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ぶらりドリブルの旅

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DAZN観戦 2019年J2リーグ第35節 京都サンガFCvs愛媛FC

2019-10-10 17:07:21 | サッカー視聴記(2020年以前)

※前回の京都の記事はこちら(22節・山形戦)
※前回の愛媛の記事はこちら(31節・徳島戦)

一時は首位に立っていたものの、失速が顕著である最近の京都。
ミッドウィーク開催となった25節(7/30・金沢戦)での試合内容がケチのつき始めで、金沢のハードワークに終始押され気味で、試合終了間際に小屋松のゴールで辛くも引き分けに持ち込んだという一戦。
その2戦後の27節でも下位に沈む栃木相手に大苦戦、ボールポゼッションを高めて攻め込むもカウンターで沈んで先制を許し、さらにビルドアップのミスで2失点目。
ここから怒涛の攻撃で2点を返したものの、これも辛くも引き分けという結果に終わり、支配率は78対22と圧倒しながら勝ちきれなかったという内容でした。

この2戦がマイナス要因を呼び込む事となり、28節以降で7戦4敗と全くリズムを掴めず、自動昇格が危うくなってきている現状な京都。
救いは、4敗いずれもアウェイな事でしょうか。

そんな状況を打破しようとしているのか、あるいは深刻な駒不足からか、31節(岡山戦)から大ベテラン・田中マルクス闘莉王がスタメン起用されています。
それに伴いフォーメーションも3バックに移行し(闘莉王が3バックのセンター)、前節からは2トップを採用し、3-3-2-2のような形で臨んだこの日の試合。
前節・鹿児島戦は久々にアウェイで勝利してホームに帰ってきたこの日、負の要素を吹き飛ばす勝利を挙げられるでしょうか。

序盤はお互いロングパス・スルーパスの応酬。
ポゼッションサッカーを理想形とするチーム同士の対決とは信じ難い内容でしたが、90分間というスパンで行われるのがサッカー。
後のための布石を打つ事も重要であり、戦略が試されるスポーツでもあります。

先に本来の「自分達のサッカー」に移ったのは京都。
前半13分、敵陣で庄司がパスカットすると、最終ラインへ戻してから安藤が右サイドに展開します。
金久保・福岡・安藤がパス交換した後、金久保が出したスルーパスが愛媛DFに当たりゴールラインを割りコーナーキックに。
そのコーナーキック、キッカー庄司のクロスに闘莉王がヘディングで合わせたのがこの日のファーストシュートでした。(威力は無くGK岡本がキャッチ)
これでエンジンが掛かったか、その後立て続けにミドルシュートを打つも、愛媛ディフェンスのブロックに遭い得点には至らず。

すると流れは愛媛に傾きます。
序盤に見せていたロングボール攻勢は影を潜め、攻撃時はじっくりボールを繋ぐとともに、守備時は前線からのプレスを機能させ京都にボールを繋がせません。
23分、中盤でのパス回しから神谷が縦パスを入れ、山瀬がポストプレイで繋いだボールを下川がミドルシュート。(京都・安藤がブロック)
26分・28分にもそれぞれ藤本・神谷がシュートを放ちます。

下位に低迷している愛媛ですが、その組織力は決して侮れず。
特に攻撃力は非常に厄介で、かつ個の力に頼るという事も無い。
パスサッカーを基調としつつ、相手や状況による柔軟な対応も厭わず。
この日はコイントスの結果陣地を選んだ上での、立ち上がりのロングボール攻勢を見せました。

その組織を縁の下で支えているであろう、今季加入した大ベテラン・山瀬。
セントラルMFとしての存在感はまだまだ健在で、ボランチ・シャドーの両方が出来るという事もあり、スタメンでも途中出場でもチームの方向性を定められるのは大きいです。
この日はシャドーでのスタメンで、もう一人のボランチ・シャドー兼任である神谷はボランチに。

良い感じに試合のペースを握っていた愛媛。
しかしそんな流れの中での前半34分、京都の攻撃。
最後方から庄司が縦パスを送り、一美のポストプレイを受けた金久保が裏へスルーパス。
これに仙頭が抜け出してGKと一対一になり、落ち着いてシュートを決めた仙頭。
縦に速い攻撃というあまり京都らしくない中身だったのもあり、試合の流れをぶった斬る先制点となりました。

その後はボールキープして冷静さを取り戻しにかかる愛媛ですが、好機を作れないでいると、逆に京都が攻撃チャンスを作っていく展開に。
そして39分に再び庄司の縦パスで、仙頭が裏に抜け出すというシーンを作られる(GK岡本が飛び出してクリア)と、愛媛は早くも決断。
山瀬と神谷のポジションを変更し、ボランチ山瀬・シャドー神谷の布陣で以降通します。
すると前半の残りは愛媛の時間となります。

43分、中盤でのボール奪取から近藤がドリブルで駆け上がり、エリア内右へ進入してシュート。(京都・本多がブロックでコーナーに)
その後コーナーキックの連続から2本シュートを重ねる(田中・茂木)と、アディショナルタイムにも藤本にチャンスが。
前野のロングパスがルーズボールとなったのを近藤が拾い藤本にパスを送ると、エリアに入るかどうかという所からシュートを放ちますが、惜しくもゴール右に外れます。
そして前半が終了。

後半が始まっても愛媛ペースは続き、後半3分に早速近藤がエリア手前からのミドルでファーストシュート。(枠外)
しかし京都もやられっぱなしでは無く、8分には浅い位置でのフリーキックから庄司が左に展開し、小屋松がカットインの姿勢を見せてからクロス。
これをファーサイドで闘莉王(フリーキックのため前線に上がっていた)が落とし、そこを福岡がシュートしますが枠外に。

