ぶらりドリブルの旅

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DAZN観戦 2019年J2リーグ第42節 アルビレックス新潟vsV・ファーレン長崎

2019-12-04 16:07:33 | サッカー視聴記(2020年以前)

※前回の新潟の記事はこちら(37節・福岡戦)
※前回の長崎の記事はこちら(38節・金沢戦)

後半は怒涛の追い上げを見せたものの、結局昇格には届かなかった新潟。
可能性が潰えたのが栃木戦(39節・1-2)という事で、「下位相手に取りこぼしを……」なんて嘆きが聞こえてきそうですが、ある意味今季のチームの立ち位置を象徴したかのような試合。
残留目指して泥臭くくる相手に対し苦戦気味の内容で、それは新潟の現状に足りないものを見せられたようでもあり。

レオナルドを中心とした強力助っ人陣と、本間・渡邊新太・秋山らに代表される若手成長株がウェイトを占めるレギュラー陣。
勝つ時は華々しい試合で沸かせたものの、栃木戦のような展開になると押され気味になる。
泥臭さが足りず、何処と無くスマートさが目立っていたと推測します。

戸嶋・渡邊新以外のレギュラー陣は、今季新加入ないしは大幅に出場機会を得た選手ばかりなので、言い換えれば今季は土台作りが果たされたシーズン。
そして足りないものを来季補えれば理想的であり、土台を作るのに邁進していた節のある吉永一明監督は退任が決定。
既に新監督にはアルベルト・プッチ・オルトネダ氏が内定しており、来年このチームをどう色付けていくのか。

その対戦相手である長崎も、既に来年へのスタートを考える時期に入っています。
この日はチーム得点王の呉屋がベンチスタート。
レンタル元・ガンバへのレンタルバックを邪推してしまいそうな起用でしたが、彼不在の形を見つけるのも一種の来季への備えでしょう。
ただしベスト4に残っている天皇杯が控えるというのが他チームとの相違点で、その意味では天皇杯に出場資格の無い秋野(今季湘南で天皇杯に出ているため)を起用するのは疑問が残りますが。

試合が始まり、立ち上がりは長崎ペースに。
今季途中から見られる、ボール支配がベースのサッカーを色濃く表します。

その内容は、ビルドアップ時は2センターバック+2ボランチで、両SBを高い位置に上げるというオーソドックスなもの。
そしてサイド攻撃中心の思惑も、片側のサイドでパスを回しては、玉田や逆サイドのサイドハーフが寄って来るという行動に表れていました。
しかしそれは単調な域を出ていないもので、呉屋の居ない攻撃陣では中々ゴールに結び付けるのは難しい。
特にサイドチェンジのパスは殆ど見られず、ワンサイドで攻撃を完結させたい趣が露骨であったかな、と感じました。
前半12分の長崎のファーストシュートは、角田のパスを受けた右SB・米田がドリブル、一旦奪われるも取り返して吉岡のクロスに繋げたのが契機。(その後クリア→こぼれ球を島田シュート・GK大谷がキャッチ)
抜擢されて未だ日が新しい米田ですが、着実に実力は発揮しているようで。

反対に新潟も、秋山という経験が浅いながらも存在感を発揮している選手を擁しています。
以前は後方からの縦パス・ロングパスが中心で、後は反則的な助っ人を軸に何とかする、というような攻撃。
しかしボランチの位置でゲームメイクするのが特徴の秋山が加わった事で、遅攻もそれなりに有効になった感のある新潟。
長崎には見られない、サイドチェンジのパスも繰り出す事で、高校卒らしからぬ安定感と落ち着きを与えていたようでした。

その他この日の新潟の攻撃は、堀米・早川の両SBが中央に絞る動きが多々見られました
その空いたスペースにサイドハーフが入る事で、相手選手のチェックを攪乱させるのが主な狙いで、最近のトレンドの一つにもなりつつあるこの攻撃。
サイドハーフに本間・渡邊新が控えているので、彼らの引き出しをもっと増やしてやろうという思惑が感じられました。

結局前半は五分五分ぐらいの攻撃率ながら、シュートに繋げられていた分新潟の方が優勢に映った印象で終了。
それでも新潟はシュートを撃っていたのは縦パスの攻めからのレオナルド・シルビーニョと、コーナーからのCB大武のヘディングであり、上記のような攻めはあまりシュートに繋がらず。

