空色野原

空の下 野原にねころんで つぶやく

才能に障害はない

2008-08-08 14:29:06 | 面白記事*面白番組
 神奈川県平塚市にある「工房絵(かい)」。知的障害者のための授産施設で、40人ほどの利用者が、絵や織物などを思い思いに制作する。スタッフは手伝うが指導はしない。全国のギャラリーや雑貨店からの依頼で、毎月のように作品展が開かれる。
 開所は92年。施設長の関根幹司さん(53)が以前勤めていた作業所に、段ボールに木工用接着剤を塗り、紙や絵の具を重ねて楽しむ利用者がいた。バザーに出すと好評だった。「就労の選択肢は多い方がいい。遊びや得意なことを仕事に」とひらめいた。
 工房絵で描くようになり、デザイナーの紹介で東京・代官山の雑貨店にポストカードを置いた。雑誌で紹介され、評判になった。
 絵が売れたら2割が作者の収入になる。カードなどは総売り上げの2割を利用者で分ける。03年から専門の会社に著作権管理を依頼している。
 作者の一人、川村紀子さん(33)は、訪ねてくるファンとの交流を通し、言葉で気持ちを表現するようになった。給料袋も大事にしまうようになった。「認められ、お金になるのは喜びです」と関根さん。
 社会貢献として力を入れる企業もある。人材派遣会社パソナの特例子会社「パソナハートフル」(東京都千代田区)は、04年から「アーティスト社員」制度を始めた。いま17人いる。
 その一人、友永太さん(37)の作品は、コップやポストカードになった。養護学校を出て作業所に通いながら絵を描き、展覧会にも出品。05年にアーティスト社員になる。月6回、会社が開く講座で絵を描くのが仕事。それ以外は郵便物の封入作業をする。月給は税込み12万円ほどだ。プロの指導もある。カサブランカ2輪を描いた友永さんは、画家の相沢登喜恵さんにアドバイスされ、7輪に増やした。

 障害者のために、手続きを代行する団体もある。
 NPO「エイブルアートカンパニー」(東京都中野区)は身体障害者や知的障害のある人の絵を登録し、著作権使用料を取って貸し出す。昨年4月、3つのNPOが協力して発足、作家16人を指名した。
 公募で今春、新たに16人を登録。作品は2000点を超える。
 登録は無料。作品の使用料はカンパニーに払い、3割が作家に渡る。これまで、銀行の記念品やアパレルメーカーのTシャツ、化粧品会社のカタログの表紙など、約10社に採用された。使用料は、冊子の表紙で5万円からが目安だ。
 86年から同様の活動をする「アートビリティ」(中野区)は、社会福祉法人の一部門だ。約3500点を登録し、冊子のカラーの表紙だと使用料は5万円。6割を作家に払う。2ヶ月に1回、審査会がある。毎回100点ほど応募があり、採用は10点という厳しさだ。作家がスランプのときはスタッフが相談にのる。
 こうした背景には、06年に施行された障害者自立支援法もある。自己負担が増えて作業所などに通えず、創作活動が続けられなくなった障害者もいるという。エイブルアート・カンパニーの太田好泰さん(46)は「障害者の就労や工賃アップが進む中、お金にならないアート活動をやめる施設もある。生活できるほどの額ではないが、アートが収入になると示したい」と話す。
 神戸芸術工科大学の見寺貞子教授は「障害者のアートをビジネスとして生かすには、作品を判断し、コーディネートする人がかかせない。利用の際は著作権を明確にして契約書をかわし、トラブルを防ぐ必要がある」と指摘する。(朝日新聞 08.5.24)

※写真は工房絵での制作風景/神奈川県平塚市・高波淳撮影

工房絵
http://www.sfc-net.or.jp/kai/
パソナハートフル
http://www.art-mura.com
エイブルアートカンパニー
http://www.ableartcom.jp
アートビリティ
http://www.artbility.com


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2 コメント

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Unknown (りみ)
2008-08-10 11:09:31
写真の背景にある、花の絵面白いですね、構図が。
下のほうから見た感じなんですね。ポピー・・?
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ほんとだ。 (ben-chicchan)
2008-08-10 16:02:57
いわれてみれば、ポピーに見えますね!いい絵だ~。
その他リンクしてるHPを見てみると、こんな絵がいっぱいです。
こころの縛りのない、自由でおおらかで楽しいほんとにカンドーするいい絵が多いですね。
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