基調である「ポゼッションを高めてからの重厚な攻撃」は見る影も無かったこの日の京都ですが、それでも昇格争いに加わっている身、どんな内容でも勝利を掴むという姿勢は責められず。
そしてそんな姿勢(かどうかは定かでは無いが)が追加点を生みます。
闘莉王のパスカットからのカウンターで、仙頭のスルーパスに抜け出した一美がそのままドリブルでエリア内に入り、追走してきた愛媛・山崎を切り返しでかわします。
飛び出してきたGK岡本もその延長でかわし、後の反転シュートがあっけなく無人のゴール(ブロックに入ったDFが居たけど)に突き刺さりました。

2点リードを奪った京都。
それでも自身の基本のサッカーが出来ず、リズムを作れていなかった事がその後痛手となって帰ってくる破目になります。

2点目が入った後半12分以降、20分まで双方チャンスらしいチャンスは無く展開していきます。
愛媛は攻めあぐね好機を作れずにいましたが、それでも京都は相手の攻撃を切り一息付ける瞬間があまりにも少なかった。
この間に(15分)、愛媛は藤本→丹羽へと交代。

その後半20分。
愛媛はじっくりボールを回して好機を伺い、エリア内にボールを送る→京都がクリアという流れを何度か歩んだのち、左サイドで前野がスルーパス。
これを下川が受けるも京都・庄司に奪われ、庄司はボールを挟む形になってしまい身動き取れず、下川のアタックを受けたためコーナーキックに逃れます。
そのコーナーキックでも波状攻撃、キッカー神谷のクロスが跳ね返された後、近藤がエリア内左へ進入してシュート。
これも闘莉王にブロックされますがさらに神谷が拾い、カットインしてエリア内左から巻くシュート。
芸術的な軌道でゴールへと突き刺し、1点を返します。

そして27分、今度もエリア内に迫りながらもじっくりとパスワークで攻める愛媛。
先程と同じく前野のスルーパスで近藤が裏を取り、エリア内左からクロスを上げます。
これに山瀬が飛び込んでヘディングシュート、GK加藤は一歩も動けず、ボールはバーの内側に当たってゴールイン。
ポゼッションを高めた末の、京都とは対照的な2得点による見事な同点劇を演じました。

こうなると逆転へのムードは高まるだけで、新潟戦千葉戦の再現が期待されました。
しかしそんな中、自陣ゴール前で際どいプレーが29分に起こります。
GK岡本を交えたパスワークの最中、あろう事か山崎が京都・小屋松のプレスでボールロスト。
すかさず中央へパスし、一美がトラップするシュートチャンスが生まれたものの、戻ってきた山瀬が撃たれる前にクリアしコーナーキックに逃れました。
肝を冷やした愛媛サイド、その後は得点シーンのようなボール支配からの好機は影を潜める事になり、当然3点目の匂いも薄れ始めます。

一方の京都、32分に仙頭→ジュニーニョへと交代し1トップへとシフト(3-4-2-1?)し、ミラーゲームへと移行。
すると以降暫くは京都のペースとなりますが、試合も終了が近付いており、疲労のためかすぐ終わる事に。
40分のコーナーキック、キッカー庄司クロス→本多落とす→闘莉王トラップして反転シュート(愛媛・山瀬がブロック)というのが最後のシュートでした。

そして京都がペースを失うと、再び愛媛が攻勢をかけます。
43分には前野のロングパスを下川が胸で落とし、有田(西岡と交代で出場)がダイレクトでシュートを放つも大きく枠を外します。
アディショナルタイムにも前野が左サイドのドリブル突破でチャンスを作り、クロスを上げると神谷がトラップしシュート。(京都・黒木がブロック)
最後の方はポゼッションに拘らない攻撃を展開しましたが、勝ち越し点は生まれず。
2-2で引き分けに終わる事となりました。

来年は、亀岡市に完成予定の新スタジアムを本拠地とする事が内定している京都。
その初陣となるシーズンを、J1かJ2どちらで迎えるかで今後の運命は変わっていきそうですが、サッカーのスタイルを形成・維持する事は忘れてはならない。
自身のスタイルを貫こうにもままならないこの日の試合内容を見て、そんな事を思う次第です。


DAZN観戦 2019年J2リーグ第35節 ツエーゲン金沢vsヴァンフォーレ甲府

2019-10-09 17:20:51 | サッカー視聴記(2020年以前)

※前回の金沢の記事はこちら(29節・新潟戦)
※前回の甲府の記事はこちら(28節・山口戦)

昇格へ向けて、総力戦の様相を示してくるのがリーグ終盤戦。

自動昇格を目指さんと必死で追い掛けている甲府。
シーズン通して最も苦労しているであろう2シャドーの人選では、既にドゥドゥの姿は故障離脱で無く。
夏の補強で得たアラーノも、前節からベンチ外が続いています。

曽根田・横谷・佐藤和弘の既存戦力に、新人宮崎を絡めて起用していくという総力戦。
それが身を結んだのか、前節は上位に居る山形相手にウノゼロの勝利。
それも後半アディショナルタイムに決勝点を挙げるという劇的な内容で、ゴールを決めたのはこれまた後半戦になって出番が増えている金園。
苦境の中、こうして現有戦力の駒を最大限生かしていく戦いで活路を見出せるか。

一方の金沢も、現時点で勝ち点50と上位を狙う姿勢は崩さず。
それでも30節・鹿児島戦から5戦3敗と負けが込んでいる現状で、苦境を打破せんともがいている様相が窺えます。

