残照日記

晩節を孤芳に生きる。

政局風雲

2011-08-24 18:11:12 | 日記
【議会主義制批判】(レーニン著「国家と革命」)
≪アメリカからスイスまで、フランスからイギリス、ノルウェーその他の国まで、どの議会主義制の国を取り上げても──これらの国々では、“国家”の実際活動は舞台裏で行なわれ、各省、閣僚、高級官僚によって遂行されているのだ。議会そのものは、“民衆”をだますという唯一の目的のために、おしゃべりに終始しているのだ。…≫(「語録人間の権利」ユネスコ篇 桑原武夫監訳 平凡社刊より)

≪国難乗り越える先頭に立つ…出馬表明で前原氏──民主党の前原誠司前外相(49)は23日、国会内で自らのグループの会合を開き、「挙党一致で日本の危機を救い、国難を乗り越えていく先頭に立たせていただきたい」と述べ、菅首相(代表)の後継を決める党代表選への立候補を正式に表明した。…前原氏は「全員野球」を強調し、「親小沢」と「反小沢」で党内対立が続いている現状について、「『小沢史観』からは脱却しなければいけない」と指摘した。元代表を含む代表経験者と個別に会談したいとの意向を示す一方、元代表の党員資格停止については、「現執行部が決定したことを尊重する」と見直し反対を改めて表明。3月に外相辞任のきっかけとなった在日韓国人献金問題については、時期を見て記者会見し、国民に説明する意向を示した。≫(8/24読売新聞)

▼愈々政局が動き出した。だが、問題を抱えたまゝの船出である。今朝の朝日新聞の調査「民主党47都道府県連幹部」取材記事に於ける反応を見るだけでも、「党内のゴタゴタ」を憤り、とにかく「党内融和」「挙党一致」を求める“悲鳴”が聞こてくるようだ。日経新聞を除く5大紙が、前原氏の出馬表明に対し、社説で民主党代表選に注文をつけた。要所を切り貼りして以下に掲げる。老生の愚見は不要だろう。──産経:≪前原氏出馬 外国人献金の説明がない。前原氏だけではない。小沢一郎元代表は政治資金規正法違反罪で強制起訴され、菅直人首相も外国人違法献金に加え、北朝鮮や拉致容疑者と関係の深い政治団体への巨額献金問題を抱えている。首相の巨額献金問題では、関係する政治団体から民主党国会議員のもとに6人の秘書が送り込まれていた。「クリーンな政党」を掲げながら、不透明かつ不適切なカネの流れが存在している。…前原氏は近く説明するとしたが、最高指導者を目指す上で、まずもって求められるのは、自らの疑惑払拭だ。…さらに不可解なのは代表選だ。事実上の首相選びを党所属国会議員だけで決めるやり方は問題だ。党員・サポーターをも巻き込んだ政策論争こそ、公党には最も必要なものだ。しかも、最大勢力を持つ小沢氏を代表選候補らが相次いで訪ねる「小沢詣で」が横行している。政策よりも、数合わせを優先してはいないか。≫

▼朝日:≪前原氏立候補──党代表や重要閣僚を歴任し、知名度のある政治家が名乗りをあげたことで、ようやく少しは代表選らしくなってきた。…すぐに政策論争を始めてほしい。立候補するなら現職閣僚であっても菅首相の正式な退陣表明を待つことなく、所信を発信すべきだ。 これまで、複数の立候補予定者が、党員資格停止中の小沢一郎元代表を訪ねたり、その処分解除を口にしたりしている。いつまで「小沢か脱小沢か」という内輪もめをさらし続けるのか。 小沢氏の処分は、党の機関が手続きを踏んで決めた。刑事裁判の判決も出ていないのに、見直す理由などない。そもそも、代表選の争点に浮上すること自体が見るに堪えない。 「小沢詣で」のより深刻な問題点は、グループの票を欲しさに、候補者たちが基本政策や主張をあいまいにする傾向がみられることだ。…候補者は首相になるという気構えのもと、堂々と政策の旗を掲げなければならない。そして議員は、一人一人が全国民の代表であることを深く自覚して、投票行動を決すべきだ。それなくして、この危機のさなかに、代表選をする意味はない。≫

