※前回の藤枝の記事はこちら(16節・磐田戦、0-1)
※前回の栃木の記事はこちら(14節・秋田戦、2-1)
<藤枝スタメン> ※()内は前節のスタメン
- 離脱していた水野が5戦ぶりに復帰・ベンチ入り。
- 大曽根の故障が発表され、5/26に発生して全治6~8週間との事。
- 来季加入が内定した永田(中京大)が特別指定で今節から登録。
<栃木スタメン>
- GK青嶋が今季初のベンチ入り。
- ジュニーニョの故障が発表され、4月中に発生して5/11に手術、復帰まで4~5か月との事。
渡邉不在となった17節(徳島戦、3-0)で快勝し、渡邉が復帰した前節(群馬戦、0-0)は途端に無得点となってしまう、中々評価が難しい近況の藤枝。
一つ言える事は、その前に4連敗を喫したのもあり、相手の対策が進み始めているという危惧。
それにより渡邉が居ない時の方が却って良い試合となった、といえば渡邉に失礼でしょうか。
しかしフィニッシャー以外にも、前回観た際は磐田のプレッシングに難儀し、自慢のビルドアップの流れは非常に悪かった。
逆に前節の群馬はリトリートに徹する時間が長く、崩しに悩まされて得点を挙げられず終わり。
J2で本格的に戦い続け、文字通り一段上のレベルでの戦いを強いられるといった感じですが、シーズン終了までにレベルアップを果たせるかどうか。
この日の相手の栃木は、前日の大雨の影響で足止めを喰らってしまい、当日の到着になった事で試合時間は3時間遅れに。
そのためそのコンディションにも支障が疑われる中での試合となりました。
その通りに、持ち味のプレッシングは影を潜める栃木。
前節の群馬のように、前半はリトリートを重視して後半に勝負、といった思惑が表れていたでしょうか。
しかし前半4分、自陣深めからのスローインで最終ラインで繋がんとする所、GK藤田がプレッシャーを掛けられてエリア内でボールロスト。
右ポケット奥で奪った岩渕がすかさずマイナスのクロスを入れるも、何とか飛び付いて抑えた藤田。
このままではその有利不利さがそのまま直結してしまう所でしたが、10分には逆に敵陣でボール奪取しての決定機。
ミラーマッチらしい、藤枝の3バック+ドイスボランチ・栃木の前線5人というマッチアップの中で左サイドで佐藤が奪い、拾った山田雄の斜めの縦パスを受けた根本が抜け出してGKと一対一を迎えます。
しかしトラップが大きくGK上田に距離を詰められ、止む無く右足アウトで放ったシュートは上田が脚でブロック、ゴール方向へこぼれたボールはクリアされ実りませんでした。
このように数少ないながらも隙を突く栃木の攻撃の脅威に晒されながら、攻撃サッカーを貫いて得点に辿り着く事が求められたこの日の藤枝。
8分に横山が左からカットインし、エリア手前からクロス気味のシュートを放つもGK藤田がキャッチ。
これを切欠として、カットインシューターが充実しているチームらしくエリア外からフィニッシュを狙いにいきます。
12分に再び横山が左サイドを前進し、榎本が奥を突いたのち戻しを経て逆サイドへ渡していき、小笠原が右から縦パス気味にミドルシュート。
渡邉が中央で合わせにいくという二択も掛けましたが、手前でクリアされて実らず。
16分にも平尾が右からカットインして中央からミドルシュートを放つ(GK藤田キャッチ)という具合に、堅守に対し遠目からのフィニッシュで対抗する姿勢を見せました。
しかし自陣でブロックを築いて構える栃木に対し、「ボールは握っているものの……」というお決まりの流れを強いられるようになり。
先程のミドルシュートも、GK藤田がしっかりとコースに入って正面でキャッチするという場面が目立ち、ブロッカーのコース切りも盤石といった感じであり。
藤枝のストロングポイントへの対策は何重にも立てられているようで、これを上回れるかどうか今後にかかっている事でしょう。
