空色野原

空の下 野原にねころんで つぶやく

ターシャ・テューダー

2008-07-29 14:05:32 | 元気になる人物伝
ひとつの奇跡でした。
この人が生きていた同じ空の下にいたことが。
わたしの中で、とても大きな人です。

地球上にこんな場所があるなんて
初めて見たら目を疑うでしょう。
そして、何度も目にすると
奇跡を信じるようになる。

ターシャは大上段に構えて世界をどうとかしようなんて
これっぽっちも夢にも思っていなかった。
けれども
このターシャの淡々とした愛と努力の結晶に触れる人への影響力は
大統領よりも大きいかもしれない。
小さなひとりも
まっすぐに生き抜くと知らずにこうなっていたりする。

最近追悼番組を再び観ましたが
見れば見るほどカンドウは深まります。

「人生は短いのよ。好きなことしなくちゃ。私は庭仕事が好き。だからやってるの。美しい庭は喜びを与えてくれるわ。満天の星と同じよ。草原に咲き乱れる白いデージーを想像してみて。無数のデージーが光を浴びて輝くの。まさに夜空の星のよう。他に何もいらないと思うわ。」

「ただ、思う通りに歩んできたの。夢を実現するためには忍耐も必要よ。でも絵と庭のためなら。人生そのものなんですもの。」

「人は物事の悪い面ばかりを見ようとするけど、それは間違っているわ。この美しい世界を楽しまないなんてばかげてるわ。今が人生で一番幸せよ。」

名家に生まれ
飛行機などを設計する父と肖像画家である母
才能ある両親に恵まれたが
ターシャが望んだのは社交界ではなくて、牛を飼うことだった。
電話を発明したグラハム・ベルの家で
夢のように美しい黄色いバラの花を見て、3歳で
「わたしはこんなうつくしい花を育てる人になる。」
と決意する。

23歳で結婚し、26歳で初めての絵本を出版するが
4人の子を育てながら43歳で離婚し
自給自足のような農園暮しを続ける。
息子のセスに言わせると「それは大変な重労働でした。」

57歳の時、長年の夢をかなえるためバーモント州に移り住み
荒れ果てた土地を一から育てて
世界のガーデナーをうならす『楽園』にした。
家は息子のセスがひとりで作ってくれた。
彼は今家具職人として
ターシャのコーギー・コテージから歩いて
10分のところに住んでいる。
彼の息子(ターシャの孫)ウインズローは
かわいいお嫁さんのエイミーと
ターシャが残した美しいコーギー・コテージを
これからも守ってゆくだろう。

ターシャはどんなに生活が大変でも
季節の行事を大切にして子どもたちを
(もちろん自分も)楽しませた。
彼女がよく言うのは
 ~喜びは創り出すもの~

【ターシャ・テューダー】

挿絵画家・絵本画家・園芸家
1915年8月28日
マサチューセッツ州ボストンに生まれる
1938年に「パンプキン・ムーンシャイン」を出版して以来
80冊以上の本を出版。今年93歳。
19世紀のライフスタイルとそのガーデンの美しさは有名。
4児の母。
2008年6月18日家族にみとられながら安らかに旅立つ。

「人生は短いのよ。文句を言っている暇などないの。
目の前にある幸せを、精一杯味わうことよ」

写真:ブックグローブ社『ターシャ・テューダーの世界』より