残照日記

晩節を孤芳に生きる。

50年後の人口

2012-01-31 14:03:05 | 日記
【50年後の人口 8600万人】(1/30 NHKニュースより)
≪国立社会保障・人口問題研究所は、国勢調査にあわせて5年ごとに人口推計を行っているが、それによると、2010年に1億2806万人だった人口は、2048年に1億人を割り込み、2060年にはおよそ4000万人少ない8674万人になると予測している。平均寿命はさらに延び、2060年には男性が84.19歳、女性が90.93歳となり、人口に占める65歳以上の高齢者の割合は39.9%に達するとしている。1人の女性が一生のうちに出産する人数の指標となる「合計特殊出生率」は、…前回、6年前の推計より僅かに改善して2060年には1.35、また、労働力の中心となる15歳から64歳までの生産年齢人口は、2060年には今より半数近く減少して4418万人になると予測されている。…≫

∇推計では、一人の女性が産む子供の数(「合計特殊出生率」)を1.35と仮定しているが、人口減少に歯止めがかかるとされる2.07には程遠い。又、高齢化のスピードは前回の推計より僅かに緩やかになっているものの、「少子高齢化」と「人口減少」の傾向は変わらない。≪今回の推計について、厚生労働省の審議会の部会長を務める慶応大学経済学部の津谷典子教授は「日本の人口は今後、政令指定都市ひとつ分に当たる100万人が毎年減り、人口減少が加速する」としたうえで、「年金や雇用労働政策、それに子育て支援策などの社会保障制度は、これほど急速な人口減少や少子高齢化を前提として設計されていない。今後、政府はこの推計を基に制度の修正や新たな政策の立案を急ぐ必要がある」と指摘している。≫──既に“言い古された事実”で、殆どの人々は耳慣れのせいか左程ショックを感じることはないだろう。

∇特に我々60代後半の者たちには、50年後の人口推計値など他人事である。既にあの世にいっているのだから。だが、冷静に数字を追ってみると、孫子のいる家庭では、将来真っ暗な筈だ。先ず、「合計特殊出生率」が2.07に近づくことは全く期待できない。下手をすれば1.35を割ることを考慮した推計値をも付加すべきだろう。「若年層の雇用改善」の方策が全く見えず、慢性化する「経済的不安」(それは日米欧等所謂「先進国病」)のために、子どもを安心して産めない。生産年齢人口の減少+高齢化比率増大、そして財政改革のために将来、消費税他軒並み待ち構える「増税」趨勢の前に、若年層は未来が描けず、「自分の事で精一杯」社会が到来することだろう。そんな中、一番の癌は、≪2060年には男性が84.19歳、女性が90.93歳となり、人口に占める65歳以上の高齢者の割合は39.9%に達する≫ことだ。“姥・爺捨て志向”が沸々と湧き出てくることを予感する。クワバラ/\。長生きしないことが美徳となるかも……。


終末期医療

2012-01-29 15:40:11 | 日記
【終末期医療の原則】
≪高齢者の終末期医療とケアについて、日本老年医学会は28日、胃に管で栄養を送る胃ろうなどの人工栄養や人工呼吸器の装着は慎重に検討し、差し控えや中止も選択肢として考慮するとの「立場表明」をまとめた。最新、高度な医療をすべて注ぎこむことは必ずしも最善の選択ではないと判断した。表明の改定は11年ぶり。 終末期医療の手続きなどを定めた法的ルールはない。この立場表明にも拘束力はないが、高齢者医療に携わる医師が治療方針を考える際の基本原則とするもの。具体的な手順などを定めたガイドライン(指針)を作る際のもとになる。

まず、高齢者の終末期における「最善の医療およびケア」を「必ずしも最新もしくは高度の医療やケアの技術すべてを注ぎこむことを意味するものではない」と明記。高齢者の心身の特性に配慮し「残された期間の生活の質(QOL)を大切にするものだ」との考えを示した。 その上で、高齢者が最善の医療およびケアを受ける権利の一環として「(おなかに穴を開け、管を通して水分や栄養剤を胃に送る)胃ろう造設を含む経管栄養や気管切開、人工呼吸器装着などの適用は慎重に検討されるべきだ」と指摘した。具体的には「本人の尊厳を損ねたり、苦痛が増えたりする可能性があるときは、差し控えや撤退を考慮する必要がある」と記した…≫(1/29 朝日新聞)