33分それまでとは異なり、左サイドで上がって受けた山原がディフェンスにこぼされた所、福島のミスで榎本に渡るとドリブルで左ポケットを突き。
榎本は当然シュートにいったものの、岡﨑に内を切られて限定された末に、奥からのシュートとなった末にGK藤田がセーブ。
これにより左コーナーキックを得ると、ショートコーナーを経て横山がカットインからクロスかシュートか区別し辛いボールを蹴り、ファーサイドで川島が跳び込むも合わずにゴール右へ逸れて終わり。
栃木は守勢を強いられながらも、アタッキングサードの場面ではその堅守が光る流れに。
そして37分に前から奪いにいくと、縦関係となった藤枝ドイスボランチの間で佐藤がボールカット。
そのまま前進し、根本のポストプレイも挟まれた末にエリア内を突いてシュートまでいきましたが、GK上田が前に出てセーブ。
またもGKと一対一に近い状況を作られた藤枝。
一発には気を付けたい流れとなりましたが、その危惧の通りとなってしまい。
40分、中盤で前に出て奪いきれなかった川島が山田雄に対して反則、これで左サイド遠目でのフリーキックから攻める栃木。
キッカー福森が入れたロビングを右ポケットで根本が折り返すと、小堀が合わせにいった所にGK上田が抑えにいき。
しかしディフェンスの存在もあり混戦となった結果上田はボールをこぼしてしまい、すかさず詰めた福島のシュートがゴール左へと突き刺さります。
狙い通り、少ない攻撃の流れの中で先制に成功した栃木。
得点出来ないどころかリードまで奪われるという、前節から状況は悪化したというような藤枝。
何とか再び攻める流れを作りますが、リードした事で積極性も出て来た栃木により、前へのベクトルが真っ向からぶつかるという絵図に。
その通りに43分、ルーズボールに対して小笠原と福森が拾いにいって激突、両者倒れ込むなか主審もイーブンと判断して流し。
拾った平尾から素早く縦に運び好機を作る藤枝ですが、渡邉の縦パスは徳永に収まらずフィニッシュに繋げられません。
かくしてビハインドのまま前半を終える事となった藤枝。
それでも後半に向けて選手交代は行わず、あくまで攻撃権を支配する中でゴールに辿り着く事を目指します。
それでも、立ち上がりはワイドから素直なクロスを入れていく等、若干の変化が表れていたその攻撃。
裏狙いのパスの数も増え、後半8分には山原の裏へのロングパスを、渡邉が走り込んで左奥ライン際で何とか残し。
榎本が拾いにいき、クリアされるもブロックして(跳ね返りがDFに当たって)CKに持ち込むなど、泥臭さも交えて攻勢を保ちます。
そして迎えた12分、栃木の攻撃で押し込まれるも左サイドで戻った横山がカット、スペースが無い中で中央へ送ったミドルパスをこれまた戻っていた渡邉が収めて右へ叩き。
苦し紛れな繋ぎながらも久保のドリブルへと持ち込み、右サイドを一気に推進した久保がグラウンダーでクロス。
ファーサイドで岩渕が合わせる、綺麗な流れでエリア内でのフィニッシュが生まれたものの、シュートはふかしてしまいモノに出来ません。
直後にその岩渕が水野と交代となり。(同時に徳永→矢村へと交代)
復帰した水野により、横山が一列上がる本来の位置へと戻った藤枝。
14分には早速降りて受けた横山がそのままドリブルに入り好機を生み出し、左ポケットへのスルーパスに山原が走り込んでマイナスのクロス。
しかしクリアされて逆に栃木のカウンターとなり、スルーパスを右サイドで受けた根本がポストワークで溜めを作り、追い越した森へとパス。
そして奥を突いた森からクロスが上がり、流れた所を拾った福森が左角からシュートを放ちましたがゴール右へと外れ。
ポゼッションvsカウンターの流れが固まりつつある中、直後の同じく15分に、右サイドでスルーパスを受けた平尾が岡﨑に倒されて反則・警告。
これで次節出場停止となってしまった岡﨑ですが、これで得た藤枝のFKでの攻撃で更なる追い撃ちが。
キッカー横山のクロスをクリアにいった際、小笠原との交錯で肩を痛めてしまい続行不可能となってしまいます。
