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DAZN観戦 2023年J2リーグ第21節 レノファ山口FCvsベガルタ仙台

2023-06-20 16:00:42 | サッカー視聴記(2023年J2)

※前回の山口の記事はこちら(18節・水戸戦、1-0)
※前回の仙台の記事はこちら(15節・山形戦、2-1)

<山口スタメン> ※()内は前節のスタメン

  • 新監督にフアン・エスナイデル氏が就任。就労ビザ獲得のためチーム合流は決定からズレ込み、前節(甲府戦、0-4)から指揮を執る。
  • 高橋が前節退場となったため出場停止。
  • 前の負傷が発表され、17節(ヴェルディ戦、0-2)終了後に(恐らく)発生して全治3週間との事で、その通りに今節復帰して即スタメンに。
  • 生駒の負傷が発表され、17節(HTで交代したため試合中か終了後かは不明)に発生して全治5週間との事。
  • 上本が今季初のメンバー入り。
  • 18節に脳震盪の疑いで交代した松橋は以降ベンチ外が続く。

<仙台スタメン>

  • 6/8に庄子春男氏がGMに就任。(長年J1・川崎でフロントを歴任していた人材で、今季3月に退任)
  • 遠藤が負傷離脱から復帰し、18節(千葉戦、2-1)以降毎試合途中出場を続けている。
  • GK林が先週の練習中に小破した(放送席の談)ためベンチ外、小畑が今季初スタメンとなり、松澤が移籍後初のベンチ入り。
  • 19節(ヴェルディ戦、2-0)で負傷交代した真瀬の詳細が発表され、全治8週間との事。

Jリーグファンの大部分に驚きと笑いの要素を提供したと思われる、エスナイデル氏の山口監督就任。
千葉の監督を2019年春に解任されて以降、指導者のキャリアは全く無いという経歴で、そこから4年が経過。
ハイライン・ハイプレスという特異なサッカーも今やそれほど珍しいものでは無く(もちろん、それに全振りなのが彼の特徴ではありますが)、価値観のアップデートの不安要素をどれだけ払拭できるか。
チームに合流してから時間が無いという猶予期間はあるものの、その入りは意外と重要であると個人的には思っています。

ここで触れた(千葉の試合、この時点ではまさか再び就任するとは思ってもいなかった)とおり、結果が出ないとそのスタイルにブレを起こしてしまう千葉時代のエスナイデル氏。
もちろん勝ち点を得るのは大事ですが、リトリートに徹する等その場凌ぎというサッカーをしてしまうのはチームの未来上宜しくない。
自身の理想をいち早く落とし込み、下地を作る事が出来なければ迷走の始まり……といった所でしょうか。

そうして迎えた前節の初戦、序盤からハイプレスは見せたものの結果は0-4の敗戦。
千葉2年目(2018年)の開幕節のように退場者を出してしまい、数的不利となりそこから転落の一途という試合になりました。
そのため出場停止となった高橋に代わり、前を入れ替えたのみで今度こそ……というこの試合。

早速仙台のボール保持に対し、ボランチの矢島が最前線まで上がるなどハイプレスの姿勢に偽り無い光景を見せる山口。
噂に違わずという絵図でしたが、実際に相対した仙台のメンバーの面食らいは想像以上のようで。
前半6分にはビルドアップの中、サイドに出されたボールを小出が空振りして繋げられずと、半端無いプレッシャーに晒されているようでした。

奪った際はそのままショートカウンター、というのが理想ですが、そうならなかった場合はボール保持の出番。
2センターバック+アンカー(神垣)の姿勢から、右サイドバックの前が中央に絞るという最終ラインの形を取り。
その中での繋ぎから、裏へロングボールを送る事を主な狙いとしていたこの日の山口。
単純な攻撃に他ならなかったものの、仙台サイドが見の意識が強くなっていたのか、その効果は絶大となりましたがそれは後述。

ゲームの支配に成功した山口が押し込む展開となった前半。
10分にこの日初のコーナーキック(右)を得ると、キッカー吉岡はグラウンダーでポケットへと送り、沼田のポストプレイを挟んで前がミドルシュート(ゴール上へ外れる)とサインプレーで脅かし。
それに対し序盤は仙台も抵抗し、要所で松下のパスカットが冴え渡り。
その流れで得た左サイドからのフリーキック(14分)で、キッカー中島はクロスを匂わせて直接シュートを放ち、GK関が片手でセーブとこちらも変節によりゴールを襲います。

