残照日記

晩節を孤芳に生きる。

塞翁が馬

2011-08-17 17:22:57 | 日記
【幸運】
≪幸運を願っても良い。しかし、幸運に頼ってはならない。≫≪銀貨は丸い。こちらに転がってくるかと思うと、あっちに転がってゆく。≫≪幸運に頼っているだけではいけない。幸運に協力(努力)しなければならない。≫(「タルムード」)

≪カナダで勤め先の解雇宣告翌日に約5億4000万円の宝くじに当選した男性らが話題に──カナダのオタワで、勤め先の工場から解雇宣告を受けたその翌日に、思わぬ幸運を手に入れた男性たちが話題になっている。「もちろん誰も信じなかったよ。冗談じゃない、当たったんだよ」と話し、喜びを隠し切れない男性。会社の同僚18人と共同で宝くじを購入したところ、見事に当選し、700万カナダドル、日本円にしておよそ5億4000万円を手に入れた。しかも前日、勤めていた工場が大規模なレイオフを発表し、職を失うことが決定したばかりだった。宝くじの賞金は、1人あたり3100万円に相当するということで、突然舞い込んだ幸運に、仲間と祝杯を挙げた。≫(8/14 フジテレビ系FNN)

【希望】
≪ユダヤで最も敬意を払われたラビの一人にアキバという人がいた。彼がある時旅行していた。ロバと犬と小さなランプを持って。夜になったのでラビ・アキバは一軒の納屋を見つけ、そこで寝ることにした。就寝にはまだ時間が早かったのでランプをつけて本を読み始めた。すると一陣の風が吹いてランプが消えてしまった。仕方なく彼は寝た。夜中に狐が来て犬を食い殺し、ライオンがロバを殺した。朝になると彼はランプを持ってとぼとぼ出発した。ある村の近くに来ると、人影が全くなく、彼は前の晩、盗賊がやってきて村を破壊し、村民を皆殺しにしたことを知った。もしランプが風で消えていなければ彼も盗賊に襲われていたに違いない。犬が生きていたら吠えて、盗賊に見つかったかもしれない。ロバもやはり騒いだはずだ。してみるとすべてを失っていたおかげで、彼は盗賊に発見されなかった。ラビは、「最悪の状態でも人間は希望を失ってはいけない。悪いことがよいことにつながることもありうることを信じなければならない」と悟った。≫(「ユダヤ5000年の知恵」より) 

∇但し逆も真なり。──宝くじ一つとっても、大金を当てたがために悲劇を招いた例は数えるに暇ない。近年の実例をネット上でざっと拾っただけでも次の如し。≪ハンガリーで警察署の15人で共同購入した宝くじが高額当選(約15億円)し、全員そろって辞職。現地では大混乱≫≪米国フロリダ州で、約28億円という高額の宝くじに当選した人物が、自宅近くに埋められていたコンクリート塊の中から、バラバラ遺体で発見された。≫≪16歳のときに宝くじで3億円当てた女性。家具付きの家を4軒購入、高級車や贈り物、豪華な休暇をエンジョイしたが、同棲した男性は前科持ちで、金を持ち逃げ。現在では生計を維持するため、掃除婦の仕事を3つ掛け持ちしている。≫≪ニューヨークの宝くじで約150億円の大当たりをしていた某氏。当選前には銀行口座に82円しかなく、自己破産宣告をし、約450万円の借金があった。17年間連れ添っていた妻が、宝くじ当選のわずか10日後に離婚届を提出し、宝くじの当選金の一部を求められ、離婚した。≫≪17歳で約3億円当てた男性が29歳で孤独死。≫≪岩手宝くじ殺人事件─2億円の宝くじに当選した岩手県一関市の女性が05年に行方不明、遺体が岩手県陸前高田市内で発見された。≫etc etc

∇ もう一つ凄いやつを。≪2007年、米ウェストバージニア州での話。宝くじで3億1490万ドル(約363億円)を当てたジャック・ウィテカーさん。一躍有名人となった一家は報道陣に追われ、泥棒に狙われ、友人たちは一斉に借金を頼んできた。人間不信に陥ったウィテカーさんは酒びたりの日々を送るようになり、飲酒運転でつかまったことや、カジノの女性従業員たちに暴行罪で訴えられたことで、妻は家を出た。一方、孫娘のブランディさん(当時14歳)は、一家の金に目をつけた誘拐騒ぎなどで通学が困難になり、次第に年上の遊び仲間とつきあうようになり、ついには麻薬中毒に。3年後、遺体で発見されたブランディさんの体内からは、コカインが検出。以上の出来事が、当せん後の5年間に起こった。──ウィテカーさん曰く、「当せん後の5年間で何もかも失ってしまった。賞金と引き換えに取り返せるものなら、すぐにでも返金したい」と。≫(livedoorブログより) 「聖書」箴言に曰く、≪明日のことを誇ってはならない。一日のうちに何が起こるかを知ることができないからだ。≫ 要するに“人間万事塞翁が馬”である。滅入らず高ぶらずいこう!

【人間万事塞翁が馬】
≪国境の要塞に方術をよくする翁(塞翁)がいた。ある時この塞翁の馬が理由もなく胡(えびす)に逃げていってしまった。人々は皆「お気の毒さま」と言った。塞翁言うには、「なに、これがどうして禍なもんか。福になることだってある」と。数ヶ月後、その馬が胡の駿馬を率いて帰ってきた。人々は皆「これは/\慶賀なことです」と言った。塞翁「なに、これがどうして福なもんか。禍の種になることだってある」と。塞翁の家は良馬で満ちた。息子が騎馬を好んだが、そのうち落馬して肋骨を折った。人々は皆「お気の毒さま」と言った。塞翁曰く、「なに、これがどうして禍なもんか」と。一年後胡人が襲撃して戦争になった。男達は手に武器を取り闘ったが、死する者十に九。塞翁の息子は不具者とて戦列から外れたお陰で父子共に生き残った。≫(「淮南子」人間訓) その後のことは語られていない……。