※前回の千葉の記事はこちら(29節・岡山戦、1-1)
※前回の町田の記事はこちら(25節・水戸戦、2-3)
<前節からの変更>
千葉=新井一耀・チャンミンギュが外れ(鈴木大輔も再離脱となり)、3バックのレギュラーが誰も居ないという状況に。2人の代わりは佐々木(左センターバック)の他、熊谷アンドリューをスクランブル的にリベロに起用。その他は前節と同様。控えにはスクランブル体制を受けてか、2種登録されたばかりの谷田が入る事に。
町田=中心選手の平戸がベンチ外となり、代わって太田が2試合ぶりのスタメン。その他は前節と同様。
監督という立場にも拘らず、累積警告によるベンチ入り禁止処分を受ける破目となった町田のランコ・ポポヴィッチ監督。
復帰したのちも29節(山形戦、0-1)にまたも警告を受けるなど、その気勢の激しさは止まる所を知らず。
しかし中心的存在の平戸の欠場はショッキングだったようで、試合前インタビューであっさりその事に言及するなど意気消沈気味に見えました。
対する千葉も離脱者続出で、とうとう3バックのレギュラーが不在のなか戦う事態に。(幸い、補強した田邉が定着の兆しを見せていますが)
この日は3試合ぶりに復帰した熊谷が、あろう事か3バックの中央を務めるというどう見ても厳しい状況。
そしてその唯でさえ不安定なラインが、またもトラブルに見舞われる事となります。
そんな苦境の千葉は、1トップのチアゴ・デ・レオンソ狙いのパスでペースを掴まんとする入りに。
前半3分は中盤からの戻しを受けた田邉の縦パスをレオンソがフリック、エリア内へ送ったもののブワニカ啓太には通らず。
一方の町田は5分に敵陣やや深めでボール奪取した翁長が、その勢いのまま千葉・小林のチャージを受けた事で倒れて反則。
これで得た左ハーフレーンからの直接フリーキック、キッカーのヴィニシウス・アラウージョはシュートかクロスか見分け辛いボールを入れ、手前に入ったドゥドゥがフリック気味に合わせにいく際どいシーンを作ります。(ドゥドゥは触れず、GK新井章太がキャッチ)
その直後には逆に千葉が反則を受けたり(7分)、12分には町田・翁長が千葉・末吉に足を踏まれて痛む(反則は無し)など、ラフなプレーで試合が途切れがちとなり。
お互い流れを作り辛い展開を強いられましたが、影響を受けていたのは千葉の方でしょうか。
町田のビルドアップに対し規制を殆ど掛けられず、自陣に入る辺りでようやくプレスを掛けるという体勢だったものの、町田サイドはヴィニシウスのポストプレイを絡めながら悠々敵陣でパスを繋ぎ。
そして迎えた18分、ここも太田のダイレクトの縦パスをヴィニシウスがポストプレイ、戻されたボールを再度太田がダイレクトでパス。
受けたドゥドゥが抜け出し、そのままエリア手前からシュートを放ってゴールネットを揺らし。
ヴィニシウスというポストワーカーの存在で、ドゥドゥの裏抜け能力が如何無く発揮されての先制点となりました。
その後そのドゥドゥが、千葉・福満のチャージを受けて激しく倒れ込んだのが21分。
傍らから見てもダメージは深そうでしたが、何とか無事立ち上がったドゥドゥ。
しかしブレイクが長くなった事で、同時に飲水タイムが挟まれます。
明けて暫く経ち、今度は千葉サイドをアクシデントが襲い。
27分に熊谷が足を痛めてしまい続行不能と、代役を務めた選手が離脱するという追い撃ちを掛けられ。
結局西久保が投入され、田邉が中央を務める事となった3バック。(西久保が右・佐々木が左)
依然として流れを作り辛い状況で、ビハインドの千葉は長いパス中心に何とか組み立てんとし。
ブワニカをターゲットとしたロングボールは、町田・深津のマンマーク気味のチェックにより機能せず。
しかしレオンソへのパスや、サイドへ裏狙いのパスも絡めながら押し込み、コーナーキックを数多得て同点を狙いにいきます。
終盤を迎え、43分には田口を中心としたパスワークで右サイドから攻め、エリア内で受けた風間がディフェンスに遭いこぼれた所を田口が反応してシュート。
これがブロックされて右CKとなると、試合絵図をより困難なものとするシーンの発端となり。
キッカー田口がクロスを上げるもクリアされたのを余所に町田選手が1人倒れますが(笛は鳴らず)、その脇で町田・高橋祥平が千葉・佐々木と言い合いの末に押し倒し。
その報復のような行為がカメラに映っているのを余所に尚も千葉の攻撃は続けられ、田口の再びのクロスを西久保が合わせ、枠外となった所で混乱の収束に追われる事となります。
いかにも「ラフプレーを生き甲斐とするような選手」(最近は絶滅危惧種っぽい)という属性持ちの高橋祥らしいシーンでしたが、結局カードの類は出なかったばかりか、町田選手が倒れた事に拠る千葉の反則とされる判定で落ち着き。
これに紛糾する尹晶煥(ユンジョンファン)監督はじめ千葉サイド、といったのが前半最大のハイライトとなったでしょうか。
その後突入したアディショナルタイム、ドゥドゥの抜け出しを千葉・西久保が反則で止めた(警告)事によるFKで、ヴィニシウスの直接シュートはゴール上へと外れ。
しかしスタジアムの雰囲気は(千葉のホームという事もあり)最悪に近いものとなり、そのまま前半を終える事となりました。
