なぜライターである私が、ショートムービーを突然、作り始めたのか。
世界で話題のiPadのプロモーション映像を例にとると、とても説明がしやすい。「不思議の国のアリス」が動く絵本になるという下のムービーだ。
Alice for the iPad
雑誌には、文章と並んでたいてい写真やイラストが付いている。本や小説にも、挿絵や図解の入ったものが少なくない。字だけが並ぶ本より、写真やイラストがふんだんに付いた本のほうが、個人的にも好きだ。
ならば写真やイラストの代わりに、動画が付いていればもっと楽しいし、わかりやすいだろう。
「挿絵付きの本」は、やがて「ムービー付きの電子ブック」に変わっていくはずだ。そしてをそれをスマートフォンやビューアーで読む時代が、近い将来に来るだろう。
そう考えたのが、私がショートムービーに手を出し始めた理由である。
おバカムービーを作るのが楽しいというのもあるけど、ぼんやりと目指すところは「文章+動画の混ざったもの」をこしらえることで、そのために初歩的なCGムービー程度は自力で作れるようになりたいと思った。
わかりやすい例をあげれば、たとえば競馬小説を書くとする。小説だから基本的には文章なんだけど、ある場面に差し掛かると、ページをめくった瞬間にムービーが始まる。CGによるレースシーンが本の上で始まる。
そしてそれが終わると、再びテキストに戻る。そんなイメージだ。
登場人物の外見や服装の説明なんてのも、だらだらと文字で書くより、映像一発見せたほうがわかりやすい。これからの「本」は、もっといろんな遊びができるようになる。
だからここ数年、若い編集者にも「これからの編集者は映像もいじれるようになったほうがいいぞ」と話してきたのだけど、みなあまりピンと来ないようで、真剣に耳を傾けた者はいなかった。
iPadやキンドルもいいけど、ソニーとシャープの端末に期待しています。出版社はもうダメだ。