特に右サイドバック・長谷川が故障離脱したのが痛手で、その穴埋めに小島が左から右に回る策が採られていましたが、悪い流れは止まらず。
そして今節、左SBにはサイドハーフの加藤が回る事となり、さらに金子が左SHに。
空いた右SHには清原が久々にスタメン出場、これが実に16節(徳島戦)以来との事。
今季の清原で印象に残るプレーはというと、10節・柏戦ですかね。
後半も半ば、左サイドからの毛利(現湘南)のクロスを足でトラップした清原、飛び出してきた柏GK・中村をかわしてゴールが無人に。
後方から抑えにいった中村と競り合い、不格好な体制ながらも執念でボールをゴールにねじ込みますが、キーパーチャージを採られ結局ノーゴールに。
スコアレスドローで終わったこの試合、「あそこで決まっていれば……」という典型例になったため、その後の主審への抗議も含め記憶に残る事になってしまいました。

それはともかく、一度出番を失った選手もカンフル剤として再び起用される状況が訪れている現在の金沢。
これも総力戦の一環でしょうが、果たして吉と出るか。

双方ポゼッションには全く拘らないサッカーで、これがぶつかり合うとどうなったか。
金沢は持ち味である縦に速い攻撃を、いつもと変わらず展開していきます。
前半3分、山本義道の縦パスから金子→清原→垣田と渡り、垣田がミドルシュート。(GK河田がキャッチ)
5分には金子のパスカットから攻撃、左サイドの加藤がエリア内へ向けてスルーパス。
クルーニーが走り込んで受ける絶好のチャンスも、甲府・小柳に倒されてシュートは撃てず、反則にもならず。

その後も縦パスや金子のドリブルなどを駆使して速攻を掛けていきますが、アタッキングサードでのプレーが今一つな印象。
クロスは殆どがグラウンダーで、金沢の武器である高さを生かそうとしないからそう映ったのか。

一方の甲府、開始直後にファーストシュートこそ放ったものの(左からのスローイン、そこから流れるようなパスワークで佐藤和クロス→曽根田シュートもGK白井セーブ)、その後は持ち味である堅守速攻ぶりは発揮されず。
俗に言う「ボールを持たされる展開」で、普段はあまり見られない後方からのパス回しを何度も強いられる事となります。

それを打開したのがロングボールでの攻め。
25分、横谷のロングパスをピーター・ウタカがトラップし、エリア内に進入してシュート。
これはブロックされ、その後の二次攻撃をシュートで終われずカウンターを喰らってしまいましたが、得点の匂いが芽吹いたという点では効果的でした。
そして28分、GK河田のロングフィードをウタカ→曽根田とヘディングで繋ぎ、小椋が拾った後はショートパスで左へと展開。
内田が中央へ向けてスルーパスを出すと、曽根田が走り込んで受けてエリア内に入り、そのままシュート。
GK白井が反応して触りますが、尚もゴールに向かうボールを佐藤和が蹴り込んでゴールゲット。

悪い流れを吹き飛ばす先制点、という風にしたかった甲府ですが、そうは問屋が卸さず。
31分の金沢左からのコーナーキック、キッカー藤村のクロスこそクリアしますが、こぼれ球を大橋がヘディングでゴール前へ。
シュートともパスともとれるボールでしたが、これを小柳がブロックに入ったものの、手に当たってしまいハンドを採られPKとなります。
キッカーのクルーニーがこれをしっかりと決め、早くも同点に。

その後は甲府がコーナーキックを得ますが(35分)、これが防がれてカウンターを受けると、以降は金沢のターンに。
攻め込むもシュートに結び付かないもどかしい展開が続いた金沢ですが、38分ついに実を結びます。
左サイドに清原が出張ってパスを受けたのが始まりで、そのまま左から重厚な攻めを魅せると思わせた矢先、清原→大橋縦パスで一気にクルーニーがエリア内でシュートチャンスに。
最初のクルーニーのシュート(パス?)こそエデル・リマがブロックしますが、こぼれ球を清原が繋いで、エリア内で垣田がシュートを放ちネットに突き刺しました。

これで逆転した金沢、尚も42分に決定機。
GK白井が左へパス、受けた加藤が一気にロングパスを送ると、クルーニーがトラップして抜け出しエリア内に進入。
しかし甲府・小出が何とかスライディングで止めてシュートは撃てず、前半は2-1で金沢リードのまま終了します。

手駒が少ない状況で、何とか打開策を見出さなければならない甲府。
後半採ってきたのは、ボランチ・横谷とシャドー・佐藤和のポジション入れ替えでした。
2シャドー・2ボランチの関係上、曽根田シャドー・小椋ボランチは動かしたくない甲府、両方できる他2人を入れ替えて……というのはこれまでも再三見られていたものです。

それが効果に表れたかは不明ですが、後半4分に早くも同点に。
右サイドから田中がダイレクトで中央へスルーパスを送ると、これがウタカが裏に抜けてGKと一対一という絶好機を呼び込み、エリア内から冷静にシュートを放ったウタカがゴールします。

その後は一進一退の攻防ですが、後半風下に立った影響か、金沢の攻撃は前半程の冴えが見られず。
甲府もボールを握らされるという状況は変わらず、次第に膠着状態の展開に。

するとその状態を打破しようと、甲府のディフェンス陣も積極的に攻撃に加わります。
17分、小出が後方からドリブルを仕掛け、さらに内田とのワンツーで左サイドを抉ります。
その後戻して中央から曽根田がエリア内へスルーパスを送り、ウタカが走り込むもオフサイド。
20分、今度はリマが左サイドへドリブルし、前方へスルーパス。
これを奥で曽根田が拾い中央へパス、横谷がチャンスボールをはたき佐藤和は走り込んでシュートにいくも、ウタカと被ってしまい撃てず。
しかしこぼれ球を曽根田が繋ぎ、ウタカがエリア内左に切れ込んでシュートまでもっていきました。(金沢・小島がブロック)