∇全く賛成である。尚、「終末期」の定義は、「病状が不可逆的かつ進行性で、近い将来の死が不可避となった状態」とされる。“QOL”という言葉は、平成元年の12月に、医薬品メイカーK社の役員さんに誘われて「東條会館」で日野原先生と仏教学者・中村元先生の講演を拝聴した際に耳にしたのが初めてだった。≪もし、死の領域への断末魔と判定したら、やってあげることは「治療」ではなくて、患者自身の手作りの死を準備させてやる手伝いだ。即ち安寧と宗教的清浄である≫≪人間のいのちはもともと有限なものである。与えられた寿命を精一杯生きる(または生かす)ことは当然の義務としても、ただ延命することの愚を思うべきだ≫。日野原先生の言葉が今でも耳底に残っている。当時先生はQOLを“いのちの深さ”と解釈されていた。

∇中村先生はそれを受けるかのように≪瞬間を人として満足して安寧のうちに死ねば、良きライフを全うしたことになる。裕福であるとか、有名であるとか長寿であるとかいうことは、その際どうでもよいことである≫とおしゃっておられた。──死の最終局面では、複数の病気・障害を併発して、がんと同様多くの苦痛を伴うのが実態である。日本老年医学会は、がんの治療で容認されている緩和医療やケアの技術が持ちられるべきだとし、痛みや苦しみを和らげるための麻薬(モルヒネ等)や最低限度の点滴の使用などを想定しているという。勿論医療は、“人事を尽くして天命を俟つ”ことを前提とすべきであるが、家内の末期に施された、単に延命策としか思えない高栄養の点滴治療は即刻やめて欲しい、と、老生は何度も/\思ったものである。──

大地震対策

2012-01-26 17:59:08 | 日記
≪鶴亀≫ (落語「浮世根問(うきよねどい)」他)

え~昔から“鶴は千年 亀は万年”と申しまして、
   長寿の代表格ですは。
ところが、近所の子供が縁日で買うてきた亀が
   翌日死んでしまいましてな。
子供「万年生きる言われて買うてきたのに昨日死んだ。
   何んでやねん?」
大家「それは気の毒なこっちゃ。
   それがちょうど万年目だったんやろう」
子供「……?」

≪M7級首都直下地震、4年内70%…東大地震研──マグニチュード(M)7級の首都直下地震が今後4年以内に約70%の確率で発生するという試算を、東京大学地震研究所の研究チームがまとめた。東日本大震災によって首都圏で地震活動が活発になっている状況を踏まえて算出した。首都直下を含む南関東の地震の発生確率を「30年以内に70%程度」としている政府の地震調査研究推進本部の評価に比べ、切迫性の高い予測だ。昨年3月11日の東日本大震災をきっかけに、首都圏では地震活動が活発化。気象庁の観測によると12月までにM3~6の地震が平均で1日当たり1・48回発生しており、震災前の約5倍に上っている。…≫(1/23 読売新聞)

∇“7級の首都直下地震”の発生確率が、30年以内に70%だったのが、4年以内に70%へと切迫性が高まったというのである。先ずは何故こうも予測がコロ/\変わるのか、腹立たしい。誰かが計算しなおしたら、又変更の可能性も十分ある。かくて、地震予測技術は今まで膨大な研究費を費やしながらも、少しも確度(たしかさの程度)が上がっていない。ましてや、仮に「4年以内に70%の確率」が正しいにしても、肝心ないつ、どこを震源地として起るのかといった実質上重要な予測は、現在の地震学のレベルでは全く分っていない。じゃあ我々はどうすればいいのか。──先ずは「確率」なるものゝ概念を捉えるために、上図をもとにアウトラインを理解しておこう。この図は、かつて老生が某企業で、社会的事象を確率で考える場合、特に留意すべき事項を理解する手立てとして、実際にサイコロを振って試みた実験データである。

