※前回の町田の記事はこちら(18節・徳島戦、1-2)
※前回の長崎の記事はこちら(17節・大分戦、1-1)
<町田スタメン> ※()内は前節のスタメン
- 水曜の天皇杯2回戦(金沢戦、3-2)からは、安井のみが継続してスタメン。藤原・荒木が途中出場している。
- 佐藤がJ3・YS横浜へ育成型レンタルとなり、前節付で登録抹消。
- 平河・藤尾がU-22代表に選出され、親善試合に帯同のためチームを離脱。
- 育成型レンタルで加入した松井が初のベンチ入り。(と言っても天皇杯2回戦でスタメン出場)
- GKバーンズ・アントンの負傷が発表され、5/30に発生して全治5週間との事。
<長崎スタメン>
- 天皇杯2回戦(甲府戦、0-1)からの継続スタメンは無し、カイオが途中出場している。
- 加藤聖がU-22代表に選出され、(以下略)
- 奥井が今季初のベンチ入り。
- 来季加入が内定したモヨマルコム強志(法政大)が特別指定で18節から登録。
天皇杯2回戦が間に挟まり、マネージメントが問われる事となった今節。
町田・長崎ともにJ2同士の対戦と、精神的にガチになり易いカードを強いられたのならば尚更であり。
そこから町田は10人を入れ替え、長崎は全員入れ替えと、やはり本筋はリーグ戦ならびにこの上位対決。
長崎サイドはヴィヴィくんも町田GIONスタジアムに来訪したとの事で気合十分
気になるのは長崎サイドで、カイオが18節(磐田戦、2-1)で出場停止を強いられたのは周知の通りですが、前節(山口戦、1-1)もベンチ外に留まり。
天皇杯で途中出場したものの、この中心選手が2試合空いてのスタメンとなった事が、戦術面にズレを引き起こした感がありました。
町田の前線からの圧力に負けず、いかにビルドアップを成功させるかがこの日のカギとなる長崎。
しかしいきなりの前半1分、最終ラインからの縦パスが高江にカットされて危機を招き。(パスミスでシュートまではいけず)
プレッシングに屈する姿勢は見せたくない所でしたが、その後は繋ぎ役の鍬先に巧くボールを回してペースを握る長崎。
片側のサイドバックが残って3枚の最終ラインを形成し、鍬先がアンカー的な役どころを務めての「丁の字型」でボールを運ぶ体制。
この日は岡野が欠場したため増山が右SBに入り、その増山が主に上がる役となります。
それに対する町田サイドは、マンマークの意識を強めて対抗し、相手の3枚に対してサイドハーフも前に出て数を合わせにいき。
しかし立ち上がりは、左SHの荒木が最終ラインにまでいってしまう事で、増山へ付く役が居なくなるという場面が何度か見られます。
このプレッシングの調整に時間を費やす事が多い傾向にある、今季の町田の立ち上がり。
それを尻目に、鍬先が長いパスを配給して攻撃を組み立てる長崎ですが、町田は後方のディフェンスも堅いため中々フィニッシュに辿り着けず。
10分には左サイドでのスローインから、米田スルーでハーフレーンへ→加藤大ダイレクトでポケットへスルーパス→走り込んだ米田がポストプレイと変化を付けて好機が生まれかかりますが、あろう事か高橋峻がファウルスローを取られて無効となり。
一方町田の攻撃は、長崎にボール支配をされながらも平常運転。
デューク狙いのロングボールを続けて相手守備にダメージを与えながら、チャンスと見るや「変化」でゴールに迫る立ち回り。
15分に左からのスローインで、受けに入った高江がワントラップでポケットに入り込んでのシュート。
これがGK波多野にセーブされて右コーナーキックを得ると、高江はグラウンダーでエリア手前へのクロスを送り、さらに安井がダイレクトでロビングをエリア内へ入れた末に藤原が折り返しと二重三重にも変化を付け。(シュートには繋がらず)
そんな町田の姿勢に対し、長崎も対抗してしまったのが拙かった感があり。
17分に中盤からのFKで放り込みを選択すると、そこから繋がったスローインでは増山がロングスロー、それも左右双方から敢行する姿勢。