甲府・伊藤彰監督はここが勝負所と見たか、21分に小椋→山本英臣に交代。
さらにその5分後には田中→金園に交代し、フォーメーションも4-4-2に近い形へとシフトします。
しかもドイスボランチでは無く、山本英の1ボランチという変則型。

この間である25分の金沢の攻撃、エリア内で清原のシュートがブロックされた後、拾ったクルーニーがクロス。
これを垣田がトラップしゴールへ近づこうとした所、山本英の足に引っかかり倒れますが笛は鳴らず。
甲府にとっては岡山戦の与PKが脳裏をよぎるシーンでしたが、ここは命拾い。

すると30分、ようやく甲府の執念が結果に表れます。
交代策後右SBに移っていた小柳のカットで攻撃開始、曽根田が中央へ縦パスを送り、金園がポストプレイ。
横谷を狙ったパスはややズレたもののウタカが拾うと、そのまま中央から強烈なミドルシュート。
助っ人らしい豪快なシュートに金沢サイドも成す術無く、逆転に成功した甲府。

攻めなければならなくなった金沢ですが、守備に定評のある甲府相手に、逆にボールを持たされる展開を強いられます。
得意の速攻が出来なくなり、 高さを生かそうにもクロスは悉く跳ね返され糸口は掴めず。
結局その後はミドルシュートを3本放っただけに終わり、2-3で甲府が勝ち点3に辿り着きました。

ウタカの2ゴールでの逆転劇。
前節・山形戦では活躍出来ぬまま途中交代となってしまっただけに期するものがあった……という、ドラマを絵に描いたような結果となりました。
この勝利で6位に浮上、ようやくプレーオフ圏内に返り咲いた甲府。
これからも総力戦を演じつつ、相乗効果でチーム力を向上させ昇格を目指す事でしょう。


DAZN観戦 2019年J1リーグ第28節 サンフレッチェ広島vsヴィッセル神戸

2019-10-08 17:05:57 | サッカー視聴記(2020年以前)

トップダウン型か、ボトムアップ型か。

楽天というバックボーンの下、今夏も大型補強を敢行し続けた神戸。
「守備の強化を」という三木谷浩史氏の大号令(?)とともに、獲得した助っ人2人はトーマス・フェルマーレン、ジョアン・オマリともにDFの選手。
マリノスからGK飯倉を獲得するとともに、海外(ドイツ)から出戻りとなった酒井(渡欧前は新潟)も加入と陣容を強化していきました。
潤沢な資金力を生かした補強策で、トップレベルの選手を次々と獲得するその思想は、完全なトップダウン型と言えるでしょう。

その一方で、大分から藤本を獲得するという具合に、他者の神経を逆撫でさせるような振る舞いも隠しません。
今季の活躍により大分の象徴的存在とも思えた藤本を、わざわざ22節・大分戦の直前に引き抜くという血も涙も無い行為。
藤本自身はJFL出身でステップアップを厭わない性格なのでしょう、条件面で良いクラブを選んだだけだと思いますが、移籍後スタメン出場ゼロという現状をどう感じているでしょうか。

キックオフ直後、いきなり広島に決定機。
GK大迫からのロングボールを1トップのドウグラス・ヴィエイラが収め、左へ展開すると柏→稲垣→森島と繋がり、森島がカットインでエリア内へ。
神戸ディフェンスを深く抉って中央へマイナスのパスを送ると、完全フリーの川辺がシュート。
しかし僅かに左に外れ、先制チャンスを逃した広島。

それでも悲壮感は微塵も無かった(と思われる)広島、前半5分でした。
スローインからの攻撃、佐々木のパスに反応した森島が先程と同様に左からエリア内を抉ります。
そしてリプレイの如く中央へのマイナスのパスを送ると、同サイドから稲垣が走り込みシュート。
今度はGK飯倉の腕を弾き、ゴールに吸い込まれました。

広島のペースは開始10分頃まで続きます。
7分、今度は右サイドでハイネルが野上とワンツーで前進、その後スルーパスを送りエリア内でヴィエイラが受ける好機。
しかし神戸・大﨑のディフェンスに遭い、倒れますが笛は吹かれず。
9分には敵陣での青山のボール奪取から、ヴィエイラがエリア手前からシュートを放ちますがGK飯倉がセーブ。

しかしここから神戸が押し返します。
ビルドアップは3バックとセルジ・サンペールからですが、これにGK飯倉もサポートするとあっては、闇雲なプレスは徒労に終わるのみ。
よって中央を切りつつ、いつもの5-4-1のブロックを形成して守る広島ですが、それでも急所を突いてくるのがアンドレス・イニエスタの一本のパス。
12分・13分と、イニエスタのラストパスでFWダビド・ビジャがエリア内でシュートチャンスのシーンを作るという具合にクオリティ満点の攻めを魅せます。

そして20分、センターバック大﨑の縦パスを降りて受けたビジャ、1トラップからそのまま前方にパスを送るとこれが古橋への絶妙なスルーパスに。
エリア内でトラップした古橋、落ち着いてシュートをゴールに決め同点に追い付いた神戸。

そんな美しいともとれるサッカーを展開せんとする神戸ですが、その雰囲気に似つかわしくない存在なのが、今季開幕前に鹿島から移籍してきた西。
3バックへのシステム変更で、本来のサイドバックからウイングバックへと移行し出場を続けているベテランですが、近年は衰えからかラフプレーが目立ってきたのは気のせいでしょうか。(前年の天皇杯準決勝・浦和戦で、FW興梠をマンマークで徹底的に削って負傷退場に追い込んだのが印象的)
この日もそんな姿は健在で、後ろからのスライディングは元より、パスを出した森島を手で押し倒しただけで無く(当然反則)、その後の広島のフリーキックを至近距離でブロックしてもお咎め無しだったりと悪目立ちしていました。
正直、対面の柏(26節・マリノス戦で負傷)が削られ潰されやしないかと不安でした。

