「嘘をついた男」(原題:L’Adversarire) エマニュアル カレール 2000/8 読了 ☆☆☆☆
18年間親類縁者を騙し詐取してきた挙げ句のはてに家族を皆殺しにした男を精神鑑定した担当医は、理路整然とした話しぶりと自分をよく見せたがる熱心ぶりにおどろいた。また感情というものないロボット、外的な刺激をただちに分析し、それに合った反応をするように組まれたロボットを前にしているような不気味な印象を持ったとか。
裁判で検事長が子供達の殺害場面を抑揚のない声で読み上げた後、突然爆発する。「まったく気狂い沙汰だ!父親なら、あとは自分に銃口を向ける以外ないではないか!~」子供や両親を殺した後も平然としている犯人に対する怒りが炸裂する場面では思わず共感してしまった。
著者は、「彼は他人を騙そうとしているのではなく、自分自身を騙している」という。また著者は本を書くことによって、この犯罪者の人生を正当化することになるのではないかと終始逡巡し、苦しむ。思い立ってから出版まで7年もたっているのはそのせいらしい。
ドキュメンタリー番組フランス2で放送、映画化もされたとか。
とにかく人間の不可解さを考えさせられる一冊だった。
18年間親類縁者を騙し詐取してきた挙げ句のはてに家族を皆殺しにした男を精神鑑定した担当医は、理路整然とした話しぶりと自分をよく見せたがる熱心ぶりにおどろいた。また感情というものないロボット、外的な刺激をただちに分析し、それに合った反応をするように組まれたロボットを前にしているような不気味な印象を持ったとか。
裁判で検事長が子供達の殺害場面を抑揚のない声で読み上げた後、突然爆発する。「まったく気狂い沙汰だ!父親なら、あとは自分に銃口を向ける以外ないではないか!~」子供や両親を殺した後も平然としている犯人に対する怒りが炸裂する場面では思わず共感してしまった。
著者は、「彼は他人を騙そうとしているのではなく、自分自身を騙している」という。また著者は本を書くことによって、この犯罪者の人生を正当化することになるのではないかと終始逡巡し、苦しむ。思い立ってから出版まで7年もたっているのはそのせいらしい。
ドキュメンタリー番組フランス2で放送、映画化もされたとか。
とにかく人間の不可解さを考えさせられる一冊だった。