空色野原

空の下 野原にねころんで つぶやく

数字はカラフルで生きている

2007-09-29 12:35:36 | 
「ぼくには数字が風景に見える」D.タメット著 講談社

だいぶ前ですが、面白いTVをNHKでやっていた。
『ブレインマン』(イギリスのドキュメンタリー)
映画「レインマン」の主人公と同じサヴァン症候群の
ダニエル・タメットという27歳の青年。この本の著者。
でもレインマンのような自閉症の症状はない。
ダニエルは数字を色や形で感じることができる『共感覚』の持ち主。
彼にとって、数字の「1」は輝きで
正面で光をぱっと照らされたような感じがするし
「2」はただようような動き、「5」は雷のような激しさを感じる。
彼はニューヨークに行ったとき
「NYシティは数字の9みたいだ。大きくて圧倒される。」
とつぶやいた。

また、彼はどんな複雑な計算でも
一瞬にして計算せずに答えを出す能力がある。
それに数字がたとえ何桁であろうがそれが素数であるかどうかを
一瞬で見分ける力を持っている。
「素数はつるつるしていて、丸みがある。素数でない数字はざらざらしている。素数はとても気持ちがいいのです。」

素数とは、1とそれ以外の数字で割り切れない自然数。
たとえば、2、3、5、11など。100までは97を最後に25個あり
それ以降も無限にあるらしい。

わたしたちにとっては何の変哲もないページ上の白黒の文字や
発音された言葉の響きが
頭の中では鮮やかな色彩となってほとばしるという人がいる。
この人にとって「two」は青、「2」はオレンジ、「3」はピンクで、「traffic」は青でもあり茶色でもある。

この特殊な知覚は『共感覚』と呼ばれるもの。
共感覚とは、ある刺激を受けたとき
本来の感覚に他の感覚が伴って生ずる現象で
印刷された言葉や数字が色となって感じられたり
香りが形を伴ったり
話し言葉が虹色に見えたりする。
共感覚者<共感覚を有する人>にとって
新聞はただの白と黒ではなく
全面に赤やオレンジ、青、ベージュ、ピンク、緑などの
色が散りばめられたものに見える、と研究者たちは説明する。
共感覚者が本を読むと
ページがさまざまな色のついたパレットのように見え
時には文章の内容より
ページの美しさのほうに気をとられてしまったりもするという。

だいたい2万5000人に1人が共感覚を持つ
と考える研究者もいるという。
また共感覚者の割合はもっと多く
ほぼ200人に1人いる可能性を示唆する研究もある。

共感覚についてほとんど知られていないのは
共感覚者の多くが
自分の特別な知覚を認めようとしないからだという。
あるいは、自分が他の人と違うことを知って驚き
他の人もみな自分と同じ色とりどりの世界を見ているもの
とばかり思っていたと話す共感覚者もいる。

自分が思っているよりももっとカラフルで
ファンタスティックな世界を
実際に生きている人がいるのですね。
これだけ肌(?)で感じる人がいると、数字というものも
もしかしたらほんとは無機質なただの記号というだけでは
くくれないのかもしれません。
色だけでなく、味として感じる人もいます。
電話のベルを聞くたびに
ハラペーニョ・ペッパーとアボガドソースを包んだ
ブリトーの味がする、とか。(こっちはちょっとたいへんかも…?)
想像するだけでもスゴイこと。
けっこうインパクトありました。