残照日記

晩節を孤芳に生きる。

自殺防止

2011-11-30 16:54:36 | 日記
≪孟子曰く、 命に非ざるは莫(な)し。其の正を順受(じゅんじゅ)すべし。 是の故に命を知る者は、巌牆(がんしょう=危ない巌や壊れかかったかき)の下に立たず。 其の道を尽して死する者は、正命なり。 桎梏(しっこく=罪を犯して刑を受けること)して死する者は、正命に非ざるなり、と。≫(尽心上篇)──孟子は云った。 人生において吉凶禍福などは、天命でないものはない。 人はその“命”を素直に受け入れねばならぬ。 故に本当に“命”を知る者は、決して巌牆の如き危険な場所には立たないのである。力を尽くして道を行なって死ぬ者は、「正命」を得たといえるが、罪を犯して刑に処せられて死ぬようなのは、正命を得たとはいえない。

≪自殺防止へ 政府の特命チーム発足──政府は、年間3万人を超える自殺者を減らすため、民間の有識者を加えた新たな特命チームを発足させ、自殺防止の対策強化に向けて議論を始めた。政府は4年前に、自殺する人の割合を大幅に減らす方針を打ち出したが、去年1年間の自殺者は13年連続で3万人を超え、自殺は減っていない。このため政府は、この問題を担当する蓮舫行政刷新担当大臣ら政務三役に、自殺防止に携わった経験を持つ民間の有識者を加えた、新たな特命チームを発足させた。29日の初会合で、蓮舫大臣は「国だけではなく、現場で頑張っている方たちの知恵や力を借りて、社会一体となって取り組み、少しでも自殺をなくす態勢を作っていきたい」と述べた。…会合では、来年の春に予定している「自殺総合対策大綱」の見直しに向けて、自殺の防止対策を強化するためには、医療の充実と社会全体で支えていく仕組み作りの双方が重要だという認識で一致し、今後、専門家からヒアリングを行うことになった。≫(11/29NHKニュース)

∇≪民間の有識者≫には、うつ病で3回の自殺未遂を図った妻を支えながら、企業の経営を続けてきた佐々木常夫氏や、作家で、去年3月まで小学校の教諭を務めていた乙武洋匡氏らが参加した。佐々木氏からは「年間の自殺者の半数は、うつ病が原因と言われているが、うつ病による自殺未遂は、その10倍いるのではないかと思う。」という指摘があった。乙武氏は、子どものいじめによる自殺に心を痛めており、彼らに「命の尊さを伝えたい」と語っていた。昨年の「政府白書 」によれば、自殺者の6割が無職 自殺者全体の約4 割が40~60歳代の男性だった。年代別の自殺者の比率を見ると、高齢者が減少し、20~ 40歳代前半の「働き盛り」で増えている。 自殺の原因では、動機が判明した2万3572人のうち約67%が「健康問題」で最多、3割が 「経済・生活問題」で続いた。(40~ 50歳代の男性では「経済・生活問題」が最多)。白書では、自殺対策を推進するためには≪実態の解明を進めることが重要≫としている。 尚、09年度の警視庁調べでは、自殺原因の約44%が「うつ病によるもの」としている。

∇かつて当コラムで述べたものに、労働災害における 経験則の一つである「ハインリッヒの法則 というのがあった。≪一つの重大な事故の裏には29の軽微な事故があり、さらにその裏には300の 事故寸前の「ヒヤリハット(ヒヤリとしたり、ハッとする危険な状態)」がある≫というものだった。それを単純に当て嵌めれば、13年連続3万人の自殺者の裏に、約90万人の自殺未遂者が存在し、900万人の自殺願望者がいたことになる。あながち的外れだとは言えない気がする。政府の特命チームにとっての焦眉の課題は、例えば、「うつ病が原因である」という表面的事象ではなく、その「うつ病」に至った原因、例えば「健康問題」「経済・生活問題」「いじめ」等を更に年齢別・生活環境別、兆候別、○○別、△△別…に層別化して、個々の実態に照らして深く抉り出すことだろう。≪自殺の防止対策を強化するためには、医療の充実と社会全体で支えていく仕組み作りの双方が重要だという認識で一致≫(NHKニュース)では表面的で短絡的過ぎる。それにしても、自殺者の数が、何故13年間も申し合わせたかの如く、年3万人前後なのだろうか。いつも不思議に思っている。──今日はひとまずこゝまで。


