ぶらりドリブルの旅

ひたすらサッカー観戦がメイン

DAZN観戦 2019年J2リーグ第42節 アビスパ福岡vs鹿児島ユナイテッドFC

2019-12-03 19:26:11 | サッカー視聴記(2020年以前)

※前回の福岡の記事はこちら(37節・新潟戦)
※前回の鹿児島の記事はこちら(41節・水戸戦)

今季途中から監督の座に就いた久藤清一氏の退任も決まり、苦しかった1年を終えようとしている福岡。
開幕前から「屈む年」となるのは予想の範囲内でしたが、残留争いに勤しむだけのシーズンとなるのまでは想定外。

前々監督・井原正巳氏(現柏コーチ)が4年間指揮を執り、その間の順位は3位・J1の18位・4位・7位と一定して上位をキープ。
ただ1年目(2015年)でJ1昇格という結果を出した故か、降格を経た3年目・4年目は明らかにクラブ全体「昇格を狙いにいく」側へ針が全振りになってしまっていた。
特に4年目となる昨年は、富安の海外移籍でそれに代わる・続く若手選手の存在が欲しかった所ですが、前線の補強ばかりが目立ち次第にチームは硬直化。
最終節でプレーオフ圏外に転落し、井原氏は辞意を表明する破目となりました。

その「昇格を狙いにいく」方策を取り、それが果たせなかった際の後始末に追われた、端的に言えばそんなシーズンであった今季。
ただ、井原氏が監督に就任する前の3年間の順位(2012~2014年)は、18位・14位・16位という低迷期真っ盛りであった福岡。
この時期に経営危機問題が表面化した事もあり、再びの低迷期に入るような事があれば、福岡の求心力は井原政権だけのものだったという評価が固まってしまいかねません。

それを打破すべく水面下で来季への動きを進めていた(後述)福岡、一足先に残留を決めたそんなクラブを見つめる対戦相手の鹿児島の思いはいかなるものだったか。
この試合を引き分け以上で締める事が出来れば、自力で残留決定となる大一番。
アウェイながら福岡という九州内であった事が幸いし、サポーター軍団も大挙して駆けつけていました。

右サイドハーフに五領と萱沼のどちらを起用するのか迷っている節が見られる、最近の鹿児島。
どちらもプレースキッカーが出来る選手ですが、酒本が務める事も多々。(たまに砂森も)
その酒本が1トップだった際、エリア内にFW不在のコーナーキックの姿は可笑しくもありましたが、現在の酒本は右サイドバック。

一方の福岡、守護神である助っ人GKセランテスは欠場(一足先にシーズン終了か?)。
実績はそこそこ豊富な杉山がスタメンGKに入りました。(前年は現セレッソ・圍と正GK争い)

前半は立ち上がりから福岡ペースに。
前半3分の初瀬のクロスに対しGK大西とDF水本が激突してしまうなど、残留争いの渦中であるチーム故の緊張が鹿児島に在ったのか、守備から入る福岡らしからぬ攻勢に出ます。
4分には再び初瀬がクロスを上げ、松田がヘディングシュートを放つもGK大西がセーブ。

対する鹿児島、この不利な時間帯の唯一のシュートが6分。
相手のクリアミスを右サイド奥で拾った韓勇太(ハンヨンテ)、そこから萱沼→中原秀人と渡り中央へ、そして中原秀がミドルシュート。
これはGK杉山がしっかりキャッチ、久々の出場でも不安は感じさせず。

一方の鹿児島GK大西、その直後に再び不安なプレーを披露。
7分の福岡の攻撃、鈴木のロビングがエリア内に上がると、これを飛び出して処理しようとして再び酒本と交錯してこぼしてしまいます。
これを城後にシュートされるも堤がブロック、こぼれ球をさらに城後がシュートしますが同じく堤が防ぎ冷や汗。

その後も福岡の時間が続きますが、アクシデントが発生したのが19分。
守備の要であるウォンドゥジェ(この日は右センターバック)が、鹿児島・ニウドとの交錯で倒れ込み、担架で運ばれプレー不能に陥る事態に。
そして山田が投入されましたが、ここから鹿児島がペースを握る展開となります。
直後に中原秀のクロスに対し、ファーサイドで韓がヘディングにいくも僅かに届かず。

