「木もれ陽の街で」諸田玲子 2006/4 読了 ☆☆☆☆
親を棄て家を棄て男の胸に飛び込み、自分で自分の人生を選び取った与謝野晶子が23歳で鉄幹の押しかけ女房になったときの歌「わがこころ君を恋ふると高ゆくや 親もちひさし道もちひさし」。この歌が前半に主人公と大伯母の会話中と最後に親友から主人公あての手紙の中に2回使われて、この小説のテーマになっていると思われた。
与謝野晶子が住んでいた家が近くにある旧下荻窪を舞台に昭和25~26年の世情がレトロニに織り込まれていた。(公衆電話5円、名曲喫茶「ライオン」、同潤会アパート、東京ステーションホテルフランス料理ばら、ヒロポン、血のメーデー事件、カバヤキャラメル、イガグリくん、君の名は、「くぎさし」遊び、リンゴ追分、安部公房の「壁」、三島由紀夫「仮面の告白」‥)
前半は、親から勘当され妻にも逃げられた売れない画家をおとなしい主人公が好きになる様子や友人、親戚、隣人の恋愛関係と事件などがいくつも語られて平坦だったが、終盤で急転回するのにはびっくり。清水次郎長の二代目お蝶やあくじゃれみたいに破天荒で激情的な主人公の時代小説が多かったのに現代小説で変わったかなと思って読んでいたら最後で期待をはずさないでくれた。また、過去の出来事がうまく伏線になっていてミステリーのどんでん返し的おもしろさもあった。
やはり自立する女性は激しく強いが魅力あるね。
親を棄て家を棄て男の胸に飛び込み、自分で自分の人生を選び取った与謝野晶子が23歳で鉄幹の押しかけ女房になったときの歌「わがこころ君を恋ふると高ゆくや 親もちひさし道もちひさし」。この歌が前半に主人公と大伯母の会話中と最後に親友から主人公あての手紙の中に2回使われて、この小説のテーマになっていると思われた。
与謝野晶子が住んでいた家が近くにある旧下荻窪を舞台に昭和25~26年の世情がレトロニに織り込まれていた。(公衆電話5円、名曲喫茶「ライオン」、同潤会アパート、東京ステーションホテルフランス料理ばら、ヒロポン、血のメーデー事件、カバヤキャラメル、イガグリくん、君の名は、「くぎさし」遊び、リンゴ追分、安部公房の「壁」、三島由紀夫「仮面の告白」‥)
前半は、親から勘当され妻にも逃げられた売れない画家をおとなしい主人公が好きになる様子や友人、親戚、隣人の恋愛関係と事件などがいくつも語られて平坦だったが、終盤で急転回するのにはびっくり。清水次郎長の二代目お蝶やあくじゃれみたいに破天荒で激情的な主人公の時代小説が多かったのに現代小説で変わったかなと思って読んでいたら最後で期待をはずさないでくれた。また、過去の出来事がうまく伏線になっていてミステリーのどんでん返し的おもしろさもあった。
やはり自立する女性は激しく強いが魅力あるね。