しかし16分に山口がプレッシングを受けながら地上での前進に成功し、左→中央→右へとサイドを変えてCKに辿り着く攻撃。
これを境に仙台は攻撃機会を得れなくなり、クリアボールを拾われてからの素早い運びや、(大槻の)反則気味でのボール奪取から危機を招くなど劣勢ぶりが一目で解る絵図を招いてしまい。

そして23分の山口の自陣右からのスローイン、大槻の収めから吉岡に繋がれて逆サイドへ展開。
そして左サイドを沼田が前進したのちエリア内へアーリークロスを送り、ファーサイドでフリーで収めた矢島がシュート。
これが右足アウトサイドで放たれてゴール左に突き刺す技ありものでしたが、素早いサイドの移しに仙台の対応の遅れが顕著といった得点となりました。

直後の24分にも、同じく自陣でのスローインから大槻の左→右へのサイドチェンジで好機を生み出す山口。
そして右CKを得て、キッカー矢島のニアへのクロスを松本がヘディングシュート(GK小畑セーブ)と、果敢に追加点を狙いにいき。

仙台は反撃に出るものの、山口の新スタイルの牙に晒された影響か今一つな流れに。
26分には山口と同じくスローインから逆サイドに展開という流れとなったものの、左ハーフレーンで受けた内田は前方にスペースがあったにも拘らずすぐさま氣田へとパス。
持ち運ばないという積極性が欠けているような姿勢を見せてしまい。(徳島時代の内田ならば確実にドリブルを選んでいただろう)

そんな内田を余所に、27分に中島がエリア内で反転シュート(ヘナンがブロック)、30分にはCKからクロスの跳ね返りを松下がミドルシュート(ブロック)と攻め立てる仙台。
34分に山口のプレッシングをビルドアップで剥がし、縦パスを中山が倒されながらポストプレイで繋いだのが決め手となり前進に成功。
氣田が左からカットインを経てミドルシュート(前がブロック)とフィニッシュを放っていきましたが、山口のプレッシャーに打ち勝たんとする姿勢はここまでとなります。

その後はリードを最大限利用し、最終ラインでボールを落ち着ける山口。
仙台はプレッシングを掛けるもののそれがどうにも緩く、裏へのロングパスが繋がるシーンが頻発。
連動性を意識していたっぽいですが、タイミングを計る分プレスが遅れ(山口のバックパスのタイミングで第1プレス、横パスで第2プレスという感じ)、蹴り出す余裕を与えてしまっていました。
エスナイデル氏という未知の脅威の影響か、ここでも積極性の欠如が露わになる仙台。

そんな流れで、山口優勢の流れを断ち切れないまま推移。
アディショナルタイムに、再び中山のポストプレイが松本に倒されて反則、そこから素早くリスタートさせて好機を作る仙台。
氣田のクロスはクリアされるもエヴェルトンが拾って継続するも、戻しを経ての内田の縦パスが通らずに終了となり。
結局山口リードのまま前半を終えます。

ハーフタイムで、状況を変えるべく中山→ホヨンジュンへと交代した仙台。
そんなベンチワークを経て後半開始の賽が振られましたが、ロングボールの蹴り合いを経てゴールへの道筋を掴んだのはまたも山口。
押し込んで左CKを得たのが後半4分で、クロスの跳ね返りをエリア内で拾った前がミドルシュート。
松下がブロックするも尚も右CKと、流れはまだ掴んだままという状況で、再び前半のと全く同じサインプレーを選択しますが沼田のポストプレイが阻まれて実らず。

積極性を見せたい仙台は、5分にホヨンジュンがGKまで素早く詰めにいく、ロングボールを「蹴らせる」プレッシングをようやく敢行。
これで対抗姿勢を取る事に成功したか、以降山口の攻撃の際でのパスミスを素早く繋ぐ事で、その前向きなベクトルの逆を突きに掛かります。
8分にはその通りにパスの乱れを菅田がダイレクトでの縦パスで素早く前線へ。
中島が収めた事で敵陣でパスワークを展開し、松下の縦パスに入れ替わった中島がシュートしましたが惜しくもゴール左へと外れ。