しかし不利になったはずの福岡が先制するという、サッカーの神様の悪戯が降り注ぎます。
28分に松田が中盤で左→右へのサイドチェンジのパスを出し、石原が受けてキープ、追い越して彼のパスを受けた實藤が手前からクロス。
これを城後がヘディングで合わせ、すらすような軌道のシュートを見事ネットに突き刺しました。
一発で不利を打開する、これが「キング」と呼ばれ続けた男の力でしょうか。

先制された鹿児島、いつものようにボールポゼッションを高めつつ反撃に出ます。
エリア周囲でパスを回しつつ、ボランチのニウドの上がりを待って、彼のヘディングに合わせるという形は何度か見えました。
しかし福岡の守備は固くシュートには繋がらず。

パワーで駄目ならばスピード、そんな事を考えていたかは不明ですが、この状況を打破したのは抜け出すプレーでした。
38分の酒本のスルーパスに反応した韓が、右サイドで福岡・山田に倒された場面はノーファールでしたが、これが伏線となったか。
40分、左サイドでのパスワークから、枝本がギアを上げて牛之濱とのワンツーで一気にエリア内へ進入。
すると菊地の出した足に掛かり倒れ、今度は審判の笛が鳴り反則・PKをゲットします。
PKのキッカー・韓は物怖じせず中央に蹴り込み、GK杉山は足を残したものの触れずゴール。
前半のうちに試合を振り出しに。
残り時間はオープンな展開となり、ウォンドゥジェ故障の影響でアディショナルタイムも長くなり福岡1本・鹿児島2本とシュートが放たれましたが、同点のまま前半を終えます。

そして後半開始前、既に交代カードを使っていた福岡側に動きが。
實藤→輪湖へと交代し、4バックへとシフト。(SBは左が輪湖・右が石原、初瀬は左SHへ)

後半も流れがハッキリと別れた展開を描きます。
開始5分辺りまでは交代の効果もあり福岡優勢、後半2分に鈴木のスルーパスに走り込んだ城後、エリア内右からシュートを放ちますが枠を捉えられず。
しかしそこから鹿児島にペースが移り、5分に韓がシュート、ブロックされた後もボールを繋いでエリアすぐ手前で直接フリーキックを得ます。(枝本が後ろから鈴木に倒される)
ボールサイドには酒本・砂森・中原秀の3人が立ち、一旦蹴るトリックプレーから、酒本がシュート気味のクロスを入れるもののクリアされモノに出来ず。
11分には再びフリーキック、左サイド最奥という位置でクロス以外の選択肢は無さそうでしたが、ここもショートで変化を付けます。(酒本→枝本→酒本カットイン)
そしてクリアの後、牛之濱がシュートを放ちますがブロックに遭います。

ここで鹿児島のターンは終わり、12分を境に福岡のペースに。
それでも中々決定的なチャンスを作れないでいましたが、今度は鹿児島にアクシデント。
21分に酒本が足を抑えて倒れ込み、直後に藤澤と交代。(すぐに手が打たれたというのを見ると、前々から痛んでいたか)
その直後の24分から、今度は福岡がセットプレー攻勢。
右ハーフレーン・エリアからすぐ手前でのフリーキック、キッカーは鈴木。
この直接シュートは壁に当たり枠を外れますが、これで得た右コーナーキック。
キッカー・初瀬のクロスを中央で山田がヘディングシュート、均衡を破るゴールが生まれました。

再びリードを奪われた鹿児島。
この直前に21位の栃木は1点を先制したとの事(後半26分・千葉戦)で、このまま終わると入れ替わりで降格圏に落ちてしまう危機的状況です。
失点直後の28分、五領(萱沼と交代で出場)のクロスを牛之濱がヘディングシュートにいきますが浮いてしまい枠外。
34分には中盤でのパスカットからチャンス、枝本・韓・牛之濱がパスを繋いで前進し、最後は韓がシュートを放ったもののGK杉山がキャッチ。
この後35分に、奮闘してきた韓に代わり切り札・ルカオを投入します。

そして37分には左サイドで牛之濱と石原が交錯しルーズボールに、これにルカオがフリーで走り込むというチャンスが生まれましたが、GK杉山が判断良く飛び出してクリア。
40分はルカオのポストプレイからの好機、ニウドがミドルシュートを放ちますがこれもGK杉山に防がれるなど、後一歩が遠い鹿児島。