地球温暖化

2011-11-29 15:56:03 | 日記
【富や福という字の意味】
≪富という字はウカンムリに一口の田。福はシメスヘンに一口の田。一口とは一人の口の意。一人一人が食うだけの田圃を頂くことが福。今日一日生きていかれることが福。今日暮らせるだけの財産があることが富である。今日暮らせることを感謝することが、人生の一番大事である。≫(山田無文「遺教経講話」)

≪COP17開幕。カナダが京都議定書から離脱示唆──約200カ国が参加する気候変動枠組み条約第17回締約国会議(COP17)が28日、南アフリカのダーバンで開幕した。京都議定書の期限切れが2012年末に迫る中、13年以降の温室効果ガス排出の削減に向けて協議する最後の機会となる。温室効果ガスの排出削減をめぐっては、先進国と発展途上国の主張の溝は深く、進展は厳しい見通し。化石燃料を使用する権利は認められるべきと主張する途上国側に対し、先進国は主要な新興国もガス削減に従うべきだとしている。…カナダの地元テレビは、同国が年末までに京都議定書から離脱する見込みだと報道。これに対し同国のケント環境相はコメントを控える一方、京都議定書は「過去のもの」だと指摘。議定書に署名したことは当時の政府による「最も大きなミスの一つ」と述べた。同国は温室効果ガス排出の削減方針を支持するとした上で、中国やインドを含めたすべての国が対象となるべきだと主張している。≫[ダーバン/オタワ 28日 ロイター]

∇「京都議定書」(1997年に採択)では、先進国を対象に2008年から12年までの二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスの排出量を90年比5%削減するとした数値目標を設定した。我が国に至っては、2年前、政権交代に伴い、2020年までに00年比で室温効果ガスの25%削減という高い目標を掲げた。だが、大震災、原発停止等により削減目標達成が至難な日本、雇用・経済不況・金融危機に直面する欧米諸国にとって、「温暖化対策」の関心は薄れがちだ。もともと、中国やインドなど発展途上国には削減義務が設定されておらず、米国は離脱している。野田政権も29日、COP17の対応方針を決めた。≪2012年末で温室効果ガス削減の義務づけ期間が終わる京都議定書について、次の約束期間をつくる「延長」には加わらないことを確認。仮に延長が決まった場合には参加を拒否し、先進国に削減義務を課す「京都体制」から離脱する姿勢を鮮明にした。 …対応方針では、世界一の排出国である中国に義務がなく、2位の米国が批准していない京都議定書は世界の排出削減につながらないとして、米中も含めて削減義務を課す新体制を目指すとした。≫ (11/29朝日新聞)

∇米エネルギー省の速報(11/3付け)によれば、2010年の世界全体の二酸化炭素(CO2)排出量は09年と比べて約6%増の335億トン。1年間の増加量としては過去最高の伸びを記録したそうだ。日本が排出する約1.7倍の量が1年間で増えた勘定になるという。増加量の多いのは米国と中国で、この2国だけで世界の増加量の半分以上を占めているとも……。AP通信によると、排出量の増加は、今世紀末の平均気温が20世紀末に比べて4℃上がるとした「最悪シナリオ」の想定を上回る勢いで、更なる気温上昇の恐れも出て来ているとしている。されば、カナダが、≪温室効果ガス排出の削減方針を支持するとした上で、中国やインドを含めたすべての国が対象となるべきだ≫と主張したり、我が内閣が≪対応方針では、世界一の排出国である中国に義務がなく、2位の米国が批准していない京都議定書は世界の排出削減につながらないとして、米中も含めて削減義務を課す新体制を目指す≫、とするのは妥当だといえる。≪海面上昇や異常気象で毎年数百万人が洪水被害に遭い、生物種の4割以上が絶滅──。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)報告書が警告を鳴らした被害が現実になる恐れは高まっている。≫(11/29朝日新聞)。本当にそうなのだろうか? そうだとするなら、世界全体で「経済至上主義」をどこかで“やめる”しか手立てはあるまい。どうする?!


