残照日記

晩節を孤芳に生きる。

席を譲れ

2011-08-07 18:32:04 | 日記
【世代交代の条件】(三浦周行「歴史と人物」岩波文庫)
≪一体いかなる時期に偉人のでる可能性があるか。それについては私は政治上でも社会上でも(第一)時局の行き詰った時、(第二)旧勢力の力では、もはやどうすることもできなくなった時、(第三)最も能く新時代の型にはまった人、(第四)それで少しも捕われない見地に立って思い切った仕事のできる人、(第五)その人の出る前に既に前人が或る程度まで準備的行動を取って置いたこと、荒ごなしをやってくれたこと、換言すればその先容をなし先駆をなした犠牲者のあったこと、以上の五つの条件さえ具備すれば、まず偉人を見出すべき可能性は十分にあろうと思われる。≫(注:三浦周行は明治末から大正時代に活躍した近代史学の先駆者)

≪民主党、深まる世代間対立…次期代表選巡り──菅首相(民主党代表)の後継を決める民主党代表選を巡り、党内で世代間対立の様相が強まっている。若手議員からは、首相、鳩山前首相、小沢一郎元代表の「トロイカ(3頭立て馬車)」が中心となった政治に終止符を打ち、若返りを図るべきだとの声が相次ぐ一方、ベテラン議員は「新体制では、経験こそ必要だ」と訴えて、巻き返しを模索している。≫(以下も8/7読売新聞より)

∇やっと動き出した。大いにもめて、そして新しい民主党の編成につながることを望む。馬渕氏曰く、≪「鳩山さん、菅さん、小沢さんを含めた大先輩が創業し、政権交代という上場を果たした。今問われているのは、中興のステージへのリーダーシップ」≫と。≪居座りを決め込む首相と、退陣に道筋をつけられない民主党執行部に対して、中堅・若手議員の間では、「このままでは、民主党に対する国民の信頼が落ちる一方で、次の選挙では、全員落選する」との危機感が広がっている。…党内では、若手がグループを超えて集まり、「ポスト菅」候補を品定めする動きも出ている。…党内には、これまで「親小沢か反小沢」を軸に党内抗争を繰り広げてきたことが一番の問題点だったとして、「首相が退陣に伴って政界を引退すれば、鳩山、小沢両氏にも引導を渡せる」と、トロイカ世代の一斉退場を求める声も出ている。≫

∇≪これに対し、ベテランは世代交代の針が進むのを食い止めようと懸命だ。当選11回の鹿野農相を推す増子輝彦参院議員は「民主党は、もう失敗は許されない。党や官僚のマネジメント、国会対策をきちんとやるには、政治経験のあるベテラン以外にない」と語り、中堅議員らへの働きかけを強めている。4日夜に都内のホテルで開かれた鹿野氏の擁立を目指すグループの会合には、鳩山、小沢グループのほか、菅グループや旧社会党系グループにそれぞれ足場を置くベテラン議員ら約20人が顔をそろえた。この日の会合では、篠原孝農水副大臣が「将来の首相候補の条件の充足の状況」と題した資料を配り、過去の首相や米仏大統領の前歴などを引き合いに「当選回数、党の役職、閣僚の経験、全てを勘案して、次期首相は鹿野さんしかいない」と力説した。≫

∇従来の如き「当選回数、党の役職、閣僚の経験」等はどうでもよい。三浦周行が指摘する偉人(世代交代に適応する人材)の第一、第二、第五の3条件は揃った。残るは第三、第四の、≪最も能く新時代の型にはまり、それで少しも捕われない見地に立って思い切った仕事のできる人≫とは誰か、を考えてみればよい。例えば、①脱原発志向であり、具体的代替エネルギー政策を描けること、②そのためのステップを現状分析に基いて、ストーリー化できること、③復興財源に国民が納得できる原資ポートフォリオを提言できること、④米国デフォルト騒動で最終的に解決をみた「超党派による会議」を参考に、国会論争にのみ固執しない与野党合議方式を始めから提案できること、⑤格好のよい空疎な言葉を弄しない質朴率直な人柄であること、⑥カリスマ性は不要。但し、衆知を結集できる力量は不可欠。就任条件に党員結束の言質を取ること。etc etc 兎も角「世代交代」すべし。≪民主党は、もう失敗は許されない≫が、若手議員にのみ失敗は許される。それを“肥やし”にして再度活かせるチャンスがあるからだ。それは民主党のみにあらず。与野党共にベテラン議員、長老、派閥は若手に席を譲れ。新しい活力ある日本再興のために!