「本日も読書」

読書と映画の感想。ジャンル無関係、コミック多いけどたまに活字も。

幻の大戦機を探せ

2005年01月09日 | book
本日は古き良き時代を追い求める人々の物語。
「幻の大戦機を探せ」カール・ホフマン 文春文庫

ノンフィクション。
プラモデル好きの男の子にはたまらない話かもしれない。

第二次大戦に活躍した飛行機を見つけ、引き上げ、復元し、
飛ばす。
そんなことが実際にアメリカでは行われている。
富豪たちがコレクターアイテムとして、あるいは純粋に儲けを見込んで
それらを求める。
そのために飛行機の残骸を追い求める男たち。

すごいスケールのデカイ話がありつつ、変人の話が出つつ・・・
とにかく実際の話なので映画のように「やったー飛んだー万歳!」
なんてことにはならなくて。
悪戦苦闘のまま終わっている。
なのに皆幸せそう。読んでいて楽しいし。

話の中心はグリーンランドに不時着して40年以上も経っている
B-29「キー・バード」を現地で「修理して飛ばして運ぶ」ってこと。
スケールデカイでしょ。
だけど猛吹雪の中の作業で食料は無くなり、部品は足りん、仲間割れ、人は死ぬ
と、とんでもないことになってる。

ただこれだけが全てじゃない。
実際この話以外にも魅力的な話は多い。

とにかく「大戦機はなぜそれほど魅力的なのか」ということを
著者は問う。
あるときは大富豪に。
あるときはリヤカーで飛行機を引っ張って直したという変人に。
あるときは大戦機が好きで好きでたまらない連中に。
そんな人々に訊ねる。
皆から似たような答えが返ってくる。
しかし著者はイマイチピンとこない。

それが終盤になって分かってくるわけです。
つまり大戦機はテクノロジーが人間のお友達だった最後のものだと。
大戦機には親しみがわくけど、原爆には親しみなんてもたない、と。
コンピューターにはそんなものが無い、と。大戦機以後は非人間的だと。

だから皆プロペラが好きで、何年も時間をかけてパーツを修理し、
油まみれになっているんだ、と。

そんなことはない、とも戦争を知らない私は思うんですよ。
例えばマックユーザーにはマックが大好きでたまらない、
ウィンドウズなんて歯牙にもかけん、と。
マックを改造してWin機にした奴をボコボコにしたる、と。
Winでも例えばキャラクター化して
「meちゃん」とか「XPちゃん」とか作って愛している?
人たちがいるわけで。

油まみれになることはないし、プロペラも無いですけど、
PCを愛している人は大戦機を愛している人ときっと似ている。
皆、幸せですよ。
それにこの話、ノンフィクションにしては真面目過ぎないというか、
皆人間として個性的で面白いんですよね。
だから結構きついことが書かれているのに、どこか楽しめるというか。
暗くならずにすむ。

そんな風に思いましたがね、どうでござんしょ。



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