大阪ダブル選

2011-11-28 16:39:31 | 日記
≪<大阪ダブル選>維新が大阪を席巻 改革に府民熱いまなざし──27日に投開票された大阪府知事・大阪市長のダブル選は、既存政党の包囲網をものともせず、市長選で大阪維新の会代表の橋下徹さん(42)、知事選で同幹事長の松井一郎さん(47)が圧勝した。都構想を欧州の市民革命や明治維新に匹敵する大事業と位置づけて「大阪を変えよう」と訴え続けた橋下さん。主要選挙での「不敗神話」を引っ提げ、国政進出を見据える。2人が改革の両輪として大阪をどう動かすのか。そして、中央への波及は。記者会見は3時間におよび、府民は期待と一抹の不安を抱きながら、熱いまなざしを送った。…圧勝の要因を問われると、橋下さんは「既存政党への不信感でしょう。政策、理念を完全に放棄しているのが伝わった。それを有権者に見抜かれたのでは」と分析。「都構想が信任されたということ。4年間で移行できるよう法改正を迫る」と宣言し、高投票率を聞いて「60(%)いきましたか。非常にありがたい」と喜んだ。≫(11/28 毎日新聞)

∇下馬評を超える「大阪維新の会」の圧勝だった。そして、今回6大紙の主張は、まるで申し合わせたかの如く、異口同音なる「似たもの」論調だった。各紙の社説「見出し」は次の通り。≪大阪ダブル選挙 既成政党圧した橋下流≫(毎日)≪橋下氏勝利 変化求めた期待に応えよ≫(産経)≪大阪維新勝利―おごらず対話と協調を≫(朝日)≪大阪の選択 独裁者になっては困る≫(東京)≪「大阪都構想」の前にまずやるべきことは≫(日経)≪大阪ダブル選 「都構想」への関門はなお多い≫(読売)──各紙を切り貼りしてまとめておこう。先ず、≪有権者は、経済が沈滞し閉塞感の強い大阪の現状打破を橋下氏の行動力に託したといえる。 維新の公約は都構想と、教員や公務員の規律などを定める教育・職員の両基本条例、原発依存度の低下の4本柱だ。…橋下氏の個性とアピール力、激しい論戦が、高い投票率につながった。≫(朝日)≪巧みな弁舌を武器に、…有権者は橋本氏らの強い指導力に市政、府政を託したといえる。≫(日経)≪ダブル選を仕掛けた橋下氏の戦略が成功した≫(読売)。但し、≪「市役所をぶっ壊す」と公言する橋下氏には市職員の反発も大きい。一部から「独裁者」と批判されたように、橋下氏の政治手法は強引さが目立つ。≫(産経)

∇問題は維新の会は府議会では過半数を占めているが、市議会は第一等ながら過半数に満たないことだ。≪早速直面するのは、維新が過半数を持たない市議会対策だ。議会リコールと住民投票を仕掛ければ、またぞろ“橋下劇場”が続く。荒っぽい手法は民主主義の本質から離れる。≫(東京)≪市議会で維新は過半数をにぎっておらず、対話と協調はいやでも政策決定の前提となる。≫(朝日)≪大阪、堺両市議会では既成政党が過半数を占めており、どう協力を取り付けていくのかが課題となる。≫(毎日)≪とくに大阪市議会は維新の会が第一党とはいえ過半数に達しておらず、激しい抵抗が予想される。≫(産経)。そして、「都構想」だ。≪都構想については、選挙戦で論議が深まったとは言い難い。橋下氏は区割りや財政調整などの具体論には踏み込まず、焦点がぼけた印象はぬぐえない。 ≫(朝日)≪大阪では今後、都構想の実現に向けた動きが加速する。具体的な区割りや税財源などの案を明らかにし、そのメリットを有権者に十分説明する必要がある。…とりわけ難しいのは、都制度移行手続きのための法整備だろう。統治機構や自治のあり方の大きな見直しにつながるからだ。≫(読売)

