「ひとり歩きの朝」新藤兼人 2002/6 読了 ☆☆☆☆☆
「~爆弾を雨あられのとたたきこみ、みなさんたいへんでしょうと食糧を投下する。力のあるものは幸福、力なきものは不幸、はだしで歩く何百万人の餓えた難民を救え、と美味いめしを食っている人たちが人道的立場で会議をひらく。偽善と欺瞞と不信が地球を覆っていないか。そういうおまえは何をしているか。風がでて樹上の欅の梢がゆれるている。わたしは少年のように駆け出したい衝動に駆られたが、いまや老いて足が重い。とにかく。わが陋屋に帰り。一本のオリジナルシナリオを書こう、と思って。一歩をふみだした。」(本分より)
あとがきで60余年もシナリオを書いてきた作者は言う
「狭い小さな世界に棲んでいる。目がとどく範囲しかわからない。したがって天下国家を論じるとからはない。口のなかでぶつぶつ呟くわけだ。 -略ー ドラマを創るということは自分自身を書くことでもある。狭い小さな拠点からわたしは触手をのばす。ちいさな足場であっても、。創作とは、社会に向かって発信することで、小さな足場から大きな広場へ出ることもできる。 -略ー シナリオは必ず序曲、葛藤、終局の三段階に分かれている。その癖が。身にしみこんでいるから7枚(この本の小文が一回原稿用紙7枚)でも三段階になる」
75本のシナリオ(小文)は、破産、家族離散、母の死、姉の渡米、兵隊時代、原爆、映画祭、映画関係者(奥さんの乙羽信子、俳優殿山泰司、監督溝口健二、小津安二郎とコンビのシナリオライター野田高梧、林光等)との思い出など心うつ話が多かった。
子供の頃、セリフのない不思議な印象をもった新藤作品「裸の島」をどこでみたか記憶がないがもういちどみてみたい気がした。
「~爆弾を雨あられのとたたきこみ、みなさんたいへんでしょうと食糧を投下する。力のあるものは幸福、力なきものは不幸、はだしで歩く何百万人の餓えた難民を救え、と美味いめしを食っている人たちが人道的立場で会議をひらく。偽善と欺瞞と不信が地球を覆っていないか。そういうおまえは何をしているか。風がでて樹上の欅の梢がゆれるている。わたしは少年のように駆け出したい衝動に駆られたが、いまや老いて足が重い。とにかく。わが陋屋に帰り。一本のオリジナルシナリオを書こう、と思って。一歩をふみだした。」(本分より)
あとがきで60余年もシナリオを書いてきた作者は言う
「狭い小さな世界に棲んでいる。目がとどく範囲しかわからない。したがって天下国家を論じるとからはない。口のなかでぶつぶつ呟くわけだ。 -略ー ドラマを創るということは自分自身を書くことでもある。狭い小さな拠点からわたしは触手をのばす。ちいさな足場であっても、。創作とは、社会に向かって発信することで、小さな足場から大きな広場へ出ることもできる。 -略ー シナリオは必ず序曲、葛藤、終局の三段階に分かれている。その癖が。身にしみこんでいるから7枚(この本の小文が一回原稿用紙7枚)でも三段階になる」
75本のシナリオ(小文)は、破産、家族離散、母の死、姉の渡米、兵隊時代、原爆、映画祭、映画関係者(奥さんの乙羽信子、俳優殿山泰司、監督溝口健二、小津安二郎とコンビのシナリオライター野田高梧、林光等)との思い出など心うつ話が多かった。
子供の頃、セリフのない不思議な印象をもった新藤作品「裸の島」をどこでみたか記憶がないがもういちどみてみたい気がした。