∇表は、観察者の目前で、100回サイコロを振って、出た目を右から左、そして下の段へと順次記入してもらったもの。この表から1~6の目の出た数を合計すると、1=17回、2=16回、3=16回、4=20回、5=18回、6=13回であった。理論的には、100回振った場合のそれぞれの目の出る確率は100÷6≒16.7回であるので、4の目の20回、6の目の13回はやゝ外れるものゝ、千回、1万回振れば、法則どおり、サイコロのそれぞれの目の出る確率は、1/6に近づくことが推量・納得される。ところで、地震の発生確率というのは、4年以内に7割の確率(確かさ)でM7級首都直下地震が起るというもの。サイコロの100回がこの場合4年=365日×4=1460日に当る。今から1460日以内のある日、1回だけM7級首都直下地震が7割の確度で勃発する可能性がある、というのである。

∇さて、実験データの表に話を戻そう。それぞれの目はほゞ確率計算どおりに出たが、100回振った「合計値」であった。1、2、3、4…と順序よく出たわけではない。ある時は1→1、3→3と連続に、ある時は4→4→4と3連続に目が出て、合計するとそれぞれが1/6に近づいていた。3段目のように3→3、4→4、5→5と連続目が出る「潮目」があるかと思えば、5段目のように、1と5の目が多くでる「潮目」の流れもある。繰り返すが、100回合計すると個々の目が1/6ずつ出ていた。これが確率の実相なのである。「合計」「4年以内」という大きな想定範囲内に於ける「確からしさ」は想定できても、点としての「何時」までは全く読めない。要するに30年以内が4年以内に縮まっても、70%の確かさでM7級首都直下地震が起る「心配と対策」は変わりない。明日起るかも知れないし、4年目末日=1460日目に勃発するかも知れないし、3割の確率で外れる可能性もあるのである。表を眺めていると色々考えさせられる。詳細は割愛するが、一言で言えば、落語の「鶴亀」を思うべし。対策? 諸兄姉それぞれが考えて欲しい──。



天道の報応

2012-01-25 11:53:55 | 日記
【天道の報応について】(伊藤東涯「訓幼字義」)

≪天道の報応一人の上に就いて見るときは、たがふやうなれども、千万人のうへに通じてこれを見れば、たがふ事なし、一時の間によりていへば、たがふやうなれども、千万世に通じてこれを見れば、たがふことなし、天道はまことに大事なり、くど/\しく一時にかぎり一人につゐて見るべからず、たとへば扛秤(ちぎ=さおばかり)の物をはかるがごとし。……老子曰く「天網恢恢、疎にして失わず」(天の網は粗っぽいようだが、どうして、善人と悪人とを見張っている。)、と。老子は異端の書なれども、此の言葉は理(ことはり)なり。天道は大まかなるやうなれどもちがふ事なしといふことうたがひなし。

然るに世の人、一人一事につゐて天道を見るによりて、ちがひあるようにおぼゆ、世の中にあしき事をして禍にあはず、或は福を得るものもあれども、是はたま/\の事にて、おしなべては左あらず、しばらくはよきようなれども、古今の間に通じ、後々を見て、よろしき事なし、人々気みじかく意得せばくおもふゆえに、うたがひ多し、楚の申包胥がいへる「人多ければ天に勝ち、天定まりて亦た能く人に勝つ」と。是又名言なり。≫  伊藤仁斎の息子・東涯の人生観は、人間の歴史は、巨視的に見れば、必ず善の勝利に帰す、との考えである。そうあって欲しいものだ。──ところで老生も今年68歳になる。愈々人生も黄昏、色々なことの「店仕舞い」を急がねばならない。散策途上、あれやこれやを考え続けて対策を練っている。……


神は平等か?

