「バス174」(原題 BUS174 )監督 ジョゼ・パジーリャ 映画2002?、DVD2006 ☆☆☆☆☆
各国の映画賞を数多く受賞した、驚愕のドキュメンタリー映画。2000年、リオデジャネイロで実際に起きたバスジャック事件の全容を追った、臨場感溢れる作品。ピストルを手にバスに立てこもった男と、人質の運命は…。ブラジルの貧困の実態とストリート・チルドレンの問題を浮き彫りにした衝撃作。(「Oricon」データベースより)
「バス174」オフシャルサイト
映画開始と同時に、リオデジャネイロの海岸線からスラム街へと鳥瞰映像がつづく。ストリート・チルドレン達のセリフがかぶさる。
(男1)僕はルシアナ 5歳の頃から19年路上で暮らしている なぜかって?継父と母に殴られたからさ
(女1)前は普通に暮らしてたけど父親が酒びたりだった 母は酔った父に殴られ子供を連れて家をでた
(男2)どんな幸せを夢見るか聞いてみたいかい?
(女2)私に幸せなんて無縁さ、子供を抱えて親も身寄りもなく‥希望などもてない
(男3)寝るのは冷たい床の上 寝た心地もしない 金持ちはベッドで寝て私たちが寝るのは 床の上さ 起きても朝食などないからパン屋で恵みを請う 空腹から盗みを働くことも そうして怒りが育っていく
(男4)“マンシャ”は子供の頃から路上で独り生きてきた 彼が学んだのは生きる術だけだ 皆 同じように独りで生き抜く方法を学ぶ ストリートチルドレンを食べさせてくれる人はいない 人を出し抜く方法を知らないと ‥‥
貧困層よりさらに低い層として<見えない子供>(社会から邪魔者扱い、無視される意)として扱われるストリート・チルドレンや警察官の腐敗・暴力はある程度しっていたが、狭い監獄に何人も入れられ寝る場所もない実態には衝撃をうけた。6歳の時、目の前で母が殺された犯人が1993年に起きた「カンデラリア虐殺事件」(警官によるストリート・チルドレン虐殺)の生き残りだということがわかる等、長時間だが、実際の被害者たち、犯人の叔母、ソーシャルワーカーなど証言とからめ悲劇を生々しく伝えてドキュメンタリー映画のすごさをみせてくれた。
「思い出の夏」(原題:王首先的夏天 High Sky Summer)監督 リー・チーシアン出演: ウェイ・チーリン/チョン・タイション 2001、2004日本劇場公開 ☆☆☆
各国の映画祭で話題となった、リー・チーシアン監督のデビュー作。中国西北の寒村にやって来た撮影隊の一行に出会い、準主役に抜/擢された少年の姿を通し、急激な経済格差が起こる現代中国の農村部と都市部の問題をリアルに描いた作品。(「DVD NAVIGATOR」データベースより)
12歳の主役の名前が首夏(“真っ先に”の意味)なのは、主任(昔の村長)選挙演説に妊娠中の母親がかりだされ、演説の途中「首先(真っ先に)公務公開を」と言った時に生まれたから。村に映画隊が来て上映していた映画が偶然にも今回この映画と一緒にレンタルしたチャン・イーモウ監督の「キープ。クール」だった。(1週間レンタルだから見るのは後日)
中国第6世代の監督の一作目ということでみてみたが期待過剰だった。農村と都市格差がテーマだったようだが、主役の行動や心理に現実感がなかった気がして☆みっつ。