鳥海山近郷夜話

最近、ちっとも登らなくなった鳥海山。そこでの出来事、出会った人々について書き残しておこうと思います。

山のトイレ

2022年11月25日 | 鳥海山

 昔は家の中に蝿や蚊は常駐していました。宣伝も「蝿蝿蚊蚊蚊キンチョール」八百屋魚屋さんの店先には釣り銭籠と一緒に蝿取りリボンが下がっていました。

 あの蠅取りリボにうっかり頭がぶつかると髪の毛が引っ付いて取れなくなってしまう。家の中には蠅帳(ハイチョウと読みます)というものが置いてあります。今は蝿も少なくなりました。蚊は今も活躍しています。
 
 この蝿というもの、鳥海山七合目御浜、山頂の特にトイレの中は多いです、しかも勢いよくでかいのが。あれは何蝿と言うのでしょうか?山の蝿について調べて書かれたものは無いようです。どなたか調べてみませんか。ほわ〜んなんてものじゃなくてブォーンと飛び回っていますから。あの蝿たちは、いやいや蠅にたちをつけてはいけません。蠅ども、蠅めらはどうやってどこで卵を越冬させるのでしょう。
 見出しは山の便所のにしようかと思ったんですが、どうもそれだと見出しからも文面からも臭いがしてくるようなのでトイレにしておきます。でも本当は便所。(登山家でも何でもないんでこんなくだらないことを考えております。)
 
 今でこそバイオだとか言う良いものになっているところが多くなっているようですが、そういえば山での排泄、トイレのこと、そんなもの書いている人はいませんよね。池昭さんが鳥海山冬山での排泄の事を書いていたくらいでしょうか。
 
 鳥海山小浜小屋の御不浄は今でこそそこそこきれいになっていますが。先に書いた通り蝿はすごいし臭いは香しいしですが。あの御不浄最初に建て替えた時は場所が悪かったのか雪対策が十分でなかったのか一冬で壊れて建て直したのだと記憶にあります。

 せっかくの美人が御浜の(旧)御不浄を背景に写っています。決して臭い中ではありません。
 
 以前の溜め込む御不浄、シーズン終わりに排泄物はどう処理していたでしょう。あれは小屋番の方がタオルでマスクして肥柄杓で汲み取り、斜面へぶちまけていたのです、昔の話ですよ。だからあの御不浄の裏の斜面は歩けなかったのです。小さな山小屋なら利用人数も少なく屋外へ撒いても自然が分解してくれるのでしょうがあれほど登山客が多ければ自然が分解してくれることはありません。
 
 河原宿も後年新しい 厠ができましたが、それまでは扉も建て付けの悪い大量溜め込み式。いつぞやは同行者の奥さんが帰りにもよおして河原宿の厠の扉を開けたのですが、中に入るやすぐに出てきて、「我慢します」
 山ではどこでも雉を撃てないとやってけないんですけどそういうことに慣れていない方には強烈でしたか。

 引き戸の付いている小さな小屋が河原宿の厠。
 
 山頂の御不浄も強烈でしたね。山頂で会った綺麗なお姉さん、超汚い御不浄にも「慣れているから大丈夫です」、山頂の御不浄の写っている写真もありましたが写真はこのくらいにしておきましょう。
 
 滝の小屋への車道終点、今はトイレがありますけどトイレができる前の話。一人が急に大をもよおして藪の中へ。戻ってきたら腰に荒縄が。「いやー、ズボンベルト忘れてきたんだけどしゃがんだら目の前に縄が、ちょうどよかったあ」ついでに「手洗いたいと思ったら目の前に空き缶があって中に水が溜まってた、いやーちょうどよかった」、縄と蝿も文字が似ていますねえ。
 
 蝿も縄も旧字体は右側が黽です。黽(ジョウ)は定めるの意。墨付けの紐を使って定めることから細いものを繩、太いものは索、というそうです。蠅の場合、黽(ヨウ)は揺(ゆれる)に通じ、空中をゆれるようにあちこち飛び回る虫、蠅ということだそうです。それが新字体となって蝿、縄。ついでに土に穴が開いているのが竈、かまど、へっつい。また話が関係ない方へ行きました。
 

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