下見板(したみいた)という建築外壁板張り工法の名前です。昔からある伝統工法で現代でもたくさん残っており、市街地では耐火基準の規制で板張りは出来ない地域も多いが、そうでない所では今でも使われます。
これはあるお寺の外周の塀です。見事なものです。お城の天守で姫路城みたいに白壁ばかりもありますが、熊本城・松本城など黒い板張りの部分が下見板であります。
横向きの板を下の板に少し重ねて上方へ張り上がっていくように見えます。これは壁に降りかかる雨が下に垂れ、板の継ぎ目で内部に入らないためです。板が下を見ているようなので「下見板」かな。
そして40cmくらいの間隔で縦方向に角材で押さえつけています。しかし単なる角材では、板の重ね合わせ部で段ができているため、下の板とに細長い三角のすき間ができてしまいます。そのため抑えの角材は板にぴったり合うように細い三角の刻みを入れています。ちょうどノコギリの歯の様にですね。
このノコギリ状で縦方向の押さえ角材(押縁)を簓子(ささらこ)といって、こういう工法の板張りを簓子下見(ささらこしたみ)というのだそうです。
今まで説明のため「横板を這ってから角材で押さえる」と書きましたが、実は張る前に、幅一間(けん)くらいの単位で、簓子(ささらこ)の枠組みに板を貼り付けパネルとし、それを壁に取り付けるのだと。上の写真で縦材6本目で角材が二重になっていますこれがパネルの境目であることを示しています。下見板と縦角材の固定にくぎなどは表から見えません。パネルと足て造る際、裏側から釘で止めているのでは。
以下は別のお寺にある鐘楼(鐘つき堂)の下部です。かなり立派な下見板張りで押さえの縦角材(簓子:ささらこ)は10センチ近い太さです。
鐘楼の四方の角は押さえ縦角材がなかなか工夫されています。
石積みの上に土台木を置き、銅版の水切り、飾り板など豪華な作りです。
立派な鐘楼の外観を紹介します。入母屋式屋根で高欄付きの2階に梵鐘があります。上記下見板は一階部分でよく見えませんが。
屋根瓦が桟瓦です。おそらくは本瓦葺だったものを補修の際変更したんでしょう。
鐘を突く棒です。「撞木:しゅもく」。材料は棕櫚(しゅろ)の木などが良いのだそうです。
入母屋屋根の軒先の隅には風鐸がぶら下がっています。いいねぇ・・
以上