大飯原発の再稼働に向けて、政府は大わらわ!
その理由は、関西電力のこの夏の電力不足に対応するためと言われている。
しかし、地元の町と県は、明確には反対とはいえなくて、近隣の府や県知事に下駄を預けている格好だ。
本音は、国からの補助金が欲しいに違いない。
日本人が、こんなレベルで再稼働を議論(?)しているようだが、海外では、危機感はもっと高い。
太平洋を越えたサッカーボールとか、バレーボールで、美しい話をしているわけにはいかないようだ。
明快な事実がある。
アメリカ議会でも、フランスのアレバ社の専門家も、福島の発の現状には厳しい見方をしている。
ちょっと長いがアメリカ議会の議員の発言をリポートした、WSJの記事を引用してみたい。
[引用]
The Wall Street Journal 4月18日
「福島第1原発は非常に危険 米議員が燃料棒について警鐘」
http://jp.wsj.com/japanrealtime/blog/archives/10616/
福島第1原発の状況はどのくらい危険なのか。4月に視察を行った米上院エネルギー委員会の有力メンバー、ロン・ワイデン議員によると、非常に危険だという。
ワイデン氏は藤崎一郎駐米大使にあてた16日付の書簡で、同原発の原子炉建屋が再び地震や津波に見舞われれば、崩壊し、「当初事故よりも大規模な放射性物質放出」が起こる恐れがあると警鐘を鳴らした。
特に、日本は動きが遅く、危険な核燃料棒を原子炉から取り出していない。米国はスピードアップに向けた支援をすべきだ。ワイデン氏は藤崎氏のほか、 スティーブン・チュー・エネルギー長官、ヒラリー・クリントン国務長官、 原子力規制委員会(NRC)のグレゴリー・ヤツコ委員長への書簡でもこう訴えて いる。
東京電力の広報担当者は書簡についてコメントできないと述べ、同社としては行程表を着実にこなすことしかできないと説明した。外務省はコメントを控えた。
福島第1原発では、昨年3月11日の地震や津波による停電を受け、原子炉3基でメルトダウンが起こった。同3基の核燃料の多くは溶けて圧力容器の下にたまっていると考えられている。悪い状態だが、少なくとも容器が放射性燃料と外の世界を隔てている。
ただ、事故のとき保守のため閉鎖されていた4号機では、核燃料棒はこうした容器の中ではなく、屋上のプールに保管されていた。この「使用済み燃料 プール」の水が、燃料棒を低温に保ち、外の世界から遮断しているのだ。しかし、水が漏れたり、地震でプールが崩壊したりすれば、この燃料すべてが外の空気にさらされ、過熱し、大量の放射性物質を放出するだろう。他の原子炉にも使用済み燃料プールはあるが、量は比較的少ない。
東電によると、4号機のプールを分析し、建屋を補強する必要はないとの結論に至ったが、補強を行って安全余裕(耐震強度)を2割高めた。できるだけ早期の燃料棒取り出しに向けて動いているという。すべてが行程表通りに進めば、14年に作業が始まる可能性がある。
ただ、ワイデン氏によると、この日程は使用済み燃料をすべて取り出す作業に最大10年を当てている。同氏によれば、あまりにリスキーな長さだ。
同氏は藤崎氏あての書簡で、「この日程は、また重大な地震関連の事象が起こると考えた場合に、甚大で継続的なリスクをはらんでいる」と警告。「同原発の本当の地震リスクに対する過小評価は深刻であり、未解決のままだ」としている。
記者: Phred Dvorak
[引用終わり]
彼らが心配していることは、日本では「過去の話」かのように全く伝わってこない。
しかし、指摘されていることは、本当は世界レベルの現在の問題なのだ。
4号機の燃料プールにたまった使用済み核燃料棒、未使用の核燃料棒が長時間、空気に触れるとメルトダウンが引き起こされて、これまでの放射能レベルの何十倍、何百倍もの放射能が世界中に拡散されることになるのだ。
これは、一国家、日本だけでの問題ではなく、人類の問題との受け止め方だ。
サッカーボールとか、バレーボールの美談のレベルの話ではない。
もしメルトダウンがおこらなかったとしても、日本からの漂流物がアメリカ本土の海岸に大量に流れ着いたり、ハワイの美しい浜辺を汚染したりするようなことになったら、単に漂流物の話ではなくなるだろう。
彼らは、当然のこととして、損害賠償を日本に求めてくる。
そんなことは、日本では予想されているのか?
政府も東電も、そんなことを予想しているかは、はなはだ疑問だ。
一人、能天気な日本。
福島原発の本質的な問題が検証され、それに基づいた安全策が確保されていないのは明らかだ。
にもかかわらず、大飯原発の再稼働が最重要項目かのように扱われているのを、国民は見逃すわけにはいかないと思うのだが。