▼読売≪民主党代表選 政策とその実現の道筋を示せ──民主党を支えてきた菅首相と鳩山前首相、小沢一郎・元代表のいわゆる「トロイカ」が出馬しない代表選となる。新生・民主党を築くきっかけとすべきである。…新代表が直面する課題は、内政、外交とも山積している。まず、東日本大震災からの復興を急ぐことだ。巨額の復興財源を増税によってどのように捻出するのか、明確な方針を打ち出す必要がある。このほか、電力危機を克服するエネルギー政策や人口減社会での成長戦略の策定、歴史的な円高への対応、環太平洋経済連携協定(TPP)参加の是非などがある。菅政権のように場当たり的な対応を繰り返してはならない。各候補は、早急に自らの政策を練り上げ、活発な政策論戦を繰り広げる必要がある。相互不信に陥っている政官関係も見直さなければなるまい。政策の実現に向け、野党とどう連携するかも極めて重要だ。ねじれ国会の下では自民、公明など野党との信頼を深めなければ、安定した政権運営はおぼつかない。懸念されるのは「小沢詣で」小沢氏に対する党員資格停止処分を見直すかのような発言さえあることは理解しがたい。票ほしさに処分を見直すというのでは国民から到底理解を得られまい。≫

▼東京:≪増税 民主代表選 霞が関改革をどうする──民主党代表選の大きな焦点は増税問題への対応だ。ところが、ここへ来て有力とされる候補は票欲しさからか言葉を濁す姿勢が目立っている。公務員制度はじめ霞が関改革への姿勢も問われる。…菅政権は東日本大震災の復興財源は所得税や法人税など基幹税の増税で償還し、社会保障財源についても「二〇一〇年代半ばまでに消費税を10%に引き上げる」との基本方針を決めている。いまになって現職閣僚があいまいな発言をするのは、いかがなものか。代表選の勝利を優先して、露骨な「増税隠し」に動いたと批判されても仕方がない。…増税論者の野田氏が急にかじを切り替えたのは、現実問題として増税環境が遠のいたという判断もあるだろう。だが、デフレを脱却していないのに、財務官僚の言いなりになって増税を決めた見通しの甘さこそ問われるべきだ。(又)霞が関改革をどう進めるのか。そこを聞きたい。民主党は「脱官僚・政治主導」を旗に掲げて政権を握ったが、いまや面影もない。日本経済の再建はもとより震災復興のためにも、霞が関の縦割り行政打破が不可欠だ。本音の論戦を避けているようでは、次の政権も期待できない。≫

▼毎日:≪最も注目したいのは、震災復興にかかる費用の財源をどう考えているかだ。…ところが、候補者として名が挙がっている人たちの多くが増税には反対か慎重な立場だ。「復興に水を差す」「景気を冷え込ませる」という理屈は分かりやすいが、財源の裏付けがなければ、基本的に単なる国債の増発に過ぎない。…税と社会保障の一体改革に伴う消費税引き上げにしても、復興増税にしても、「まず景気をよくしてから」という主張が多い。だが、景気を言い訳にした先送りの結果が、国債の発行残高だけでも670兆円という借金の山ではないか。…都合の悪い話題は協調してあいまいに、では党として信頼を失う。互いに見通しの根拠や最悪のシナリオへの備えについて追及し合うような討論を披露してほしい。≫

参考:【毎日新聞が20、21両日に行なった全国世論調査】
≪首相は東京電力福島第1原発事故発生後、「脱・原発依存」を提唱してきた。しかし、再生可能エネルギー推進策の先行きは不透明。全国規模で広がった電力不足を受け、社会・経済活動への不安も反映し、今回の調査で7割強が段階的な原発削減を求めた。原発を「減らす必要はない」は13%だった。原発事故に関連し、放射性物質による食品汚染への認識を聞いたところ、「不安を感じる」との回答が「大いに」(27%)と「ある程度」(44%)を合わせて71%に達した。不安を「あまり感じない」は23%、「全く感じない」は4%だった。民主党が子ども手当など09年衆院選マニフェストの主要政策を見直すことで自民、公明両党と合意したことについては「賛成」が69%で、「反対」(27%)を大きく上回った。賛成と答えた人は、民主支持層でも68%に達した。野党が参院で過半数を占める「ねじれ国会」を抱え、新政権の運営は引き続き、野党との協力関係が焦点になる。自民党など野党の対応を聞いたところ、「新政権と政策ごとに協力する」という「部分連合」への支持が70%と最多。民主党と内閣を作る「大連立」を望む意見は17%にとどまった。民主党の支持率は13%。自民党の支持率は22%、「支持政党はない」と答えた無党派層は49%だった。≫