「縦パス一本で助っ人利用」と「遅攻・偽SBによる新しい攻め」の二つの要素が同時に存在していた感のある新潟。
この二つをどう結び付けていくかが課題だと個人的に思っていましたが、後半早々にその融合ともいうべきゴールが見られました。
後半3分左SBの堀米が自陣中央でボールを拾い攻撃開始、そして堀米が居るべき場所には本間が居り、シルビーニョのポストプレイを受け取ります。
ここから遅攻に入り、中央から右へパスが回ったのち再び中央で秋山・戸嶋・堀米がパス回し、一旦戻された後大武が左へ展開し堀米へ。
左寄りに戻った堀米の外側には依然として本間が居ましたが堀米は縦パスを出し、シルビーニョが入れ替わりで受けて抜け出し攻撃にスイッチが入ると、シルビーニョの中央へのパスをレオナルドが受ける絶好機に。
そして渡邊新とのパス交換の後、エリア内右からシュートを放ったレオナルド、豪快にサイドネットに突き刺す先制点。
シュートこそ守備側がノーチャンスの個の力でしたが、遅攻から巧く速い攻撃に切り替えた素晴らしい攻めがあってのゴールと感じました。

先制された長崎ですが、その後も最終ラインでのビルドアップからの攻めに邁進。
その最終ライン、この日CBの片割れを務めていたのは高杉。
長崎がJリーグ入りを果たすと同時に加入し(愛媛から移籍)、以降長崎一筋で過ごしてきた選手ですが、今季契約満了による退団が決定。
今季は角田の加入・香川のレンタルバックなどで出番が減少し、これが5試合ぶりのスタメンでした。

その高杉、この試合の印象的なシーンを演出します。
11分の長崎のコーナーキック(キッカー秋野)、一旦エリア内でクリアされた後、吉岡が拾い米田が再びエリア内へクロス。
これが低いボールでゴール前を突き、待ち構えていたビクトル・イバルボを過ぎると、ファーサイドに高杉が猛然とスライディングで合わせてシュート。
ボールはゴールネットに突き刺さり、見事な高杉の送別ゴール……と思われましたが判定はオフサイド。
これに猛抗議する長崎サイド。

というのも、オフサイドを取られたのはイバルボ(彼は最初からオフサイドポジションに居た)ですが、プレーには全く関与しておらず。
高杉は完全にクロスが蹴られてから抜け出しており問題無く、イバルボがどうだったかが問題であったこのシーン。
「GKのブラインドになっていたらオフサイド」が適用されたのでしょうが、イバルボに隠されるような位置でシュートを放ったという訳でも無い(GKから見たらイバルボの右側でのシュートだったと思われる)ので、釈然としない判定となりました。

その直後の14分、再び長崎の決定機。
角田がドリブルで持ち上がり、その後中央でのパスワークから、秋野がミドルシュート。
これをGK大谷がセーブしますが、すかさず詰めにいったのは吉岡。
しかしシュートは無情にもゴールの左で、今度は自力(?)での決定機逸となってしまいました。

そして16分、長崎を失意の底に叩き落すかの如く新潟が追加点。
コーナーキックからのクロスを、大武がヘディングシュートでゴールに叩き込みました。
尚この日のキッカーは本間であり、以前は秋山が務めていたはずでしたが、競争の一環か。

2点ビハインドとなった長崎、18分に痺れを切らしたのか呉屋を投入。(澤田と交代)
その直後、再び高杉がシュート(コーナーキックからヘディング)と見せ場を作ったものの枠外に。

リードされた長崎、その後は相手の「ボールを持たせる」思惑も絡み前半以上にポゼッションに偏ったサッカーになるのを想像しましたが、ここからは一転して速攻狙いに。
縦パスと呉屋のポストプレイを絡ませて前進するというシンプルな攻撃を重視しチャンスを作っていきますが、反撃の狼煙となるゴールは上げられず。
逆に、新潟側がこれまで以上に遅攻を駆使し、ポゼッションを高めるという試合の図式に変遷していきました。
この速攻と遅攻の使い分けを存分に使えるようになれば、来季は有力な昇格候補になる気がしました。

そして新潟は36分、シルビーニョ→矢野に交代。
長崎・高杉と同様、既に今季の退団が決定している矢野が登場した事で、デンカビックスワンスタジアムは情緒溢れる雰囲気となります。

この後新潟は緩んでしまったか、自陣でパスミスをしては長崎にシュートされるシーンが頻発。
そして43分、スローインから簡単に中央に繋がれ、米田に鮮やかなミドルシュートを決められて1点差に。
それでも反撃をこの1点に留め、最後は矢野と同じく退団が決定しているGK野澤を交代出場させ、無事に試合終了。
実績あるベテラン選手の退団に花を添える事にも成功した新潟(この他、田中達也も退団)、来季へのスタートに弾みはついたでしょうか。

コメント
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