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DAZN観戦 2019年J2リーグ第20節 FC岐阜vs東京ヴェルディ

2019-07-03 11:51:46 | サッカー視聴記(2020年以前)

※前回のヴェルディの記事はこちら(15節・千葉戦)

緑色同士の戦い。

目下7連敗中で最下位を彷徨っている岐阜、前々節終了時には大木武監督の退任も発表され、混迷を極めている厳しい状況。
現在指揮を執っているのは北野誠氏ですが、とりあえずそれはさておき。
未だ歴史が浅く有力OBも殆ど居ないという事情もありますが、岐阜の監督選択は非常に独特な印象を受けます。

JFLからJ2参入を果たした時の監督は松永英機氏で、松下電器(ガンバ大阪の前身)OBながら指導者歴は一定せず。日本代表のスタッフに加わったり、ヴェルディでやっと監督を任されたと思ったら当時総監督の李国秀氏が全権を握っていたり、神戸の監督を僅か7試合で解任されたりと波乱を極める経歴です。
2009年まで指揮を執った松永氏、この時点で18クラブ中12位と中~上位を伺わんとする事が可能な位置に居た岐阜ですが、その後は経営難もあり停滞。
2011年に最下位に沈んだのを切欠に、毎年下位を彷徨う状況に陥ってしまいます。(最高は2014年の17位)
それは現在までも続いており、その間の監督は元ブータン代表監督の行徳浩二氏だったり、ある意味説明不要のラモス瑠偉氏だったりと趣深い経歴を持つ人物を選ぶ傾向が見られましたが成績面では変わらず。

そして大木氏が就任したのが2017年の事で、彼も日本代表でコーチを務めたり、甲府初のJ1昇格という実績面で充実しており、岐阜の監督選択としては絶好だったのでしょう。
それでも攻撃サッカーを植え付ける能力は髄一で、前年はその攻撃力が存分に発揮されて前半戦は7位も経験するほど。
しかし後半に調子を崩すと、同時期に中心選手の古橋が神戸に移籍するという追い打ちも加わり泥沼の10連敗。最終的には20位まで順位を落とす事に。

20位以下という成績を岐阜は6度も経験しており、そして今季もここまで最下位の22位。
再建を託された北野氏は、前年まで9年間も讃岐の監督を務めた事で有名。
結果的に前年讃岐のJ3降格とともに退任となっただけに、2年続けて降格を経験する訳にはいかないという思いもあるでしょう。

試合開始直後はロングボールの応酬を見せていたものの、直ぐに「ボールを持つヴェルディ、持たせる岐阜」という図式となったこの試合。
ポゼッション対カウンターというありふれた図式ではありますが、この日の岐阜は本当に攻撃機会が少なかった。

相手を押し込んでのサイド攻撃だけでなく、3バックもガンガン攻撃に絡み続けるヴェルディ。
ほとんどハーフコートマッチな状態ながらカウンターに活路を見出す岐阜ですが、その内容も「ライアン・デ・フリーズ(以下ライアン)のポストプレイを軸にしつつ、前田・山岸を何とか絡ませる」という単調な域を出ないものであり、鋭さは無かった。
特にサイドバックが攻撃参加する事は殆ど見られず、かといって少ない人数で攻撃を完結する程のクオリティは無く。
この辺は北野氏もまだ2試合目であり、時間が解決するのを待つしかないでしょうか。

それでも岐阜が先制する辺りがサッカーの面白さというべきか。
前半29分、ライアンのポストプレイから前田がボールキープし上がりを待ち、ボランチの宮本に渡るとそこからエリア内へロングフィード。
上がっていたサイドハーフの川西に向けたボール、一旦跳ね返されるもライアンが拾いエリア内右側で溜めて中央へロブを上げると、山岸が猛然と頭で合わせゴールネットを揺らしました。