最終盤ではニウドをFWの位置に上げるパワープレイで勝負を賭け、その通りに2度ヘディングシュートの場面が。
44分には五領のクロスを合わせ、アディショナルタイムでは砂森のクロスを合わせたニウドでしたが、残留を決定付けるゴールが生まれる事はありませんでした。
そして試合終了の笛が鳴り、既に勝利で試合を終えていた栃木に抜かされ21位に落ちる事となってしまった鹿児島。
ここから助かる可能性は、J3で昇格枠に「J2ライセンスの無いクラブ」が入る事を祈るという、完全な他力本願によるものだけとなってしまいました。
現状、藤枝が2位争いに加わっていますが予断を許さない状況。

ホーム最終戦を何とか勝利で終える事が出来た福岡。(12勝のうちホームでは4勝のみ)
その2日後に、後任の監督には今季水戸の監督であった長谷部茂利氏が就任というニュースが飛び込んできました。
この手早い荒業(もし水戸がプレーオフ進出していたらどうなっていたのか)には驚かされましたが、水戸で一定の結果を出した長谷部氏、福岡の建て直しは果たして成せるでしょうか。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

DAZN観戦 2019年J2リーグ第42節 東京ヴェルディvsFC岐阜

2019-12-03 11:55:11 | サッカー視聴記(2020年以前)

※前回のヴェルディの記事はこちら(31節・山口戦)
※前回の岐阜の記事はこちら(順延23節・鹿児島戦)
※前回の両クラブの対戦はこちら(20節)

昇格争いには絡む事無く一シーズンを過ごしたヴェルディ。
前々監督のミゲル・アンヘル・ロティーナ氏(現セレッソ監督)による2シーズン、いずれもプレーオフ進出を果たしていただけに、彼を失った今季は「屈む年」を絵に描いたような一年となりました。
そして現在指揮を執る永井秀樹氏、生え抜き監督として注目され、ポゼッションスタイルのサッカーを前面に押し出す姿勢を一層強めんとしています。
しかしそもそも、ヴェルディというクラブ自体にパスサッカーの伝統が存在しているので、それを押し出すだけでは永井氏独自の色を出す事にはならない。
そしてそのヴェルディはJ2という舞台から抜け出せていないので、そのスタイルを成績に拘わらず貫くという事は、「ずっとJ2に居てもいいや」なんて思想にも繋がりかねません。
そんなヴェルディの最終節の相手は、既に最下位(22位)が決まってしまっている岐阜。

鹿児島との直接対決を、好ゲームを演じながらも最後の最後で敗れてしまい、そのダメージは中2日の連続という日程とも相成り甚大だった模様。
次の試合(39節・徳島戦)を0-7という惨敗で終えてしまい、これで事実上息の根を止められてしまった格好に。
結局鹿児島戦から勝ち点を1すら伸ばす事も出来ず、最下位で降格確定となってしまいました。

その岐阜が来季から挑むJ3という舞台、本当に何が起こるのかが判らず。
今季は前年最下位であった北九州が躍進しJ2復帰を決めるなど、僅かな拍子で一気に優劣がひっくり返る事もしばしば。
そしてそのJ3から1年で復帰したのは、現在J1である大分のみという、降格組にとっては非常に厳しいリーグ。
しかし1年で復帰できないと補償金も無くなり、予算減で一気に主力が居なくなるというジレンマ。(それはJ1→J2の比ではありません)
そんな恐ろしい舞台、いや台すら無さそうな場所に足を踏み入れる岐阜。

最終節というのは、チームから離れる選手を送り出す場になる事が多々。
ヴェルディも例外では無く、DFの田村が引退を表明し、この日スタメンに。(今季7試合目)
さらにこの日ヴェルディが面白かったのは、ボランチに藤田譲瑠チマという、現ヴェルディユース所属つまり2種登録の選手が初スタメンとなった事でしょう。(出場自体は4試合目)
送別会と歓迎会、二つの祝いが一緒くたに行われたかのようでした。