フアンマという絶対的なターゲット&ポストプレイヤーが控えている故に仕方ない傾倒といえましたが、おかげでビルドアップに熟考を凝らす姿勢が何処かに置いていかれたようでありました。
特にフアンマがポストワークの際の町田ディフェンスのチャージにナイーブになり、審判への異議を頻発させていただけに、最終ラインから繋ぐ姿勢を続けて彼の負担を減らすべきに思えました。
20分過ぎぐらいから、町田は今季お馴染みである「立ち上がりから巧くいかないプレッシングの対処策」が顔を出し。
鍬先へのパスコースを切る事を第一として、仮にサイドから回されてもプレスバックを掛け、容易にプレーさせないという単純明快なもの。
しかしボール保持かロングボールかどっちつかずという状態の長崎には、絶大な効果となりました。
イライラが募るフアンマに引き摺られる長崎、22分にはフアンマ・加藤大の2人でプレッシャーを掛けるも、後方が連動せず間延びした所を運ばれて奥山政のクロスにまで繋げられ。
危険な兆候はこの段階で既に出ていたようであり、その後再び町田のセットプレー攻勢。
28分には翁長のロングスローフェイントから、戻しを受けた翁長のクロスをニアサイドで藤原がフリック気味に合わせるヘディングシュート。(枠外)
セットプレーの際は、このニアサイドで合わせる形が圧倒的に多かった町田、これもデュークというターゲットの存在を逆手に取った一種の揺さぶりであり。
そして30分町田が最終ラインから繋ぐ流れとなり、エリキ縦パス→デュークポストプレイで右へと叩かれ、奥山政が奥を突く攻撃。
一旦奪われるもクリアをブロックして繋ぐ奥山政、拾ったエリキが素早くクロスを送ると、戻りながらのボレーで合わせたのはデューク。
ゴールネットに突き刺さり、長崎とは対照的に自分達の時間で得点を挙げました。
リードを奪われた長崎、焦りがフラストレーションに拍車を掛け。
キックオフからヴァウドを前線に上げてそこに放り込むも、そのヴァウドが藤原をチャージしてしまい反則・警告。
そして判定に納得いかずに感情を露わにしたフアンマも異議により警告を受けるという具合に、上位対決に不可欠な冷静さも消失しかねない流れとなります。
その状態を引きずるように、ビルドアップの際は最終ラインでミスを連発してしまい、相手にスローインを与えては翁長のロングスローで脅かされる悪循環に。
40分にロングスローを直接藤原がヘディングシュート(ゴール上へ外れる)というシーンに、決壊は間近な事を窺わせ。
そして43分再び翁長がロングスローを放り込み、藤原がフリックとここも繋がり、クリアが小さくなった所を荒木が右から折り返し。
ニアサイドに入り込んだエリキが足で合わせ、ゴールへのパスというようなシュートが左サイドネットに突き刺さり。
前半のうちに追加点を挙げた町田。
その後長崎はロングボール攻勢で押し込むも、反撃の狼煙は挙げられずに前半が終了。
巻き返しに向け手を打ちたい所でしたが、ハーフタイムでの交代は無し。
微調整で乗り切る選択をしたようですが、それを表す前に町田にペースを握られる後半戦。
GKポープの、デューク狙いのロングフィードからの攻撃に四苦八苦し、押し込まれ続ける事となり反撃どころでは無くなります。
そしてこちらのロングボールは悉くオフサイドを取られてしまい、攻撃機会は全く得れず。
地上から繋ごうとすれば、苦し紛れの縦パスをカットされてショートカウンターと、手詰まり状態を強いられた長崎。
相変わらず、鍬先へのコースが切られたままの状態に対処しようともしないビルドアップ。
もっと言えばこの鍬先アンカーシステムも、相方のボランチであるカイオがフリーダムに前へと上がる事により出来上がる現象であり、こうした状況でもカイオはじめ前目の選手が降りてきて受けに来るシーンは殆ど見られず。
そこに組織力があるかどうかは甚だ不明な状況であり、カイオ不在の試合が続いた弊害でもありました。
そして必然ともいえる3点目に辿り着いたのが13分。
