書の歴史を臨書する

古今の名磧を臨書、最近は米フツ。
時折、気の向くままに漢詩や詩、俳句などを勝手気侭に書いております。

薛稷・昇仙太子碑陰(699)

2006-07-30 06:59:08 | Weblog

薛稷(649-713)
欧虞猪に薛稷を加え初唐の四大家とも呼ばれるが、
欧虞猪の亡き次の時代に活躍した。
伝わっている薛稷の書蹟は数少ない。

昇仙太子碑陰(699)
伝わっている数少ない中で碑文から薛稷の書であることが明確であり、
貴重である。
穏やかな書風は虞世南に通じる。


孫過庭・書譜(687)

2006-07-29 07:33:56 | Weblog

孫過庭(?)
生没の詳細は不明であるが、
博学にして書論に通じていた記録は残っている。

孫過庭の代表作である。
草書の名書としてばかりでなく、
古来からの書法、書論を説き、書道の変遷を鋭く論じ、
書論としても名高い。
二王の正統を正しく継承しているとされるが、
点・線が縦横無尽に入り乱れ熱気をはらむ。
線の太細、文字の大小、強弱の変化が独特なリズムと変化を生み、
躍動感の溢れる作品となっている。


欧陽通・道因法師碑(663)

2006-07-27 09:33:24 | Weblog

欧陽通(?-691)
欧陽洵の第四子。
父と同様に至孝の人と言われ、
武氏一族に抗し謀殺される。

清らかに落ち着いた字だ。
ゆったりとした空間のなせる業だろうか。
知的な構成の中に、左右に張る線や角に父譲りの強靭さを見出す。
欧陽通も古隷を相当学んだに違いない。


高宗・萬年宮銘(654)

2006-07-22 07:05:42 | Weblog

萬年宮は九成宮のこと、
一時、九成宮を萬年宮と呼んだ時期が有った。

高宗(628-684)。
太宗の第九子であるが太宗の寵愛を受け、
序列を超えて王位に付いたが、
悶々の内に崩じる。
太宗の影響を受けた高宗は書を愛し、
太宗譲りの非凡さを示す書を残している。

流れるような筆勢で淀みない。
臨書してみて、
字と字の空間を繋ぐ流れが心地よい。



猪遂良・雁塔聖教序(653)

2006-07-21 07:28:39 | Weblog

インドから戻った三蔵の為に太宗が自ら与えた序文、
猪遂良が筆を取った。
虞世南、欧陽洵を飛び越えたと言っては語弊があるだろうか。
虞世南、欧陽洵、そして従来の猪遂良をも越脱した書に思える。
修行、研鑚を尽くした上での自由奔放とでも言おうか、無の境地すら感じるのだ。
優雅繊細な趣の中に強烈な意思の力が底に有る。
見掛けは大らかで優しいが、気力を尽くして書いたに違いない。
今、尚、大雁塔の正面を飾る。