そして試合が始まると、ポゼッションのヴェルディと、カウンター主体の岐阜がガッチリと噛み合い。
それはヴェルディの一方的なボール支配という絵図になりました。
しかもジャイルトン・パライバ、クレビーニョといったスピード豊かな助っ人の存在で、単なる「パス回しに終始して大してシュートを撃てず」といった病状には陥らず。
前半2分、クレビーニョ→レアンドロ→奈良輪と渡り左サイドへ、そしてパライバに渡りエリア手前左からシュート。(GKビクトルがセーブ)
6分には奈良輪のロングパスを受けた梶川、左サイドからクロスを上げると、レアンドロがヘディングシュート。(枠外)
8分には岐阜の初めての攻撃からカウンター、平のロングパスを受けたパライバがドリブルでエリア内に進入。
そしてレアンドロ→小池と渡り、小池がシュート。(DFがブロック)

初抜擢で、しかも1ボランチという役どころのチマ、それに物怖じする事無く奮起。
敵陣でパスカットに顔を出したり、中盤の底からパスを散らしたり。

10分台辺りから岐阜も何度かボールを持ち攻撃機会も得ますが、それは悲惨もいいとこで、とにかく川西頼みという印象。
FW登録ながら、ボランチの位置かそれよりも下がってボールを受けに来る川西、彼抜きではビルドアップもままならないのかという疑念が沸き上がります。

20分台は再びヴェルディの一方的な展開に。
パスワークに加え、サイドチェンジ・ロングパス・クレビーニョのオーバーラップ・レアンドロのポストプレイ・パライバのドリブル突破などあらゆる手段を交えますが、先程とは違いシュートはあまり撃てず。(26分の梶川のシュートのみ)

そして30分台に。
再び岐阜側も攻め上がりを見せ混沌とする中、ヴェルディにその流れを断ち切る先制点が。
38分、チマのパスカットから梶川が中盤から一気にスルーパスを送り、これに小池がエリア内に走り込む絶好機。
小池は冷静にシュートを放つと、GKビクトルの股を抜けるゴールとなりました。
ここから殻が割れたかのように、前半のうちに追加点を重ねます。
2点目は44分、森田ドリブル→パライバ左からグラウンダーでクロス→梶川スルーという流れから最後は再び小池、ダイレクトで見事サイドネットに突き刺しました。
3点目はアディショナルタイム、パライバがパスカットから一気にドリブルでエリア手前中央まで持ち込み、レアンドロにラストパス。
エリア内右からシュートを放ったレアンドロ、確実にゴールゲット。
1失点後に一気に崩れてしまう、岐阜の所謂「敗者のメンタリティ」がこの日も露わにになってしまい、3-0で前半終了。

そして後半が始まっても、ヴェルディ圧倒的優勢という展開。
後半4分にはパライバスルーパス→レアンドロエリア内左で一対一となってのシュートをGKビクトルがセーブなど、危ない場面ばかりでちっとも攻め込めない岐阜。
たまらず後半7分、川西→前田、柳澤→塚川に交代の2枚替えを敢行します。

この交代後ようやく攻撃機会を得れるようになった岐阜ですが、流れの中からのシュートは20分までお預け。(9分にコーナーキックから甲斐がヘディングという1本だけ)
その20分には、前田・馬場のベテランコンビの前進から、村田がエリア内に進入してシュート。(GK上福元がキャッチ)
攻撃陣での頼みが川西・馬場・前田のベテラン頼みとなっていただけに、村田のこの活躍が新鮮に映った感じとなった岐阜。

これが切欠となったか、ようやくスムーズな流れでチャンスを作り始めた岐阜。
21分には村田のボールキープからフレデリック→馬場→前田と繋がり、前田がエリア手前からシュート。(DFがブロックしコーナーに)
その後のコーナーでの當間ヘディング(GK上福元がキャッチ)を経て、25分には前田が右からカットインしてシュート(ブロック)、27分にはショートカウンターで塚川がエリア内左からシュート(GK上福元がキャッチ)と攻勢を掛けます。

しかし岐阜の良い流れもそこまでと言わんばかりに、ヴェルディに追加点が(29分)。
その流れを作ったのはまたしてもパライバの規格外の如きドリブルで、一気にエリア内左に進入してシュート。
GKビクトルが足で防いだものの、ファーに転がったボールを小池が詰めて4点目、小池はこれでハットトリック。