先制した事で、その後は守りを固める意識が一層強くなる岐阜。
ヴェルディも焦り始めたか、センターバックの李栄直(リヨンジ)がロングシュートを放っては宇宙開発だったり(39分)、小池が強引にボレーシュートを狙うも岐阜・川西の足を誤って蹴ってしまったり(42分)という噛み合わない場面も目立ちます。

しかし前半終了間際。
左サイドからのヴェルディの目まぐるしいパス回しに、エリア内でボールを受けた端戸に対して宮本が足を掛けてしまい、端戸は倒れ笛が鳴りPKの判定に。
井上がこれをゴール右へとシュート、GKビクトルは反応するものの届かず同点に。
エリア内に進入されたものの端戸は未だゴールの方を向いていなかっただけに、この場面はちょっと岐阜側は浅はかだったかなという印象が残りました。

この日はアウェイでかつカラーが被るため、白のユニフォームを着ていたヴェルディ。
ギャリー・ジョン・ホワイト監督も試行錯誤の日々が続いており、3バックに移行したのが18節・甲府戦。
直前の2試合で7失点という守備の改善が目的である事は一目瞭然で、その後2試合無失点を続けるという具合に上昇機運。
しかしこの日は先制されたうえ、相手は攻撃意識があるのかどうかという程のカウンタースタイル。

否が応でも攻めなければならない状況になりましたが、前半のうちに同点に追いつけた事は結果的に大きかったでしょう。
3-4-2-1へとシフトした事でサイド攻撃はやり易くなった印象でした。
右ウイングバックの小池・左の永田を軸に、ボランチ(井上・山本)とシャドー(佐藤・端戸)が絡んでの分厚い攻撃。
それでも岐阜の守備ブロックは固く、シュートまでは中々持ち込めず。

試合の図式は後半になってからも変わらず、ヴェルディが押し込む場面が続きます。
カウンター狙いの岐阜ですが、その状況を作った場面すら微々たるもので、後半のシュート数はゼロ。
後半8分、永田のスルーパスに走り込んだ佐藤がエリア内からシュート。
9分にも、小池のクロスがDFに当たり、エリア内へ落ちた所を林がボレーシュート。
いずれもGKビクトルがナイスセーブを魅せましたが、防戦一方も甚だしくなってきた岐阜。

しかしヴェルディ側も、パスワークだけでは岐阜の守備を崩しきれず。
後半11分にレアンドロが投入(林と交代)されても取り立てて変わらず、ヴェルディのシュートは1度だけ。
サイドからのクロスや、コーナーキックを何度も仕掛けるものの決定機には繋がりません。

一方の岐阜も、攻撃機会は4度だけ。
後半26分にはクリアを拾った前田からパスを受けた粟飯原(後半頭から出場、川西と交代)が抜け出しドリブルでエリア内まで持ち込みましたが、李栄直を抜けず結局は戻してシュートまでいけず。

このまま引き分けかという空気が充満してきましたが、終盤の後半43分に岐阜・咸泳俊(ハムヨンジュン)が足を攣って倒れ、担架でピッチの外に。
一時的に10人で戦う事を余儀なくされた岐阜、そして結果的にこれが予兆となりました。

終了間際のヴェルディの攻撃(後半45分)。
右サイドからの小池のクロスは一度跳ね返されましたが、拾った小池からパス回し、藤本(山本と交代で出場)が端戸とのワンツーでエリア内右へ抜け出します。
そして彼からクロスが上がると、ファーサイドに飛び込んだのはレアンドロ。
岐阜DF・藤谷に足を掛けられながらもシュートを撃ち、その後ゴールポストに激突するという痛みも付き纏った執念のゴールで、ついにヴェルディが勝ち越します。
アディショナルタイムに敢行された岐阜のパワープレイもいなし、そのまま試合終了。

これで8連敗と光明が見えて来ない岐阜ですが、やりたいサッカーはハッキリしているのが見えたのが収穫でしょうか。
ただその練度を高めるのが課題なのは明らかで、前任者・大木氏のポゼッションサッカーとは真逆のスタイルである事も困難な要因となるでしょう。
その壁を乗り越え、J2残留を果たせるかどうか。


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