災いがその身に一気に降りかかったという感じで、治療を受けながらピッチを後にする事となった岡﨑。
大森と交代し、リベロの位置には大谷が回りました。(同時に佐藤→西谷へと交代)
それでも栃木が有利な状況は変わらず。
20分の藤枝、川島の縦パスを渡邉が浮かせるポストプレイ、これを横山がエリア内へ落とした所に走り込んでシュートに辿り着く渡邉。
しかしジャストミート出来ずと、徹底マークに遭うなか思うようにフィニッシュを放てないのは得点ランキングトップを保っている故の性でしょうか。
28分にもカウンターに持ち込んだなか中央をドリブルする渡邉、横山のポストプレイを挟んでエリア手前からシュートしますがGK藤田がキャッチ。
攻め続けるも、その流れは決して良くないという状況の藤枝。
29分に再びベンチが動き、小笠原・山原→山田将・工藤へと2枚替え。
左右のセンターバックを揃って代えるという思いきった策を採ってきた須藤大輔監督。
これには放送席(解説・西部洋平氏)もやや疑問符を付けていましたが、6試合ぶりのベンチ入りとなった山田将には、恐らくベンチ外の久富の代わりをやらせたかったのでしょう。
つまりはターゲットも兼ねての攻勢時の押し上げ。
この後栃木の攻撃機会はめっきり減り、ひたすら攻勢を掛ける流れとなった藤枝。
32分には横山が左からカットインしミドルシュートを放つものの、これもGK藤田が正面でキャッチと依然としてその対応に乱れは見られない栃木。
直後の33分にベンチも根本・小堀→宮崎・矢野へと2枚替えと、逃げ切りへ向けて立ち回ります。
打開したい藤枝は、35分にドイスボランチ(水野・平尾)が思いきり左右に開き、その間に横山が降りてパスを受けるという変化。
そこから左へ展開し榎本がドリブルし中央へ縦パス(合わず)と、何となく今後のカギになりそうなビルドアップが見られ。
そんな事を考えていると、直後の36分に矢村が浮き球を収めた所に矢野がチャージしてしまい(プロレスかと疑いたくなる、腕でのラリアート気味のチャージ)反則・警告。
さらに38分には栃木のゴールキックで、GK藤田が遅延行為により警告を受ける等、1点勝負故のプレッシャーに晒される事となり。
膨らむ栃木の反則により、43分に左からのFKのチャンスとなる藤枝。
キッカー横山はゴールへ向かうクロスを入れ、ファーサイドで渡邉が走り込むという二択をここでも掛けにいきましたが、GK藤田がパンチングで掻き出し。
攻めの形は悪くないものの、それを上回るGK藤田の冷静な立ち回りもありゴールに辿り着けません。
アディショナルタイムに工藤ロングパス→渡邉収める→矢村エリア内からシュートという攻撃も藤田にキャッチされ。
万策尽きたという感じで、山田将を前線に上げるパワープレイ体制へと移行します。
(栃木は44分に山田雄→高萩へと交代)
何としても同点を目指すという姿勢のなか、ロングパスをその山田将がフリックし、拾った水野のクロスがクリアされたのち敵陣でパスワークを展開する藤枝。
左サイドからの榎本のクロスもクリアされ、左CKを得たものの既に残り時間は少なく。
しかしキッカー横山が上げたファーサイドへのクロスを、山田将が頭一つ抜け出して合わせヘディングシュート。
これでゴールネットを揺らし、得点どころかGK藤田をセービングで飛ばせたのもこの日初めてというシュートで、ようやくその堅い壁を破って追い付きます。
その後渡邉が福森とヒートアップした末に警告を貰うというシーンが描かれたのち、そのまま1-1で試合終了を迎え。
藤枝にとっては勝ち点3は得られなかったものの、冒頭で記した「勝利か無得点か」という流れは最後の最後に脱する形となりました。
シーズン前に挙げた「自分達のサッカーが通用しなければそれで終わり」という危惧も、こうした泥臭さを前面に出した末に得た勝ち点で覆せれば……といった所でしょうか。