しかし23分の神戸の攻撃、パス回しからサンペールがエリア内右へとロングパスを送ると、これを受けにいったのは右WBの位置から走り込んだ西。
頭で落としにいった西ですが、あろう事か同じく落下地点に居た古橋と激突、古橋はピッチ外で倒れ込む事態に。
この日は敵では無く味方を潰してしまった……という一文が浮かびましたが、幸い古橋はその後(26分)プレーに復帰しました。

試合に話を戻すと、前半30分過ぎから再びペースを掴み始める広島。
そして39分、右サイドで野上がエリア内へスルーパス、ヴィエイラが受けます。
そしてこれまた最初のチャンスand1点目を左右対称にしたかのようなマイナスのパスを送り、再び稲垣がシュートを放ちネットに突き刺しました。
再びリードを奪った広島、さらに40分には相手のミスから青山がエリア手前からミドルシュートを放つと、これをエリア内でブロックに入ったフェルマーレンの腕に当たったとされハンド。
PKを得た広島、キッカーはヴィエイラが務めましたが、ゴール左へのシュートをGK飯倉が反応しセーブ。
3点目は防ぎましたが、そのまま広島ペースは変わらず前半を終えます。

後半は一転して神戸が主導権を握り、パスを回しつつ同点のチャンスを伺いますが決定機は作れず。
すると6分に広島のカウンター、ハイネル縦パス→ヴィエイラポストプレイで川辺がボールを持つと、そのまま右サイドをドリブルで疾走。
追走していた大﨑は、エリアすぐ脇で切り返した川辺を引き倒し、当然反則。
この時はカードは出ませんでしたが、これがその後の伏線だったでしょう。

12分には左ハーフレーンをドリブルで魅せ、14分にはGK大迫のパンチングしたボールを拾ってミドルシュート(ゴール上に外れる)という具合に、この日も観衆を魅了するイニエスタ。
それに呼応するように酒井やビジャもシュートを放ち、神戸ペースで進んでいた最中、試合を大きく動かすシーンが生まれる事に。

神戸とは対照的に、バックボーンは非常に小さく(といってもJ2並では無いが)限られた資源で上位を目指す戦いを強いられている広島。
今季はACLも並行するシーズン、苦戦は必至と思われましたが、終盤まで上位に食らいついています。

助っ人に目を向けても、当然華やかな神戸と違い、地味な路線に終始。
この日の前半に(28分)ハイネルがビジャにスライディングを敢行した後、両者が激高し選手が入り乱れるシーンがありましたが、スターと雑草という両者の絵図は趣深かったです。

それはともかく、特にFWには近年はドウグラス(現清水)にピーター・ウタカ(現甲府)、パトリック(現ガンバ)と、Jの他クラブで結果を出した選手の獲得が目立つ広島。
そんな路線で今季獲得したのがヴィエイラで、前年までJ2・ヴェルディに所属。
ヴェルディの3年間で37得点を残し、前年のJ1昇格プレーオフでは、入れ替え戦に導く決勝ゴールを挙げました。といってもあれは9割方GK上福元のゴールな気がしますが
そして晴れての(?)J1への個人昇格、3-4-2-1の1トップ・ボールの収め役として、前年大活躍したパトリックをサブに回してまで起用した城福浩監督。
その役割は十二分に果たしながら、故障欠場も多く得点は伸びず(6得点)。
8月末に故障し全治6週間と診断されながら、驚異の回復力を見せスタメン復帰を果たしました。(この辺は名フィジカルコーチ・池田誠剛氏の賜物でしょうか)

後半20分、そのヴィエイラに後方から森島のロングパスが飛んでくると、これが神戸ディフェンスラインの裏を取る決定機に。
ボールを収めようとするヴィエイラに対し、エリア手前で大﨑がバックチャージ、ヴィエイラは倒れ笛が吹かれます。
大﨑に赤色のカードが突き出される、決定機阻止で退場というジャッジ。
反則で止めるシーンが目立っていた大﨑(前半のは反則では無かったけど)、ついに神戸守備に大穴を開けてしまう事となりました。

これで得たフリーキック、キッカー森島が右足で直接狙うと、シュートは綺麗にゴール左隅へ。
苦しい時間を耐え2点差とした広島、ついに至福の時間がやって来ました。

1人少ない神戸に対しパスワークも冴え渡り、遅行を駆使しながら追加点を狙う戦いにシフトする広島。
32分に神戸に1点を返され(イニエスタのパス→交代出場・田中がエリア内からシュート)暗雲が過るものの、その後は冷静に試合を運びます。
38分に柏→清水へと交代すると、直後の39分。
スローインを受けたヴィエイラ、逆方向を向いたままアバウトに蹴り込むと、落下地点でハイネルが神戸・フェルマーレンを制してヘディングで落とします。
これを森島が受けてドリブル、エリア手前で中央の川辺にパスを出し、ダイレクトで放たれた川辺のシュートはゴール右へと突き刺さり貴重な4点目。