当然の事ながら、ハーフタイムの尹監督の指示(のちの放送席の談)に「落ち着いてプレーする事」というものが加えられる事となり。
試合をひっくり返すためにも、その精神が問われる事となった千葉。
その効果か中盤の底を固める田口が躍動し、それを止めようとしてチャージ・反則を取られてしまう町田、といった立ち上がりの絵図となり。
そして迎えた後半5分、右サイドからのFKを(反則を受けた)田口が蹴り、エリア内中央へのロビングを西久保が合わせにいくもそのままファーへ流れ。
エリア内左で拾ったのは末吉で、そのままシュートを放つと、ボールはブロックに入った町田・深津の左腕に当たった事で主審の笛が鳴り響き。
深津の左腕は閉じていたものの、逆の右腕が開いていた事により印象悪く映ってしまったのか、それとも度重なる町田の反則に拠る印象の悪さか。
ともかくハンドとなりPKを獲得した千葉、キッカー・レオンソは上部へシュートを放ち、ゴールバーに当たったものの内側に入って無事ゴール。
早い段階で同点に追い付いた千葉。
その後は乱戦模様の試合らしく、途中出場の西久保によりロングスローを絡めながら相手を脅かしていく千葉。
9分にはそのロングスローから町田がカウンターに持ち込みますが、高江のドリブルを遅らせた末に太田へのパスをカットして防いだ千葉が逆カウンター。
クリアされたボールをレオンソ・ブワニカのツインタワーが浮き球で繋いでいき、最後はブワニカのシュートがブロックされてCKと、運気は千葉に傾いているように映りました。
攻撃を受け続け、敵陣で千葉サイドのパスのズレに助けられるなど、リードを失った事でリズムも悪くなった町田。
交代カードを切る必要性に迫られるなか、18分には太田が千葉・佐々木のチャージを受けて倒れ込む事態となり。
しかし折りしもその太田との交代準備が既に進められており、さらに太田は股間を蹴られての悶絶?という形であったため、千葉サイドとは違って傷は残さずとなりました。
投入されたのは鄭大世(チョンテセ)で、彼が頂点に入る事によりヴィニシウスが右シャドーへと降り。
直後の20分にドゥドゥの左サイドへの裏抜けから、エリア内へのパスを受けた鄭がシュート(ブロック)と、一つ形を作ります。
その後も千葉・末吉の顔面に、町田・奥山の蹴り出したボールがクリーンヒットしてしまい倒れる(21分)など、選手の痛むシーンの頻発で途切れがちな試合の流れ。
そんな中、23分の町田は最終ラインからのビルドアップの最中に、深津が足を痛めてしまうというアクシデントに襲われます。
それでも上記の状況故に試合を切らせる訳にはいかないという思いからか、倒れずにプレーを続けた深津。
その後千葉の反撃によりディフェンスにも入るという痛々しいシーンが見られたのち、右サイドからのヴィニシウスのクロスがクリアされCKとなった事で、ようやく交代の措置が採られました。
投入されたのは前年千葉に在籍していた岡野。
その後のCKからの攻撃が途切れた所で遅めの飲水タイム(26分)となり、千葉サイドもそれが明ける際にレオンソ・風間→櫻川ソロモン・見木へと2枚替え。
投入された櫻川が左サイド奥で攻撃に絡みますが、目立ったのはラインアウトによる判定への不満というシーンを頻発させてしまった櫻川。
HTでの監督の指示が忘れられたかのような振る舞いであり、これで運気が逃げてしまった節がありました。
32分に翁長がラフに裏へロングパスを送ると、千葉・佐々木のクリアミスでエリア内右で鄭がシュート体勢という絶好機を得た町田。
放たれたシュートはゴール左へ外れモノに出来ずも、以降潮目が変わり攻勢に入ります。
右CBが岡野へと代わった事で、攻撃参加意識の強い彼により、ミシャ式でのビルドアップへと傾倒していく町田。
疲労度が目立ってくる時間帯に来て推進力が増された事で、千葉は一気に劣勢を強いられます。
39分に再度2枚替えを敢行(福満・末吉→米倉・秋山)してもそれを押し止める事は出来ず。
そして40分、左に開いた高橋からの攻撃で、ミドルパスが選択されてそれを収めた鄭。
エリア内へ向けたパスがディフェンスに当たりこぼれるも、ドゥドゥへの絶妙なパスとなり、そのままカットインを仕掛けにいくドゥドゥ。
たまらず後ろから千葉・西久保が足を掛けてしまい、ドゥドゥが倒れて主審の笛が鳴り響き反則・PKに。(まだ中央に佐々木が残っていたためこの西久保の対応は疑問)
これをドゥドゥ自らが蹴りにいき、細かな助走から見事にGK新井章の逆を突いて左へとシュート。
この日2点目は胸すく勝ち越しゴールとなりました。
残り少ない時間で点を取る必要性が生まれてしまった千葉。
この日再三敢行されたセットプレー攻勢へ縋る事となり、町田のチャージも止む事は無かったためそれはスムーズに持ち込まれ。
しかし得点源の新井一やチャンミンギュ不在がこちらの方面で響く格好となり、そこから得点どころかフィニッシュすら放つ事は出来ません。
そのままATに突入すると、結局は西久保のロングスローを両サイドで使う事態となり。
しかし最後まで町田ゴールを脅かす事は出来ず、試合終了の笛が鳴り響き。
この試合に勝利して町田と順位を入れ替えるという目論見は、こうしてはかなく終わりました。