長崎は都倉を含めた3枚替えの準備をしていましたが、投入前に決められて流れを変える事すら叶わず。
ここもGKポープロングフィード→デュークフリックという単純明快な起点で、擦らしたデュークはすかさずエリア内へと走り込み、エリキのグラウンダーのクロスに合わせ。
見事にゴールネットを揺らし、この日2点目を挙げました。
キックオフ前に交代敢行となった長崎。(加藤大・増山・高橋峻→都倉・奥井・笠柳)
2トップへと変え、米田が左SBに・クレイソンが左SHにとポジションチェンジも絡めましたが、町田ペースを変える事は出来ず。
フアンマを前へ張らせて都倉をロングボールに競らせるという状況が増えましたが、都倉のポストワークは数段劣るという印象であり。
「落とす」ポストプレイは出来てもフアンマと異なり「収める」事は出来ないので、両者逆の方が良かったでしょうか。
18分にはフアンマの収めから繋ぎ、都倉がミドルシュートを放つも枠を捉えられず。
そして反撃の手がかりを掴めないまま迎えた19分。
ここでもGKポープがゴールキックをロングフィード、クレイソンのクリアミスを拾った安井がエリア内を突く好機となると、ディフェンスに遭いこぼれた所をさらにヴァウドがクリア出来ず。
こうしてミスが重なった末に、エリキのエリア内でGKと一対一が完成してしまい、波多野を左へとかわして悠々とシュートをゴールに入れるエリキ。
デュークとともにこの日2得点と、大当たりの一日となった町田2トップ。
既に勝利の芽はほぼ無いながらも、何とかしたい長崎。
敵陣でボール保持の際は櫛引も上がってきてパスワークに絡むなど、その思いは痛い程伝わって来ます。
それでも状況は苦しく、24分にはGKポープのフィードによる町田のカウンターを受け、それを(高江に対しての)反則で阻止した鍬先が警告を貰い。
28分にクレイソン→安部へと交代したものの、この時点で町田の交代はゼロ。
ようやく町田ベンチが動いたのが30分で、荒木・安井→沼田・高橋大へと2枚替え。
前回観た際の反省からか、助っ人2トップを残す選択を採りました。(あの時は退場というアクシデントがあったが)
30分を過ぎ、ようやくカイオが最終ラインでの繋ぎに加わったうえで、前線に上がって好機に絡むという流れが生まれ出した長崎。
しかしその反動か反則チャージを受ける場面が増え、倒れ込む絵面が長かったカイオ。
何とか攻撃機会を得れるようになり、迎えた37分の左スローインから、都倉がダイレクトでヒールパスをエリア内へと送り。
これをフアンマが拾いにいった所、クリアにいった沼田の足がフアンマに入ってしまい、反則ならびにPKを告げる笛が鳴り響きます。
絶好の好機となった長崎でしたが、同時に限界と判断したのかカイオが交代となり。(秋野を投入)
ともかくキッカー・フアンマがゴール左へとシュートし、ネットを揺らして1点を返しました。
一方の町田も40分に奥山政・高江に代えてカルロス・グティエレスと松井を投入。(藤原が右SBへシフト)
当然相手を打ち止めにさせるべくのカードで、時間も押し迫った事でこの後2トップ目掛けたロングボール頼みとなる長崎の攻撃。
44分にはその際にフアンマがチャンミンギュのチャージを受けて倒れ込み、顔から出血しながらも激高する痛々しいシーンが生まれてしまい。(その後ピッチ外で治療→復帰)
アディショナルタイムに突入し、冷静さを欠く相手を尻目にボールキープに徹する町田。(ATの最中にデューク→中島へと交代)
ロングボールで最終ラインへと戻すなど、意表を突いたプレーも絡めてのボールの逃がしに、すっかり長崎サイドも意気消沈する事となったでしょうか。
ATでは一度も攻撃機会を得れず、試合終了の時を迎えました。
過去4点を奪っての勝利を連発した長崎でしたが、この日は自身が4点を奪われての敗戦となり。
内容的にも完敗で、建て直しに時間を要する気配も窺わせますが、そのリバウンドメンタリティーはどれ程でしょうか。