その後(40分)神戸はイニエスタ→小川へと交代しますが、これが事実上の投了宣言となったのか、アディショナルタイムにさらに加点する広島。
ハイネルのスルーパスからヴィエイラが抜け出してシュート、これはGK飯倉が股を締めて止めたものの、クリアボールを拾った広島が波状攻撃。
エリア内中央で川辺のパスを受けた森島、2度の切り返しから放たれたシュートも飯倉が止め、そのこぼれ球を清水がシュートするもゴール前にいたフェルマーレンがブロック。
しかし跳ね返ったボールは飯倉を直撃してヴィエイラの足元に転がり万事休す、ヴィエイラがゴールに蹴り込み5点目。
その直後、神戸陣内でのビルドアップでGK飯倉が処理を誤り、奪われて森島が無人のゴールにロングシュートを入れ6点目。
集中力の欠如を思わせるシーンが映し出された末の試合終了となりました。

対照的な両クラブの対決はこうして幕を閉じましたが、知名度は少ないながらもそこから成長していく、ボトムアップ型の方に心を打たれるものがある。
あくまで個人の考えですが、この日の広島の大勝ぶりで、改めてそんな事を思い直しました。


DAZN観戦 2019年J1リーグ第27節 セレッソ大阪vsガンバ大阪

2019-10-03 17:17:15 | サッカー視聴記(2020年以前)

チーム状態の差がそのまま結果に表れた大阪ダービーとなった。
端的に言えばそれまででしょうが、中々考えさせられる一日でした。

セレッソは清武が負傷中であり、ゲームキャプテンを務めるのは柿谷です。
その柿谷がキックオフ前の「リスペクト・フェアプレー宣言」のスピーチをしている最中、ガンバサポーターからブーイングが発生する事態に。

発端は前年の夏の移籍期間で、柿谷の移籍話が浮上し、オファーを出したのはガンバで「禁断の移籍」として騒がれる事に。
結局柿谷は残留の道を選び現在もセレッソに籍を置いています。今夏も名古屋への移籍が噂されましたが
それを恨んでの……とは語弊があるかも知れませんが、ともかくガンバ側の余裕の無さを感じてしまう一幕でした。

試合が始まると、ガンバは縦横無尽のパスワークでセレッソの守備を崩しにかかります。
ドイスボランチの遠藤・井手口がその担い手で、両サイドハーフ(左が倉田、右がマルケル・スサエタ)が頻繁にポジションを移動、FWの宇佐美が積極的にパスを受けに降りるという「カオス状態」を作り出さんとする攻撃。

良く言えば自由・ファンタジー、悪く言えば無秩序と捉えられそうな攻撃ですが、問題は守備でもその節が見受けられた事。
セレッソのクロス攻勢に、中央のマークが非常に曖昧になっている内にあっさりと2点を先行される試合展開に、無秩序という言葉がハッキリと浮かび上がってしまいました。
1点目は、後方からの縦パスを右サイドで奥埜が収め、水沼→ブルーノ・メンデス→柿谷と経由しつつ左へサイドチェンジして丸橋がクロス。
これをメンデスがヘディングで叩き込み、ゴール上部に突き刺しました。
前半8分での先制点でしたが、2点目はそこから僅か3分後。
今度は右サイド奥でのフリーキックからで、キッカー・ソウザのクロスを、エリア内浅い所から走り込んだマテイ・ヨニッチが勢い良くヘディングシュートでゴール。
ヘディング2連発であっさりとリードを奪ったセレッソ。

その後はガンバがボール支配率を高めて攻め込むという、ビハインド時の定型の試合内容に。
しかし相手は、前回述べた通りリアクションサッカーを軸とした組織力がアイディンティティであるセレッソ。
セレッソが4-4-2のブロックをしっかりと作り、さらにそのブロックの間を非常に狭くする事でパスワークも限定されがちになっていきます。

中央からの攻撃はほぼ無理という状態で、サイドから攻撃してもすぐに手詰まり状態に。
サイドチェンジを絡めてチャンスを作るという場面は殆ど無く(13分の金英權の左→右の後は、後半22分の宇佐美の右→左まで無し)、往々にしてボール側に人数を増やしてショートパスで崩そうとする攻撃に終始します。
結局ガンバのシュートは、ブロックの外からのミドルシュートという形で重ねられるだけとなり、それも可能性のあるものはあまり無く。(強いて言えば41分のスサエタ、強烈なシュートもGKキムジンヒョンの正面)
近めのシュートといえば、34分スローインの流れからの宇佐美のものぐらい。(GKキムジンヒョンがキャッチ)

リーグ前半の戦いで見られた、「若手選手を数多く起用して来年以降に備える」というガンバの姿勢。
しかし夏の移籍期間で、海外から宇佐美・井手口が「出戻り」、広島を干され気味となっていたパトリックを獲得。
移籍期間が終わってからも、フリーになっていた元スペイン代表のスサエタ獲得という具合に大型補強に走ります。
それだけでは無く、若手有望株として起用してきた中村敬人や食野亮太郎が早くも海外移籍に踏み切るという要素も加わり、方針は既に雲散霧消したと実感してしまうメンバー構成に。
育成型レンタルで数多選手を出しているのが救いですが、果たして彼らが戻ってきた時に健全に出番が与えられるのか戻ってきた時はJ2に落ちていないかなどと不安の種は尽きないでしょう。

後半が始まり、2点ビハインドのガンバは選手交代があると思われましたが、最初に動いたのは後半13分になってから。
しかもセレッソに3点目を奪われた直後の事であり、結果的に流れの悪さを実感するだけとなってしまいました。
ガンバ監督・宮本恒靖氏は指導者としてはまだ若年で、結果を出す事が求められる状況になるとフリーズしてしまうという印象です。(5節・神戸戦で、後半アディショナルタイムまで交代に手を付けず3-4で逆転負けしたのが印象的)
この日のガンバの攻撃が「選手任せ」に映っていた事もあり、トップの監督としてはまだ修羅場を踏む必要がありそうです。

その3点目が入り、ようやくガンバがアデミウソン・パトリックの2人を投入(倉田・渡邊千真が退く)し得点を取りにいったものの、ここからセレッソの攻撃チャンスが増えていく事に。

