鳥海山近郷夜話

最近、ちっとも登らなくなった鳥海山。そこでの出来事、出会った人々について書き残しておこうと思います。

沢、川、河

2024年01月11日 | 鳥海山

 沼と湖の違いは何ですか。はい、気持ち悪いのが沼、気持ちよいのが湖。というのは冗談。学術的には定義されているようですが基本は地元の呼び方。

 国土地理院が地図を作るときはその土地の行政に調書を出してその回答に基づいて地名、川の名前等記載します。

 川というのは地表の一段低くなったところを継続して流れる水ですね。日本では水の流れている川に河の文字は使いません、世界の川を表記するときもすべて川の文字を使います。アマゾン川、ドナウ川等々。河の文字を使うのは黄河ただ一つ。その上を行く大きなものが揚子江、江です。日本で河の文字を使うのは河川、河口、銀河、大河などなど。実際の水の流れるところに河の文字は使いません。

 沢は山の中で谷になったところを流れる水で川にそそぐ比較的短いもの。水の流れない沢もあります。鳥海山では沢と書いてソと発音するところがいっぱいあります。檜ノ沢(ヒノソ)、荒木沢(アラキソ)、白沢(シラソ)、ビヤ沢(ビヤソ)など。ところが近年の地図を見ると沢の名前に川をつけて表記してあるものが多いです。例えば女郎沢、これが女郎沢川、鹿俣沢が鹿俣沢川。これって変ですね。鳥海山の鍋森、扇子森、月山森、天主森をそれぞれ鍋森山、扇子森山、月山森山、天主森山と呼ぶようなものです。

 (図は昭文社 山と高原地図 鳥海山 1976より)


 (図は昭文社 山と高原地図 鳥海山 2022より)

 川にそそぐものは沢になっています。ただし流れる距離が長いものは川になっている場合もあります。(小黒瀬川、右白沢と本白沢が合流して白沢川)

 ところで西ノコマイ。従来は南ノコマイと表記されていて、長い間これは地図作成時取り違えられたものであろうといわれていました。先に書いた通り国土地理院が地図を作るときはその土地の行政に調書を出してその回答に基づいて地名、川の名前等記載するので取り違えたのは申請した側なのです。違うとわかっていて誰も地理院に疑義を唱えなかったのです。去年疑義を唱えた結果再調査となって遊佐町が訂正したわけですけど、その結果が良くなかった。「西河前」であると。いやいや、河の文字は使いません。日本に水の流れる河はありません。この水の流れは月光川に流入する前だから川の前、川前、コマイ、コメ(これは私の勝手な推測)。遊佐町に訂正を申し入れましたが無視されました。肩書がないと通用しません。


 (図は国土地理院25000図)

 地形図に「西河前」と書いてあっても誰も「ニシノコマイ」とは読みません。せめてフリガナをと地理院に申し入れたら遊佐町に問い合わせしてくれて読みは「ニシノコマイ」であると。その結果現行の地形図にはフリガナが振ってあります。

 ところで北海道に苫小牧があるのでコマイもアイヌ起源であろうと推測する方もいるようですがトマコマイはアイヌ語の「マク・オマ・ナイ」がもとで「奥にある川」、「まくおまない」が訛って「トマコマイ」。そういえば「真駒内(マコマナイ)」もありましたね。おなじです。

 


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