その後山口も11分に神垣がミドルシュート(エリア内で若狭がブロック)と応戦。
どちらともいえない流れの中、12分に松本がホヨンジュンとの接触で頭部を痛めてしまうという事態が発生します。
倒れ込んだ時間は約2分と長くなり、脳震盪チェックののちピッチ外→復帰と、何とか大事にならず。
その松本は20分、山口の攻撃が途切れた所を前方に出てのパスカットで継続すると、地上にこぼれたボールを倒れながらのヘディングで繋がんとする(ホヨンジュンに倒されたため反則)というレアなシーンも作り。

勝負を分けたのは交代カードだったでしょうか。
19分に山口は2枚替えし、吉岡・大槻→野寄・五十嵐。(五十嵐がトップ下に入り、河野がFWへシフト)
すると20分に仙台も中島→遠藤に交代。
仙台の方は(遠藤の存在感もあり)勝負手の色が強いカードでしたが、山口は前線の運動量の確保という要素が強く。

そんなベンチの思惑の通り、早めに追い付きたい仙台。
22分に山口のロングボールを跳ね返し、「山口のベクトルの逆を突く」攻撃の下地を作り上げて氣田がスルーパスをホヨンジュンに通し。
左ポケットに進入したホヨンジュン、切り返しでヘナンのブロックを剥がし、満を持してのシュートを放ちましたがゴール右へと外れ。
この状況での決定機逸は、結果的に非常に痛かった。

23分に矢島→池上へ交代と、再度動いた山口ベンチ。
すると24分、ここも自陣でのスローインからの攻撃で、大槻の収めからサイドを移して前進という先制点と同様の流れを作り。
右サイドを前進していき、前のパスを奥で受けた池上がラストパスを送ると、走り込んで受けた野寄が右ポケット奥からシュート。
正対するGK小畑の股を抜いてネットを揺らし、歓喜のJリーグ初ゴールに辿り着いた野寄。
ベンチが何処まで意図したかは不明なものの、投入された選手が結果を出しての追加点となりました。

勝負を賭けたものの、苦しい状況に追い込まれる事となった仙台。
直後にビルドアップの形を変え、それまで採ってきた内田が上がらずの3枚という最終ラインを改め。
両SBを前線に押し上げる形を取ると、26分にその内田が、右サイドで上がったホヨンジュンのクロスからヘディングシュートを放ち。
惜しくもゴール上へ外れと、これまで皆無だった積極性を見せた内田。

しかしこの形で反撃に入るかと思われましたが、すぐさま内田は元通り上がらずの体勢に。
そして31分に再度交代カードが切られ、松下・氣田→フォギーニョ・山田へと2枚替え。
するとフォギーニョはボランチには入らず左サイドに回り、山田がFWに入ってダイヤモンド型4-4-2という布陣変更が採られます。(トップ下は遠藤)

これが効果的になったかどうかは不透明であり、フォギーニョがサイドを推進するシーンが目立ったものの、逆に内田の攻撃参加の姿勢は影も形も無くなり。
文字通り攻撃の中心となった遠藤も、その後はパスのズレが目立ち有効打に繋げられません。(41分に若狭→蜂須賀へと交代、小出がCBに回る)

そんなやや迷走気味の相手を尻目に、エスナイデル氏らしくもなく危なげない逃げ切り体制に入る山口。
43分に河野・田中→梅木・上本へと2枚替えし、前が右CB・上本が右ウイングバックへと入る3-4-2-1つまり5バックのシステムへ。

突入したATでは、ボール確保して右コーナーでキープを続けるという、2点リードもあり至福の時間に。
今季はウノゼロ以外での勝利が皆無と、こうしてゆとりのある終盤戦に入れたのは何時以来の事か。
そして試合終了の時を迎え、ホームでは開幕節以来の勝利と、この要素でも久しぶりとなった山口。
エスナイデル氏の初勝利が、文字通り今後の上昇機運を生み出す切欠となり得るでしょうか。

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