2012-01-23 11:54:07 | 日記
【老子の矛盾】
≪天地は不仁なり。(天地は冷たい。なりゆき任せだ)≫(五章)
≪天道は…常に善人に與(くみ)す。(常に善人の味方である)≫(七十九章)

≪米大リーグのレンジャーズが、ダルビッシュ有投手(25)と6年総額6000万ドル(約46億円)で契約を結んだことを米メディアも大きく取り上げた。全国紙USAトゥデーは19日朝刊スポーツ面のトップで、「レンジャーズは6000万ドルを追加してダルビッシュとの契約を精算した」との見出しで紹介。また、「ア・リーグ西地区の力関係を動かした」と、ダルビッシュの加入がもたらす影響力を強調した。…AP通信は「テキサスは(ポスティングシステムの入札額と合わせ)計1億1100万ドルを払う前に2年を費やした」と、レンジャーズ側の熱心なスカウト活動に注目した。≫≪日本ハムは19日、プロ野球日本ハムのダルビッシュ有投手(25)が米大リーグ、レンジャーズへ移籍することに伴い、移籍金40億円を受領すると発表した。平成24年3月期決算に収益として計上するため、最終利益を押し上げそうだ。≫(1/20 読売新聞)

∇≪大リーグ・レンジャーズへの入団が決まったダルビッシュ有(25)とタレント紗栄子(25)が19日、離婚した。2人の所属事務所によるとこの日、代理人が都内の区役所に離婚届を提出、受理された。子供2人の親権は紗栄子が持ち、慰謝料はなし。…子供が成人するまで支払われる養育費については「裁判所の指導に従った適正な条件で合意した」としており、関係者によると「子供2人で毎月200万円弱、170万~190万円あたりで落ち着いた」という。(1/20 スポニチアネックス) ダルビッシュ有投手大リーグ入団のニュースは、民放各局・新聞各紙はもとより、NHKも大々的に報じた。しかし、よく考えてみれば、彼の6年契約金6000万ドル、日本ハム側移籍金受領額40億円、そして、離婚成立した紗栄子夫人側に慰謝料はないものゝ、毎月200万円弱の養育費云々は、どう考えても、庶民感覚とは絶対的ズレのある破格金額の話題だ。

∇アメリカ等で跋扈する、「個人の思想や経済の自由を最大限尊重すべきだ」を標榜する所謂「リバタリアン」は兎も角、「人間の幸不幸は、自助努力だけで決定されるものにあらず」、とする良識派からみれば、ダルビッシュ有君は特異中の特異的“寵児”である。どんなに努力をしても、野球選手の99、9999%がダルビッシュにはなれない。天賦の優れた体質・才能・幸運があってこその快挙なのである。理由は分からないが、神は人間を先天的格差を付けて生誕させた。今朝の朝日新聞に韓国の≪金持上位「世襲」財閥≫なる記事が載っていた。某ネット媒体が、公開資産をもとに発表した「大金持ちランキング」によると、≪一兆ウオン以上の資産家25人のうち19人を「世襲」の派閥グループ企業経営者やその家族が占めた。≫ 韓国政府の昨年の国民意識調査で、「一生努力すれば社会経済的な地位はあがるか」に対し、「上がる」は約3割、「上がらない」約6割だったそうだ。22日付の朝日新聞が、次の記事を淡々と報道していた。リバタリアンはどう読むか?

∇≪静岡県立こども病院は21日、三つの心臓病があった生後7カ月(当時)の男児の手術に成功し、同日に退院したと発表した。心臓の壁に穴が開き、肺につながる動脈がないなどの症状を抱えていた。執刀した坂本喜三郎副院長は「世界でも発症の報告がない、非常に複雑な心臓病の根治に成功した」と話した。 患者は東京都中野区の会社員有川拓さん(39)の次男の護(まもる)ちゃん(8カ月)。心臓の四つの部屋(心房、心室)の壁に穴が開いた「完全型房室中隔欠損(ぼうしつちゅうかくけっそん)症」と、心室につながる動脈が逆転している「大血管転位症」、肺動脈がなく大動脈から肺へつながる血管が枝分かれするなどした「肺動脈閉鎖症・主要体肺側副動脈」と診断された。 昨年12月、12時間以上に及ぶ手術を受けた。途中、2時間半にわたって心肺を停止させての手術だった。同病院では、それぞれの病気の手術も年に数件程度。坂本副院長によると、三つの症状を抱えて誕生するのは世界的に報告がないという。≫