3.11の10年目の直後、比較的大きな地震があった。
3.11の大きな災害は津波と大体認識されているようだ。2万5000人もなくなったから大きな災害であることは事実である。
だが同時に忘れてはならないのは、福島第一原発の事故そのものではないだろうか。
津波の被害は、人命にかかわる事は取り返しがつかないが、そのほかの問題は、人間が今までのやり方の延長線上で解決できるのだから、徐々に問題は解決しつつある。が、人間が今までの能力で解決できない問題は、やはり原発の事故の問題だと思う。
<福島第一原発事故 by Digital Globe Creative Commons 3.0>
日本では東京電力及び、経済産業省の意向に従って、問題の定義が甘くなったと思う。なぜかと言うと、原因は津波による電力喪失で、それにより原子炉を冷やすことができなくなったために事故が起きたというのが 通説になっている。本当の問題を捕まえているのだろうかと僕はいつも思っている。
僕自身の素人考えでは、地震によって原発システム自体が壊れたという側面を見ることを避けてきているように感じる。
残念なことに、僕はダウンロードしていないのでお見せすることはできないが、こういう記事があったことは覚えている。
「福島第一原発は津波が来る前に壊れていた」元東電社員の原子炉専門家による記事だった。
https://bunshun.jp/articles/-/14271
「福島第一原発は、津波の襲来前に、地震動で壊れたのであって、事故原因は「津波」ではなく「地震」だった――“執念”とも言える莫大な労力を費やして、そのことを明らかにしたのは、元東電「炉心専門家」の木村俊雄氏」
と文春オンラインで紹介されている。 文藝春秋2019年9月号 掲載
さらには、九州工大の脆弱な配管の地震による事故のデータも出てきている。
<九州工大:配管システム>
<九州工大:配管の地震による損傷部>
なんだかこちらの方が信憑性が高いように思える。みんなが津波だ、津波だと言って、津波対策だけを考えていると、これからの日本の原発の安全は保てないのではないかと危惧している。
<日本列島断面図>
何しろ日本列島は、太平洋の日本海溝から立ち上がっている10、000mくらいの海山の上に、ちょこっと頭を出してるだけの存在だからだ。しかもそこが地震の巣だと言われるプレートのせめぎ合いの部分だ。やはり脱原発に向かっていくしか、生き延びる方法はないと思う。
<せめぎあうプレート>
CO2削減の方法としては自然エネルギーを利用するというのが中心であるはずだが、日本ではCO2を出さない原発にも20%頼った計画になっている。
今の原発事故は収束に何年かかるか分からないだけではなく、滞留している原発の使用済み核燃料、および廃炉計画で出てくるデブリの処理の方法が、場所も含めて日本では確立していない。 このままだと、おそらく次の次の次の世代までの子供たちに、こうした負の遺産を残していくことになるのではないかと思う。
原発を増やしていくのは、無責任だといえるだろう。