まず世界的に見ても格差の拡大は大きいということは、データが証明している。
Forbesの記事:スイスのクレディ・スイスが2018年に発表した報告書によると、
保有資産で世界の上位1%に入る人たちは、全世帯の資産の47.2%を保有している。
とてもない富の偏在が存在しているということだ。
では日本ではどうだろう?
日本ではどうかと言うと、給料自体が下がってきている。
先進7ヵ国の年収を比べてみると日本はドイツと比べて年収で157万円も安い。
実数で言うと日本は405万円が平均とある。
<2019年の先進7か国の平均年収>
別のデータにを見ると韓国がほとんど日本と同じレベルに追いついてきている。
<日本の収入の伸び>
これらには、国の意図がはっきりした、格差を助長する政策が多く取られてきている。
格差を助長した政策を見てみよう。
・消費税導入・引き上げ
1989年度 3%、97年に5%、2014年に8%、19年に10%に引き上げ
・法人税減税
1989年の40%から、30年間で7回、減税23.4%まで低下
・所得税減税
最高税率が1974年の75%から、2015年に45%まで低下
・キャピタルゲイン税(株式投資など)
1989年の株式場への10~20%の分離課税が、2003年度から軽減税率10%を適用
・相続税減税
相続税最高税率が1987年の75%から、2015年以降は55%
もう一つ大きな格差増大の原因は、労働者派遣法改正(本当は改悪)だろう。
正社員以外の派遣労働者は、1986年「高度で専門的な知識や経験を要する」13業種となっていたが、1996年に26業種に拡大し、さらに1999年には原則、自由化として、非正規労働者の数を増やした。
これが収入が減る方向に向かわせた。これが日本人の給与水準に低迷させることになった。 また経営サイドで見れば、簡単に人員整理ができることになった。
あとは実際のデータで見ておこう。
・サラリーマンの平均年収は下がっている。物価は上がってきている。
・企業の配当は大きくなってきている。つまり株を持っている人には、配当がたくさん張るわけだ。
・企業の内部留保も増えてきている。
2019年度の日本企業の内部留保 2020年10月30日 日経
製造業が前年度比0.4%減の162兆9354億円、
非製造業が4.2%増の312兆806億円だった。
合計:475兆円を超える
勿論内部留保は、将来の新しいビジネスへの投資、つまり研究費、開発費へ回る金だが、従業員にもっと給与として回してもいいという議論もある。
こうした状況に対して、昔のような労働組合はなくなったから、個人で対応していかなくてはならない。が、声が小さい。非正規雇用者は、景気動向や、コロナ 禍で余剰と見なされれば、バサバサ首になる。
アメリカでは、最近、こんなことが言われるようだ。
高まる資本主義悪玉論 ロイター 2019年6月29日
米国勢調査局によると、12年以降は所得階層上位20%の世帯が年間所得総額の51%強を毎年受け取っている。
下位20%の稼ぎは総額の3%余りにとどまる。一般国民で資本主義にマイナスイメージを抱く割合は33%だった。
さて日本の働く人たちはどうするのだろうか?