書の歴史を臨書する

古今の名磧を臨書、最近は米フツ。
時折、気の向くままに漢詩や詩、俳句などを勝手気侭に書いております。

張芝・草書帖

2006-05-31 09:30:28 | Weblog

草書の創始者とされる張芝は後漢後期の人、
池の辺で書の修行に精進し池が墨で真っ黒に染まったと言う。
張芝の書は此処に上げた草書帖の他幾つか伝わっているが、
信憑性のある物は皆無とされている。
ただ、後漢書に張芝に関する記述が有り、
歴史書に書人として名の載る最初である。

臨書してみて改めて感じるのだが、
この書が2000年近く前の作品とはとても思えない。
全体のバランス、鋭い線質、艶やかささえ感じる運筆、
流石、草聖とうたわれる草書の名手の名を恥じない。


石門頌

2006-05-30 21:51:30 | Weblog

開通褒斜道刻石と同じ石門崖壁に刻されていた摩崖書。
書体は八分隷であるが、
のんびりとしたうねりを持つ自由闊達な運筆は、
野趣味を彷彿させる。
「命」字に見られる長脚を長く伸ばす筆法は、
前漢から後漢にかけての簡牘類と相通じるところがある。

曹全碑(AD185)

2006-05-28 06:05:11 | Weblog

八分隷の典型。
古来より礼器碑ととども漢隷の双璧と称される。
理知的で均整の取れた構成、
女性的とも言われる優美さ、
流れるような趣のある線質、波勢、
漢隷の究極として未来永劫に語り続けられるのであろう。

天鳳元年簡(AD9)

2006-05-20 07:17:23 | Weblog

刻石において隷書の全盛期を迎える一足前に、
実用書においては隷書の時代に突入したのだ。
自由奔放な表現の中に、
長く伸ばした縦画の収筆や長い横画の波磔などの装飾的な意図が見られる。
美意識の強い誰かの悪戯心から来る一寸した工夫が、
巷の評判になり流行を誘ったのではないだろうか。