これ以降も岐阜は攻め上がりますがゴールは遠く、ようやく1点を挙げたのが、ヴェルディ側が交代策を経て田村にキャプテンマークを付けさせるという情緒溢れる展開になった後でした。
それもヴェルディに5点目(パライバが左サイドからカットインしてのシュート)が生まれた直後の事で、時すでに遅し感が一層強まった時間でしたが。
尚得点内容は、三島のロングパスから前田→馬場クロス→塚川ヘディングシュートという流れる攻撃。

そして試合終了。
岐阜にとって悪夢のシーズンが終わりましたが、最終戦もやはり悪夢の大量失点という内容。
近年はJ3にも群馬・讃岐・熊本など、J2から降格したクラブが増えて来ただけに、這い上がるには相当苦労しそうですがやるしかありません。

一方のヴェルディ、「らしさ」を存分に発揮して気分揚々といった結果となりましたが、来期はこれを継続しつつ勝利に繋げられるのか。
パライバという飛び道具の威力はこの日も健在でしたが、それはヴェルディの伝統からはやや規格外なものでもあり、伝統を取るのか勝利を取るのかという悩みの種は来季も付いて回りそうです。(もしパライバが移籍しなければ)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

DAZN観戦 2019年J2リーグ第42節 柏レイソルvs京都サンガFC

2019-12-01 12:45:21 | サッカー視聴記(2020年以前)

※前回の柏の記事はこちら(39節・大宮戦)
※前回の京都の記事はこちら(41節・千葉戦)

逆転でのプレーオフ圏内入りへ負けられない最終戦となった京都。
しかし相手は首位の柏で、しかもアウェイ。
前回「優勝を決めた柏だから、若手を試すゲームになるのでは」という予想を語ったものの、そんな事は無くベストメンバーに近い布陣を組んだ柏・ネルシーニョ監督。
柏の本拠地・三協柏フロンティアスタジアムは、ピッチと観客席の距離がとても近い事もあり、相手にとっては完全アウェイの雰囲気に陥り易い場所。
それに呑まれてしまうと、只でさえJ1並の戦力の相手なのでもはや勝利所では無く。

しかも内に目を向けると、満身創痍なチーム状況なうえ、DFの黒木が累積警告で出れず。
ベストな状態なら、跳び抜けた強敵には絡め手を用い、相手の長所を消しつつロースコアで逃げ切るという試合も出来たでしょう。
しかしそれもままならないので、いつものサッカーで相手を上回る事しか手は打てなかった。
試合前から不利な要素が重なり過ぎていたものの、それでも目標のためには泣き言を漏らす訳にはいきません。

果たして果敢に挑んだ京都でしたが、序盤からディフェンスラインは不安定さ全開。
柏のシンプルな前線へのパスに対し、田中マルクス闘莉王が中心の最終ラインではスピードが明らかに足りず。
柏の得点源FWオルンガはその背の高さからのハイボールの強さが注目されがちですが、スピードにも優れ、クロス・裏抜け両方を混ぜ合わされるとこの日の京都は対応に難儀するのは運命ともいえました。

そして前半6分早々に先制した柏。
自陣でボールを奪った瀬川がそのままドリブルで敵陣に持ち込み、エリア手前左のオルンガにパス。
オルンガは対峙した京都・上夷をものともせず、そのままエリア内に切り込んでから左足で豪快なシュート、ニアサイドを強烈に破りました。

早々にビハインドの展開となり、不利さが重くのしかかる京都。
それに追い撃ちが掛かるアクシデントが12分に発生します。
それはDF本多の負傷交代で、元々故障離脱中であり(39節・甲府戦で前半23分に交代)、この最終節に何とか間に合ってスタメンで出ていた本多。
もし再発だとしたら、黒木不在で無理をしてでもという感じで出場したのか(させたのか)。
この日唯一のDFのサブであった富田との交代を余儀なくされます。
そして闘莉王・上夷・富田の3バックにシフト。

