紅しょうがの残日録

いい加減でアバウトで(^^♪

校庭の栴檀

2023年05月15日 15時47分12秒 | 日記

私の最寄りの電車駅前(裏)広場におおきな大きな木があり、いま薄紫の花が満開を少し過ぎ、花びらが地面にいっぱい散っています。ここには戦前、女学校があり戦後まもなく学制改革で中学校になりました。

私は戦後の中学卒業生です。女学校時代の木造校舎で学びました。卒業してから十数年後、この中学は郊外に移転し駅前広場になり、その大きな木は記念に残されたものだそうです。

私が卒業して半世紀も経たころ、現代詩の女性詩人の評伝が出版され、この人が大戦中にこの女学校を卒業し、ちょっと前に亡くなっていることを知りました。

文学に近い人には知られた人ですが、「普通の人」たちにはほとんど知られず、私は地元出身だからというのではなく、この人の作品、生活態度のなどを知ってファンになりました。

この詩人が高齢になって女学校の同窓会が計画された時、彼女は東京在住でしたが、出席できないとのことで会の担当者よりメッセージを要望され、それに応えた手紙が次の文章です。

  たちまちに流れ去った  五十年

  どの時代も乱世であっただろうけれど

  わたしたちの生きた時代もひどかった

  せいいっぱいに生きて

  友ら皆  どのようなたたずまい?

  はるかに憶う  なつかしのかんばせ

  老いてなお

  かつての日のおとめの  はじらい

  どこかに一点  残していてくれるだろうか

  まなかいに  今も咲く

  校庭のうすむらさきの栴檀の花

    1993.5.9 同窓会に寄せて

(岩瀬文庫特別展 「茨木のり子没10周年 詩人茨木のり子とふるさと西尾」展示資料より)

かん-ばせ 【顔・容】名詞 顔つき。容貌(ようぼう)。顔。

ま‐な‐かい 【眼間・目交】〘名〙 (目(ま)の交(か)いの意) 目と目の間。転じて、目の前。まのあたり。

この詩人の名は茨木のり子です。医師と結婚の後、東京に住み東京都西東京市(旧保谷市)にその家は今も在ります。

幹の径は1mくらいあります。「栴檀は双葉より芳し」の栴檀はインド原産白檀(びゃくだん)の異称で、この木に香気はなく中国・朝鮮。日本などに分布する「あふち/おうち:楝」という木です。学問的にも標準和名は「センダン」です。

満開過ぎたの栴檀の花

私は在学時代にこの木の記憶がなく、太いクスノキが何本もあったと思っていました。

 

雨間の曇り空で撮りました。

 

         完

 

 

 

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