14分、左→右サイド奥へのサイドチェンジから、中央バイタルエリアでソウザが受けるという絶好機。
ここで恐怖のミドルシュートが炸裂すると誰もが思ったはずで、ガンバディフェンスも必死にブロックに入り、それを切り返し続けてシュートチャンスを探すソウザという図に。
結局シュートは放たれたものの、ジャストミートせず枠外と不発に終わりました。

↓ソウザ恐怖のシュートの絵

そんなソウザのミドルシュート、後半アディショナルタイムにこの日も炸裂したものの、GK東口のセーブに遭い残念ながら結果は出ず。

セレッソが攻勢をかけた事により、ガンバ側もようやくカウンターという「セレッソの守備が整わない間に攻撃を仕掛ける」機会が増え、ややオープンな展開になっていきます。
3-0というスコアになった事で、ダービーマッチ故か観客にエンターテイメント性を提供する趣に舵が採られたのでしょうか。(んな訳無い)

そんな状況下、終盤は裏狙いのスルーパスで好機を作っていくガンバ。
33分右サイドで井手口のスルーパスを受けたスサエタがクロス、これをパトリックが胸で落とし井手口に渡るも、宇佐美へのパスはセレッソ・水沼にカットされシュートまでいけず。
37分はカウンターの好機、スサエタが中央をドリブルしたのち右のパトリックへとパス。
パトリックはスルーパスをエリア内に送り、走り込んで受けたアデミウソンがシュート。(藤田がブロック)
43分にはクリアボールを井手口が落とし、拾ったアデミウソンがエリア内へロビングを上げ、パトリックが裏に抜け出しボレーシュートにいったもののオフサイドの判定。
願わくば、こうした攻めをリードを奪われる前にやりたかった事でしょう。

結局オウンゴールで1点を返したものの、大勢に影響無く3-1でセレッソの勝利に終わった大阪ダービー。
意外にも7年前の2012年以来のセレッソの勝利との事ですが、2013年にはガンバが、2015~2016年にセレッソがJ2に居たので対戦数はそう多くは無く。
この間はガンバの第2期黄金期(監督は現FC東京・長谷川健太氏)が到来していただけに、今回の結果は双方立場が逆転してしまったのか、という事を感じさせるものとなりました。


DAZN観戦 2019年J2リーグ第34節 アルビレックス新潟vs水戸ホーリーホック

2019-10-02 20:08:46 | サッカー視聴記(2020年以前)

※前回の新潟の記事はこちら(29節・金沢戦)
※前回の水戸の記事はこちら(32節・千葉戦)

リーグ戦も最終盤が見えてきており、昇格争い・残留争いの両方が白熱する時期。
しかしそのどちらにも属さないクラブは、目標が定めにくい時期でもあり。

現在その代表格が新潟で、勝ち点40台(43)は降格の心配はほぼ無い反面、プレーオフ圏内である6位からも大きく離れている立ち位置です。
それでも「J1復帰の夢を……」というようなこの日の中継の実況が目立ちましたが、逆に言えばそれを簡単に降ろしてしまうと、目標が失われたチームの瓦解に繋がるという思惑もあるでしょう。
優秀な助っ人が多い選手編成で、オフに他クラブの草刈り場と成りかねないだけに尚更です。

その助っ人ですが、ボランチでキャプテンという中心選手だったはずのカウエが4試合連続でスタメン落ち。
契機は31節・千葉戦の出場停止からで、その間チームは無敗なため「良い流れを弄りたくない」思惑があるのでしょうが、こうして出番を失う事で移籍に繋がってしまうのが過去の新潟のキャプテン履歴。(この記事でも書きましたが)
今回もその通りになってしまうのかという懸念が舞い降りる中、微かに見えている目標に向かって我武者羅に突き進まんとしているようです。

試合が始まり、序盤はロングボールの応酬となった中、得点チャンスを掴んだのは新潟。
前半4分、中盤で高木がボールカットしシルビーニョ→レオナルドと渡り、レオナルドは左サイドに展開してボールを受けたシルビーニョがクロス。
これがブロックされスローインで再開、投げ入れた堀米がシルビーニョのリターンを受けるとカットイン、エリア内左に進入してから絶妙なヒールパス。
これをシルビーニョがダイレクトで、ループ気味にシュートを放ち綺麗にファーサイドのゴールを打ち抜いて先制点を挙げました。

その後はビハインドとなった水戸がペースを掴みます。
9分、前の縦パスを黒川がフリックすると、そのままFW小川に渡りシュート。(新潟・舞行龍ジェームズがブロック)
14分の右サイドでの攻撃、黒川・福満のパス交換から黒川がカットインしてエリア内からシュート。
新潟・大武にブロックされたボールを小川がヒールパスで繋ぎ、今度は後方から白井がミドルシュートを放ちますが際どく左に外れます。

一方の新潟も、前線に助っ人3人を起用しての迫力ある攻撃は健在。
22分、左SB堀米のドリブルから攻撃開始、中央へ送り高木→シルビーニョ→レオナルドポストプレイ→シルビーニョ→戸嶋と渡った後今度は右に展開。
右SB新井がクロスを上げ、エリア内でレオナルドがトラップした所に渡邊新太が走り込んでシュートしますが、惜しくもゴール左に外れました。
水戸が守備を固めている状態では、この左右の揺さぶりの攻めが終始効果的でした。

双方攻撃の応酬というここまでの展開でしたが、以降は同点に追い付きたい水戸が攻勢に。
特に前半30分以降新潟の攻撃は水戸の前線からのプレスにより壊滅状態となり、ここから前半終了まで攻撃回数は僅か1度という有様でした。