その後同点に追い付かんと奮起しする京都ですが、逆に柏が追加点を重ねていく展開に。
2点目はヒシャルジソンとクリスティアーノが長短のパスを交えて右サイドを突破し、クリスティアーノのクロスにオルンガがジャンプすらせず頭で合わせ、競った京都・安藤を嘲笑うかのようなゴール。
3点目は中央を経由した左→右への早いサイドチェンジで右サイドバック・高橋がフリーで受け、低いクロスを瀬川が合わせてゲット。
そして4点目は、ボール奪取したヒシャルジソンが速攻でスルーパス、抜け出したオルンガはGKと一対一となりあっさりゴール。
やはりオルンガというフィニッシャーが居ては、混乱が発生していても可笑しくないディフェンス陣の状況ではどうしようもなく。
前半のうちにハットトリックを達成する大爆発ぶりを発揮するオルンガ。
しかし本領発揮は尚もこれからでした。

4-0と絶望的な状況になったものの、「とにかく点を獲る」という姿勢でいなければ奇跡は起きるはずもなく。
そんな姿勢が実ったか、38分にようやく小屋松のゴールで1点を返した京都(富田低いクロス→一美収めて反転シュート→GK中村セーブした所を詰める)。
かすかに光明が見えたかと思われましたが、地獄絵図はここからでした。

前半アディショナルタイム、その地獄へと叩き落される出来事が。
柏の右サイドからのコーナーキックでハイボールの競り合い、クリアにいった闘莉王が安藤と激突してしまい倒れ込んでしまいます。
すると出血が止まらないという惨事(骨折していたそうな)になってしまい、この日2人目のDFの負傷退場。(交代は後半頭、エクスデロ競飛王が出場)
これで守備を固める手段は皆無に近くなってしまいました。

そんな惨状で後半に入った京都ですが、諦めずに攻撃。
持ち味の攻撃力を前面に出して点差を詰めようとしますが、立ちはだかるのが日本代表GK・中村。
後半5分の一美のシュート、14分の庄司の直接フリーキックなど、惜しいシュートを悉く防がれてしまいます。

その最中の12分に5点目を奪った柏、これがゴールラッシュの幕開けで、それを演出したのは前半だけでは飽き足りないオルンガ。(クリスティアーノクロス→クリアが小さくエリア内で高橋繋ぐ→シュート)
その後も7・8・10・13点目を叩き出し、なんと1試合8得点の歴史的な活躍。
失点する度に反撃姿勢を取る京都を嘲笑うかのように、カウンターの連続で次々とゴールを量産していきました。

現代表も在籍するなど、そもそもどうしてこんなチーム(柏)がJ2に居るのか。
それは一重に前年大しくじりをしてJ2降格になってしまったからに他ならないのですが、その原因が不可思議な監督人事。

W杯による中断の1試合前に、生え抜き監督であった下平隆宏氏(現横浜FC監督)を突如解任。
そして新監督を招聘するのかと思いきや、コーチからの昇格でお茶を濁すという消極策で、白羽の矢が当たったのが同じく生え抜きである加藤望氏。
しかしその指揮能力は疑問符が付くもので、それが中断明け後に一気に露呈してしまい敗戦を重ねます。
正GK中村が2度の脳震盪による欠場という不運も響き、修正が全く効かないまま降格圏に落ちてしまい、残り2節というタイミングで加藤氏は解任。
しかし最早どうしようも無く、残りの2戦は全勝したものの降格確定……というのが大まかが流れでした。

よく「降格すると主力が一斉に移籍してしまう」と揶揄されますが、柏程のバックボーンがあれば、降格保障(1年間はJリーグ側から資金が出るらしい)もありその被害は最小に留められます。
大きな移籍は代表候補の伊東・中山が海外にレンタル移籍するぐらいに留まり、そして今季は「J2最強」の座を欲しいままにしての優勝・昇格。
ただ、ネルシーニョ氏の再就任という「困った時の……」を地でいく監督人事であり、今後の発展性という点では少々疑問が残りますが。

結局13-1という、違うスポーツではと疑いたくなる点差で柏の大勝に終わりました。
シュート数は柏25・京都18とそれほど差は無く、京都は最後まで攻めの姿勢を見せたものの、大敗への趨勢を打破する事は出来ませんでした。
果敢にプレーオフ進出を狙ったものの「惜しくも……」という展開を見せる事無く、潔いともいえる姿勢で玉砕。

そんな花火を最後に打ち上げた監督・中田一三氏(とゲルト・エンゲルスコーチ)も、退任という形でチームを去る事となりました。
京都の復調は今季のJ2を盛り上げた大要因と思っていますので、この人事に疑問符はあれど、とりあえずはお疲れ様と言いたいです。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする