
問題は、フラクトライトのレベルでは、人間とAIの間の垣根の存在が限りなく曖昧になること。
なので、これもまたSFではよくある話だけれど、はたして人間とAIの間に、存在としての差はあるのだろうか?という疑問につながる。
で、知性間戦争、というテーマは、大本のところで、こうしたSF全般にかかわる普遍的な疑問を喚起させるわけで、これが、単純にSAOとAWの2つの物語をつなげる以上の興味を読むものに抱かせてしまう。
しかも、フラクトライトが魂の源泉、というのは、SF、というよりも科学的にも全く根拠がない話ではなくて、この設定は、ペンローズという学者が提唱した「心の理論」にヒントを得ていると思われるから。
アンダーワールドという世界は、この人工フラクトライトが、人間の姿をとって現界している世界として(人間の手で)ゼロから構成されている。
さらに、「知性間戦争」以後の世界を描いたアクセル・ワールドの方では、フラクトライト仮説を徹底的に活用していて、人間の脳内のフラクトライトを、一旦、ブレイン・バーストのシステムサーバー内で複製して、その複製したフラクトライト/量子回路をつかって「加速した世界」で格闘ゲームを行うことを物語の基本設定にしている。
加えてブライン・バーストでは、ログアウトした時点で、複製したフラクトライトの経験を元の脳内フラクトライトに同期させるという手順を踏んでいる。
アリシゼーション編を見た後だと容易に想像がつくように、人間が脳内のフラクトライトを使ってダイレクトにアンダーワールドの世界にログインすると、アンダーワールド内の時間を加速させた場合、フラクトライトは直接その時間経過による「加齢」を経験してしまう。
それが、キリトとアスナが、200年間アンダーワールドで生活した後でリアルワールドに戻ってきた際、アンダーワールド内の記憶を消去することで、フラクトライトのフレッシュ化をしなければ行けなかった理由。
もっとも、これだと単純にフラクトライトに、ハードディスクみたいな記憶容量限界があって、200年も生きるともうそれを使い尽くしているから、一回、メモリをきれいにします!ってな感じなので、え、そんなんでいいの?とは思うわけだけど。。。
でも、そうして200年間分の記憶を消去することで、一応、キリトとアスナは、リアルワールドでもとどおりの17歳と18歳として生活することができることになった。
多分こういう教訓を経て、アクセル・ワールドの世界では、こうしたオリジナルのフラクトライトの摩耗ないしは破損の危険性を回避するために、一旦、複製体のフラクトライトを用意することで、ダメージは複製体の方で受け止めることができるような設計がなされている。
ちなみに、このブレイン・バースト2039のシステムは、SAO的にいえばリアルワールド人がアンダーワールド(と酷似したブレイン・バースト世界)に出向くための方法だが、その一方で、多分、このブレイン・バースト2039の開発者たちが裏で考えていたのが、
では、アンダーワールド人がリアルワールドに出向く場合はどうすればいいのか?
という問いだと思っている。
・・・という具合で、まだ続きそうな気がするので、一旦ここで切っておきます。
続きは、その2で。