鳥海山近郷夜話

最近、ちっとも登らなくなった鳥海山。そこでの出来事、出会った人々について書き残しておこうと思います。

昔の人は偉かった、のか? 間近で見る社長さん

2022年02月25日 | 兎糞録

 社長さん、などというとどこかの呼び込みのようなのですが、大企業の場合は社長などというものは雲の上、雲上人となっているのかもしれません、けれど地方の中小企業では至る所社長さんが転がっています。部長、課長にいたっては掃いて捨てるほど、部長といってもよその会社にいけば係長レベルなんてのもいっぱい見てきました。昔勤務していたところの社長さん、その時すでにお爺さんでしたが、

 巷にファックスが導入され始めたころ、ある日、総務の当時何の係長だったか、社長にファックス導入してください。それを聞いた社長、ファックスを導入していくら売り上げが上がるのか説明しろ。
 会議では、頑張ります、努力しますは許されません。頑張りたいと思います、などと今様の何かの選手のようなことを言ったら罵倒されます。やるかやらないかを聞いてるんだ、どっちだ。経費となると欲しいものは買うな、必要なものは買えが口癖。
 
 ある日社長を乗せて運転中の管理職の方、温厚な方なのですが、運転中も悪口雑言、罵倒され続けこのまま車ごと日本海につっっこんじゃろか、と思ったそうです。
 そんなおじいさんでしたが仕事時間が過ぎるとコロッと変わります。よく社員を飲みに連れて行きます。女性社員はお昼に食事に連れて行きます。酒の上で仕事の話が出ると、今は酒を楽しむ時間だ、仕事の話はやめなさい。一次会で退席するのですが二次会へ行くように残ったものへ託していきます。(後から接待稟議簿を見るとちゃっかり取引先と飲んだことに。)晩年たまに運転手も務めたのですが後ろの席でふんぞり返ることはしません。必ず助手席に座ります。隣りから講話しかけます。「いいか、君、俺の言うことをよく聞けよ。」(もちろん方言です。標準語は訛った標準語です。)その次、何を言うのかと思えば、「言うことをきかないと、…飲みにつれてかねぞ。」
 仕事中は口うるさく、怒鳴り散らす爺さんでした。二言目には、伊達や酔狂で商売をやってんじゃない、商法に何と書いてある、会社とは営利を目的にするものだ、が口癖。でも何かあった時は最後に俺が責任をとる、という人でした。商売に必要なら俺をどこへでも引きずり出せ、といつも言っていました。
 
 その社長の後継者が真逆、社内にスパイを放ち、其のスパイに志願するものも出てくるのですから人というものは。人事に血液型をご採用。間接部門は優秀である、間接部門がなければ会社は成り立たない、というお考えの方。
 
 その後の転職先でも口うるさい長がいましたが、共通する所は、最後の責任は俺がとる、という人には一人だけ巡り合いました。この人のときは社内もピーンと張りつめていました。会社は上に立つもの次第、間抜けな豚が率いれば狼も駄馬にも劣るようになるし、狼が率いれば羊も猟犬以上の働きをします。知り合いの女の子は前の務め先でパートをしていてそこの店長から売り上げが悪いのは全てパートのせいだといわれたそうですが、無能の極みの人の下で働いてしまったのですね。もっといい職場に巡り合えますように。
 

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