この時間帯、やはり目立ったのがエース小川。
34分・35分と立て続けにミドルシュートを放ち得点を狙うと、40分にはカウンターで黒川が左サイドをドリブルしてからのクロスを、ワントラップしてからシュート。
これは新潟・大武にブロックされますが、尚も岸田が繋いだボールを受けてシュートを放つ貪欲さを見せたものの、GK大谷に阻まれゴールならず。

結局前半を1-0で終え、攻め込みながらも得点を奪えなかった水戸。
昇格争いも佳境に入り大混戦となっている2位争いですが、今季20年目のJ2暮らしである水戸もその中に加わり、激戦を繰り広げています。

そんな中、先日来期のJリーグのライセンス交付が発表されたというニュースが。
新たに町田・鹿児島・琉球がJ1ライセンスを得るという発表の中、水戸は条件付きでのJ1ライセンスという立場。
これは前年と同様で、その条件は笠松運動公園陸上競技場の改修というもの。(現在ホームのケーズデンキスタジアムが収容人数の面で不足しているため)
そして前年はJ1昇格の可能性が消えるとともに改修を諦めるという経歴で、一旦ライセンスがJ2落ちになったものの、今季再び申請し同様の条件で取得。
つまりは「J1昇格が決まれば笠松を改修するが、そうでなければ据え置き」という方針という事で、笠松で戦っている間にケーズデンキスタジアムの改修を行う考えらしいです。

前年以上に昇格が現実味を帯びている成績で、そこにこうした条件が加わる事で「何としてでもJ1に上がりクラブの駒を前に進めたい」というクラブの状況が出来上がっている水戸。
しかしそれはプレッシャーが嫌でも大きくかかる立場でもあり、これに打ち勝てるかどうかも重要になってくる今後の戦い。

果たしてこの日は一筋縄ではいかない新潟戦。
前半「惜しい」だらけで得点を奪う事が出来なかったのが勝敗を分けたと感じました。
後半も攻勢をかける水戸に対し、カウンター気味に追加点を狙うという図式は変わらず。
しかし立ち上がりは新潟がチャンスを演出していきます。

キックオフでの攻撃をレオナルドのミドルシュート(GK松井キャッチ)という形に繋げた新潟。
後半4分には中盤で高木がボール奪取し攻撃開始、ここでもサイドチェンジで左右に振ったのち中央から攻めます。
シルビーニョの浮き球のパスを高木が頭で落とし、さらにフランシスがポストプレイでエリア内にはたき、走り込んだシルビーニョがシュート。
これが右ゴールポストを直撃し、跳ね返りをフランシスが詰めるもGK松井がセーブ。
さらにレオナルド・フランシスが立て続けに詰めますが、最後はフランシスのキーパーチャージ(警告)で惜しくもチャンスを逃します。

肝を冷やした(と思われる)水戸サイドですが、その後も攻撃の手は緩めず。
それでも守備を固める新潟に対し、「ボールを握らされる展開」となり、いつもの縦に速い攻撃は繰り出す事が出来ずに苦戦します。
14分は右サイドからの攻撃から、前がシュート気味にクロスを入れ、小川がコースを変えにいくもGK大谷がセーブ。
こぼれ球をさらに小川がバイシクルでシュートを狙うも空振り、さらに木村が走り込んでシュートしますが、倒れた小川に当たってブロックの形になってしまい得点ならず。
プレッシャーからなのかは不明ですが、流れが来ていない事を表すシーンに映りました。

一方の新潟も、水戸にプレッシャーをかけようと追加点を狙いにいきますが惜しいシーンばかり。
26分、戸嶋のパスカットから左サイドの攻撃、堀米がエリア内へ送ったボールは一旦レオナルドがヒールパスで再び堀米へ。
エリア内左を抉った堀米がクロスをエリア内へ送ると、こぼれたボールをレオナルドがトラップしてからシュート。(GK松井セーブ)
30分にはGK大谷のロングフィード→矢野(フランシスと交代で出場)の落としから押し込み、渡邊新がエリア内のレオナルドに送り、レオナルドはボールキープ。
そして後方に出し、高木がミドルシュートを放つもGK松井のセーブに阻まれ、お互い次の1点が遠い展開となっていきます。

イライラも募る展開になったのか、36分は黒川に対し反則を犯した新潟サイド、高木がそのままボールを蹴ってしまい遅延行為で警告。
39分今度は水戸サイド、黒川が舞行龍に対して反則した後言い合う姿勢を露わにし続け、審判の静止も効かずに激高を続けた結果異議?で警告という具合。

そしてアディショナルタイムに突入すると、新潟が攻勢に出ます。
戸嶋が水戸のクリアボールを拾い左サイド奥へロングパス、受けた本間(渡邊新と交代で出場)は堀米とパス交換した後カットイン。
水戸・岸田をかわしてエリア内に進入した所で水戸・福満に倒されると、審判の笛が鳴って反則・PKとなり水戸は万事休すに。

これをレオナルドがキッチリGK松井の逆を突いて決める(48分)と、さらに50分にも追加点が。
この日何度も見られた「左サイドからの攻撃→中央へ→右サイドへの展開」という王道パターンでしたが、水戸は集中力が切れたのか付いていけず、最後は新井が上げたクロスをレオナルドがヘディングシュートで仕上げてゴール。

そのゴールと同時に試合終了となりましたが、さらに同時に水戸GK松井が、飛びついた際にゴールポストに激突し倒れ動けずという事態が発生。(幸い無事だった模様)
水戸にとっては、昇格争いの最中に暗雲が流れかねない重苦しい試合となってしまいましたが、ここから反発力を見せて昇格を勝ち取る事が出来るでしょうか。