空色野原

空の下 野原にねころんで つぶやく

海を見たことがない子どもたちが

2007-03-15 15:19:34 | 映画
タイのドキュメンタリー映画です。
『デック~子どもたちは海を見る~』

この「海を見る旅」は
子どもたちの通うメートー学校の校長先生が発案したものだった。
校長先生は、
都会から遠く離れたタイ北部の山の学校で学ぶ生徒たちが
広い視野を持って成長してほしいと考えてきた。
生徒たちは中学3年の卒業試験に無事合格すれば
海を見に行く卒業旅行のチャンスを得られるのだ。

子どもたちは勉強のかたわら野菜を作って売ったり
ニンニク農家の手伝いをしたりしてお小遣いを稼ぎ
旅行費用を作った。
家族の中でそれぞれの民族の言葉で会話して暮らしている
山岳民族の子どもたちにとって
タイ語を勉強するだけでも大変なことなのだ。

そして、長い長い時間をバスに揺られ
ついに子どもたちは海を見た----。
自分の暮らす村以外の世界がどれほど大きいかを
自分自身の目で確かめたのだ。
子どもたちは今まで
限りなく広がる海に太陽がオレンジ色に光り輝く光景なんて
見たことがなかった。
小さな貝殻の中に隠れて生きる小さな生き物も
見たことがなかった。
子どもたちは、走った、笑った、飛び回った。
我を忘れて波間に身を委ねた。

「ふたつのお日様を見たのは、村では僕が初めてだ。」
14歳の少年が海水を入れたビンを抱えて叫んだ。
村に残っている弟へのお土産として持ちかえるのだと。
ふたつのお日様というのは
海の向こうに輝く太陽と水面に映った太陽のことなのだ。

子どもたちは心から人生の喜びに浸っていた。
驚きと感動に満ちた人生。子どもの目で見る人生。
これこそが、人生の本来の姿だろうと、私はこのとき感じた。
(アリヤー・チュムサイ監督)

*明日から3日間と、4/6、4/7に
東京広尾のJICA地球ひろばで上映されます。(予約が必要です)

詳しくはJICA地球ひろば
http://www.jica.go.jp/hiroba/