∇それにしても≪有権者は既成政党にノーを突き付けた形となった。既成政党はこの結果を深刻に受け止めなければならない。≫(毎日)。その通りだ。≪大阪の選択は、無策の民主党政権への地方からの厳しい批判でもある。今回の府、市ダブル選では既成政党が相乗りした候補がどちらも敗れた。とりわけ候補擁立を主導した民主党は選挙結果を真摯に受け止め、猛省すべきだ。≫(産経)。そして、≪橋下流の是非はともかく、永田町や霞が関の主導では、自治を強くする地域主権はもはや進まないと国民は考えだしている。中京都や新潟州の構想をはじめ、政令市を道府県から独立させる特別自治市の研究も始まっている。地方が国を動かす先例として、大阪から当分、目が離せない。≫(東京)。尚、≪脱原発へ向けた新たな施策を示すことができるか、注目される。大阪市は関西電力の筆頭株主。橋下氏は株主提案権を行使し発送電分離で新規参入を促したいという。手腕が問われる。≫(朝日)。最後に、≪大阪が抱える問題は深刻だ。経済の低迷や生活保護受給者増など、組織改革だけでは解決できない課題も多い。公約した公務員制度改革の真価も問われる。府と市に基盤を築いた橋下氏がどう動くか。「体制維新」の具体的な成果を出してもらいたい。≫(読売)──老生のつぶやき。「圧勝の後には、いつもスキャンダルと失望による支持率の大暴落が待ち受けている」。


悪業・宿縁

2011-11-27 14:08:11 | 日記
≪虐待死4歳児、全身にたばこの火押しつけたあと──大分県別府市で4歳の長男を殴って死なせたとして、別府署に傷害致死容疑で逮捕された母親の無職金城利恵容疑者(37)が「やかんのお湯をかけたり、たばこの火を押しつけたりしたこともある」と供述していることが26日、わかった。捜査関係者によると、金城容疑者の長男、柊真(しゅうま)ちゃんには頭から背中にかけて、熱湯をかけられたやけどの痕があった。たばこを押しつけられた痕は、全身に確認された。 ≫(11/27 読売新聞)

∇≪県警別府署は26日、司法解剖の結果、死因は頭のけがによる硬膜下血腫だったと発表した。 金城容疑者は柊真ちゃんがおもらしをしたことに腹を立て、24日午前8時~午後5時の間、手やビニール傘で10回以上たたき、頭などにけがをさせて死なせた疑いが持たれている。24日夜、こたつに寝かせたが、翌朝、死んでいることに気づいたと話しているという。 柊真ちゃんの頭部には大きな傷が三つあり、その一つが致命傷になったとみられる。あとの二つは以前からの傷と見られ、同容疑者は調べに「過去にも殴ったことがある。家電のリモコンを使ったこともあった」と説明しているという。 容疑者は柊真ちゃんとその弟、内縁の夫の4人暮らし。別府署は日常的に虐待があったと見ている。≫(11/27 朝日新聞)

∇息子に「柊真」と名づけた母親。「柊」は冬の小喬木。この小枝を門戸に、特に節分の夜、鰯の頭と共に挿すと悪鬼を払うとされる邪気払いの木だ。生まれた時には、間違いなく、子供の幸せを願って名づけた「柊真」だったろうに。4歳で「おもらし」は特段珍しいことではない。≪内縁の夫≫に懐かず、気兼ねしたせいだったのだろうか。度々殴打され、熱湯を浴びせられ、タバコの火を押し付けられた。とにかくこういう事件を聞くと、虐待された僅か4歳児の哀れさが思われて、止め処もなく泣けてくる。柊真ちゃんの不運をどう捉えたらいいのだろう。親鸞の弟子・唯円が師の死後、親鸞の言葉を引用し著したとされる、下掲の「歎異抄」第13条が脳裏をかすめる。親鸞聖人なら、「母親の金城利恵容疑者が悪いのでもなく、内縁の夫のせいでもない。すべては悪業・宿縁だ」といわれることだろう。しかし、そう簡単に割り切れぬ何かがもや/\と湧いてくる。改めて親鸞聖人に問う、柊真ちゃんの人生って何だったのでしょう?!と。残念ながらこう返ってくるだろう。≪親鸞は、総じて以て存知せざるなり≫と。嗚呼!

【歎異抄】
≪よきこころのおこるも、宿善のもよおすゆえなり。悪事のおもわれせらるるも、悪業のはからうゆえなり。──故親鸞聖人は「兎や羊の毛に付いた塵ほどの罪でも、起こるべき原因によって起こっているのだ」と言っておられた。またある時、親鸞聖人は、「唯円房は私の言う言葉を信じるか」と仰せられたので、「信じます」とお答えしたら、「では、私の言うことに背かないだろうな」と念を押されたので、「その通りにします」とお答えしたところ、「では、人を千人殺してきなさい。そうすれば浄土往生は確定するぞ」と仰せられた。「仰せではございますが、私の器量では、一人でさえも殺すことは到底出来ません」とお答えしたところ、「では、どうして親鸞の言葉に従うと言ったか」と仰せになった。唯円「………」。「これで分かったであろう。何事でも自分の思い通りに出来るのなら、浄土往生のために人を千人殺せと言われたらその通り殺せるはずだ。しかし、一人でも殺せないという理由があるから殺すことが出来ないのだ。自分の心が良いからということではない。殺さないでいたいと思っていても、百人も千人も殺すこともあるのだ」と言われた。…≫(「歎異抄」第13条)

