「本日も読書」

読書と映画の感想。ジャンル無関係、コミック多いけどたまに活字も。

土と兵隊 麦と兵隊 花と兵隊

2014年05月06日 | book
火野葦平の兵隊3部作だっけかな?
「革命前後」を読んでいるときに、読みたくなって読んでいるんですが。
NHKスペシャルでも取り上げられていたそうなんですが、見てない。

日中戦争から太平洋戦争に従軍し、作品を新聞に発表。
敗戦後、追放処分。
復帰後、再び作家になり、1960年に芥川龍之介のように自殺。

面白い。
すげえ面白い。
軽妙なリズムは今でも読みやすく、戦場であるのに明るさやユーモア、人間への愛すらある。

もちろんそこでは中国兵が殺され、処刑され、村が焼かれてはいるんだけども、後ろめたさは無い。

日中戦争を舞台にしているので、完全に勝ち戦なんです。
だからとても余裕がある。
切迫感が無いんです。

これを読んでいて、あるいは革命前後を読んでいても、火野さんが大衆作家なんだろうな、と思っていた。
それくらい面白い。軽い。

だけど火野さんは若き日に芥川先生をめざし、芥川賞を受賞し、自分の戦争責任に悩み、最後は芥川のように死んでいった。

ものすごく意外に感じるんです。
この3作品を読むと。
なぜそこまで、とすら思う。
もっと無責任に生きられる人だと、作品だけを読むと思う。

だけどたぶん私には理解できない、もっと一段も二段も深いものが実はあったんでしょう。

私は戦争を知らない人間で(多くの日本人がそうだが)、中国や韓国にイラッとしているが、だけど外交で解決しようよ、と思える人間だ。

そうではあるけども、だけどあんまり酷いようなら一戦交えて、中韓と国交断絶してもいいんじゃないの?と軽く考えちゃう人間だ。

古い戦記ものも読み、現代戦の米国兵たちやジャーナリストたちの戦記、従軍記も読んでいる人間だ。

そういう立場の人間が読むと、この3作品で戦争責任なんて感じないんですよ。この作品が問題になったなんて信じられない。
「すごく面白い戦記だよね」という感想になるんです。
これがまさに今を生きる私の時代なわけで。
むしろ「正直に書いてんなあ」と感心すらしてしまうほど。
現代の戦記が自分に都合よく、格好よく書いているのを感じてしまうからね。

以降、革命前後の感想に続くとしようか。



花と兵隊: 杭州警備駐留記
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社会批評社

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