空色野原

空の下 野原にねころんで つぶやく

どんな高価な物もかなわない財宝

2007-03-19 15:33:15 | 映画
ドキュメンタリー映画『デック』を観てきました。
デックとは「こども」という意味だそうです。

タイ北部の山岳民族のこどもたち。
農業をしている親の手伝いをしています。
現金収入の少ない親たちは
こどもをなかなか学校には行かせられません。

だいたい学校がありませんでした。
はじめは10人くらいのこどもたちを集めて
青空教室からスタートしました。
まずは昼ごはんも食べられないこどもたちの
ごはんの心配からありました。

やがて日本のNGO地球市民ACTかながわ等からも支援があり
3階建ての校舎や寮が出来ました。
学校からはなれたところに住んでいる生徒たちは
寮に入り自炊します。
自分たちで食べるものを畑でみんなで作ります。

ホームシックになる子を先生や友達で支えます。
24時間一緒に生活するうちに家族以上の絆が生まれていきます。

校長先生はほっそりとした誠実そうな優しそうな人です。
けれどもこどもたちや働く先生のことを誰よりも気にかけていて
なんとしてもこどもたちを守り抜き、その未来を思うという情熱が
静かな面影の下に隠れていました。

勉強ができずに学校を抜け出すワルット君という子がいました。
校長先生は膝詰で彼に話します。
「君は悪い子じゃない。わたしの誇り。」
こころから彼を信じる校長先生に、ワルット君は変わりました。
校長先生のおかげ、とワルット君は言います。

校長先生はガンを患っても誰にもそのつらさは告げず
学校で倒れました。
校長先生が入院してしまったメートー学校は
「舵のない船のようだ。」とある先生は表現しました。
生徒たちも先生たちもこころから祈ります。

やがて回復した校長先生は学校へもどります。
そしていよいよ生徒も校長先生もわくわくして眠れなかった
海を見に行く卒業旅行です。

ひととして生まれた感動と喜びの躍動が
ここにつまっています。

ある女の子はこう言います。
「浜の砂は丸い地球をどう思っているかな?」
「月は丸い地球をどう思っているかな?」
「みんなわたしのこと好きかな?」
「誰に聞いてみたらいい?」[カメラマンの問い]
「わたし自身に聞いてみる。」

心を許した友達と先生と
見たことがないこの星のダイナミックな美しい不思議を見にゆく。
彼らの心に、この日は永遠に輝くでしょう。

こどもたちに腹いっぱい食べさせることのしあわせ。
こどもたちの成長をただひたすら願う先生たち。
海を見に行った時のこどもたちの
輝く笑顔を見る時の
先生たちのこれ以上ないしあわせに満ちた溢れる笑顔。

本来のおとなのしあわせな顔もここにはありました。

ひとの情がふれあい
ともに苦労し
いっしょに感動する。

どんな高価な物もかなわない財宝が
ここには光っていました。

*写真は校長先生とワルット君

15年に渡り教育支援活動を行っている
地球市民ACTかながわのHPに詳しく載っています。
http://www.tpak.org/dek/home.htm