勝手気まゝ

2011-11-26 16:17:52 | 日記
○日溜りの殊に嬉しき小春かな  楽翁

【ディオゲネスの望み】
≪(ギリシャ哲学者の)ディオゲネスがクラネイオンで日向ぼっこをしていたとき、アレクサンダー大王がやってきて、彼の前に立ちながら、「賢者よ、何なりと望みのものを申してみよ」と言った。すると彼は、「どうか、どいて下さい。わたしを日陰におかないで頂きたい」と答えた。(「ギリシャ哲学者列伝」岩波文庫)

≪巨人・元GM清武氏「解任は不当」 12月にも訴訟へ ──プロ野球・巨人のコーチ人事などを巡る渡辺恒雄球団会長(85)との対立から、球団代表兼ゼネラルマネジャー(GM)を解任された清武英利氏(61)が25日、都内の日本外国特派員協会で記者会見し、解任を不当として12月にも訴訟に踏み切ることを表明した。 清武氏は日本語で計13ページ、英語で計19ページの反論文を配布。渡辺会長を批判した11日の記者会見の直前には渡辺会長から会見をやめるよう電話があり、「最後は説得ではなく、『君は破滅だぞ。読売新聞と全面戦争になるんだ』と恫喝された」などと明かした。 清武氏は「解任は『お家騒動』『泥仕合』に持ち込み、そのゴタゴタの中で違法・不当な処分を強行し、本質的な議論を抹殺しようとするもの」などと批判。… 一方、巨人は「本日の会見を聞き、清武君の解任理由はすべて正当であり、変更すべきところはないと改めて確信した」などとする桃井恒和球団社長名のコメントを出した。(11/26 朝日新聞)

∇当事者側の読売新聞はこう書いている。≪(前略)清武氏の記者会見について、巨人軍の桃井恒和社長は25日、「清武君の解任理由はすべて正当であり、変更すべきところはないと改めて確信した」とするコメントを発表した。清武氏が会見で、〈1〉巨人軍のコーチの総数に上限がある〈2〉一度決まったコーチ人事の変更は不可能〈3〉コーチの人事権は球団代表やGMにのみ認められている――という趣旨の見解を示したことについては、いずれも事実と異なり「牽強付会(けんきょうふかい)というべき」と反論した。(清武氏の)吉峯弁護士が「読売新聞の記事の品質が心配だ」と発言したことは、「読売新聞の信用を傷つけるもので看過しがたい」として発言の撤回を求めた。≫ 今朝の「天声人語」ではないが、≪グループのご同輩にはお見舞い申し上げる。上役中の上役をめぐる報道はぎこちなくもなろう。4年前に渡辺氏が仲介した大連立劇でも書いたが、伝える側がニュースの主役になるとややこしい≫。老生は「お家騒動」の事の次第にも、渡辺─清武の孰れが正否かの論駁騒動にも全く関心は無い。こんな下らぬ「人間喜劇」など、どこふく風のカルガモたちの日向ぼこ。「21世紀の森と広場」は今日も小春日和で穏やかであった。

【荘子の自由】
≪荘子が釣りをしていた。楚の王様が彼の噂を聞いて、召抱えんと家来をやって口説いた。家来「我が楚王が、国内の政治を貴殿に任せたいと言っている」荘子「(釣ったまま振り返らず)私はこう聞いている。──貴殿の楚国に神亀がいて、死んでからすでに三千年経っているという。霊験新たかな亀ゆえ王様はそれを大切に保管されておられる由。しかし、この亀は殺されてその亡骸を重宝されたかっただろうか、それとも生きて尾を泥中に引きずっている方を望んでいただろうか」家来「それは勿論、生きて尾を泥中に遊ばせていたかったと思います」荘子「そうでしょう。お帰り下さい。私も尾を泥中に引きずって自由に生きたいのです」≫(「荘子」秋水篇)