「吾輩は猫である」夏目漱石 読み始める
図書では筑摩書房の「現代日本文学大系」と旺文社の「現代日本の名作」の全集がいずれも1975年(昭和50年)発刊で競い合っていたが、旧かな文字使いがすくない旺文社にする。ちまたには各出版社からたくさん発刊されていた。借りたのは昭和50年第3刷発刊もので約30年間図書暮らしをしていたためか年季がはいっていた。
たぶん大昔に読んだが、約480ページもある長編だったかなあ。
吾輩(猫)は思う
「~人間の心理ほど解しがたいものはない。この主人の今の心はおこっているのだか、浮かれているのだか、または哲人の遺書に一道の慰安を求めつつあるのか、ちっともわからない。世の中を冷笑しているのか、世の中へまじりたいのだか、くだらぬ事にかんしゃくを起こしているのか、物外(注:世事を離れた場所)に超然としているのだかさっぱり見当がつかぬ。
猫などそこへいくと単純なものだ。食いたければ食い、寝たければ寝る。おこるときは一生懸命におこり、泣くときは絶体絶命に泣く。第一日記などという無用なものは決してつけない。つける必要がないからだ。主人のように裏表のある人間は日記でも書いて世間に出されない自己の面目を暗室内に発揮する必要があるかもしれないが、われら猫族に至ると行住坐臥、行屎送尿、(注:日常のささいな事)ことごとく真正の日記であるから、べつだんそんなめんどうな手数をして、おのれの真面目を保存するには及ばぬと思う。日記をつけるひまがあるなら縁側に寝ているまでの事さ。」
(本分より)
さあ、縁側がないので布団に入って寝るかー。
図書では筑摩書房の「現代日本文学大系」と旺文社の「現代日本の名作」の全集がいずれも1975年(昭和50年)発刊で競い合っていたが、旧かな文字使いがすくない旺文社にする。ちまたには各出版社からたくさん発刊されていた。借りたのは昭和50年第3刷発刊もので約30年間図書暮らしをしていたためか年季がはいっていた。
たぶん大昔に読んだが、約480ページもある長編だったかなあ。
吾輩(猫)は思う
「~人間の心理ほど解しがたいものはない。この主人の今の心はおこっているのだか、浮かれているのだか、または哲人の遺書に一道の慰安を求めつつあるのか、ちっともわからない。世の中を冷笑しているのか、世の中へまじりたいのだか、くだらぬ事にかんしゃくを起こしているのか、物外(注:世事を離れた場所)に超然としているのだかさっぱり見当がつかぬ。
猫などそこへいくと単純なものだ。食いたければ食い、寝たければ寝る。おこるときは一生懸命におこり、泣くときは絶体絶命に泣く。第一日記などという無用なものは決してつけない。つける必要がないからだ。主人のように裏表のある人間は日記でも書いて世間に出されない自己の面目を暗室内に発揮する必要があるかもしれないが、われら猫族に至ると行住坐臥、行屎送尿、(注:日常のささいな事)ことごとく真正の日記であるから、べつだんそんなめんどうな手数をして、おのれの真面目を保存するには及ばぬと思う。日記をつけるひまがあるなら縁側に寝ているまでの事さ。」
(本分より)
さあ、縁側がないので布団に入って寝るかー。