※前回の山口の記事はこちら(30節・山形戦、0-1)
※前回の水戸の記事はこちら(29節・大宮戦、1-0)
<前節からの変更>
山口=2人を変更し、そのうちの1人が出場停止明けの田中で、高井と入れ替わり左シャドーに。もう1人が右ウイングバックで兒玉→吉岡。前節登録即スタメンとなった前はこの日もボランチで出場。サブには池上が復帰し、24節(秋田戦)以来のメンバー入りとなる。
水戸=中2日で順延試合(28節・大分戦)を控える立場で、前節退場で出場停止の鈴木を含めて変更は3人。その鈴木の代役は山田奈央が選択され、その他は左サイドバックが大崎→タビナス・ジェファーソン、FWが木下→土肥。(そのためフォーメーションも4-4-2→4-2-3-1にシフトか)新戦力組は、横浜FCから加入の安永がベンチ入り、一方の鵜木はまだベンチ外。
未勝利が7試合まで伸びてしまった山口。
しかし救いは「内容は良いが勝てない」頃の流れに戻りつつある事で、前節(岡山戦・2-3)は勝利まで後一歩という試合内容を上位相手に繰り広げ。
高井・前の新戦力(といっても両者とも出戻りですが)が加わる一方で、システム変更が一定の効果を上げているようであり、そろそろ自信を確信に変える結果が欲しい所でしょうか。
水戸は、順延試合を2つも抱えている状態。
今夏も選手の入れ替わりがあったものの、例年に比べて大人しいのは苦しいチーム状況故か、ないしはもはや送り出せる資源が枯渇気味になってしまっているのか。
しかしこの日の相手は、高井が完全移籍したという因縁のある山口。
そんなカード故か、いきなりの前半1分に山口の1トップ・梅木が、水戸・山田奈のチャージを受けて頭部を痛める入りとなってしまい。
幸いプレー続行となり、4分には菊地の裏へのロングパスを受けた梅木、そのままエリア内を突いてシュート(枠外)とファーストシュートを放ち。
エースの気丈な動きで好循環を得たでしょうか。
迎えた6分、水戸の攻撃を渡部のパスカットで切り前進するなか、ゲーゲンプレスを受けるもこぼれ球を拾った田中がそのまま自陣からシュート。
大胆ともいえるロングシュートでしたが、水戸の前からいく姿勢がGK山口瑠伊をも前目の位置取りにさせており、必死で戻る彼の頭上を越えたボールは見事にゴールマウスを捉え。
鮮やかな長距離のシュートを決め、先制点を挙げます。
その間に、チャージを受けてボールをこぼされた佐藤謙介が倒れ込む事態となるも、無事に起き上がりプレー続行。
しかし9分には再び梅木が水戸・山田奈のチャージを受け、頭部を抑え倒れ込んでしまい。
今度はダメージも大きかったようで、脳震盪チェックの末に何とか無事が確認され、ピッチ外へ→復帰という流れとなります。
そんな痛々しいシーンの連続に、水戸のプレスを受けて苦戦……という今後の展開が予想されたものの、以降プレスで相手を悩ませたのは山口の方でした。
12分に敵陣中央エリア手前で沼田がボールカットし、切り返しからシュート。(ブロックに当たりゴール左へ逸れる)
ショートカウンターでゴールを脅かしたのを機に、水戸にペースを与えずに攻撃権を独占する流れとなります。
前回観た時(4バックか5バックかが曖昧な時間帯が目立った)と比べ、守備では5-4-1ないしは5-2-3の布陣を作りつつのプレスがハッキリと形になっており。
スペースを与えず、ビルドアップを許さない姿勢がしっかり構築されていたという印象で、こうなると水戸の苦戦は必至な状況でした。
ロングボールで前進を図っても、収めようとした梅田がハンドを取られるなど実る事は少なく。
逆に水戸の前掛かりな姿勢を突くように、攻撃では裏狙いのロングパスが繋がり。
24分には菊地のロングパスが右サイドの吉岡に渡っての好機、一度はクロスがクリアされるも、拾った前が再びクロス。
ニアサイドで合わせた梅木がヘディングシュート(GK山口瑠セーブ)と、追加点を狙う流れが出来つつありました。
飲水タイムが挟まれ(24分)、何とか流れを変えたい水戸。
山口と同様にプレッシングをひっくり返すべくのロングパスを通さんとするも、抜け出した梅田がオフサイドを取られるなど苦戦は続き。
37分には前田のミドルパスに抜け出した梅田、ダイレクトで中央へ横パスを送ったものの、走り込む椿には渡らずクリアされ。
39分に高岸がミドルシュートを放つ(ブロック)まで、シュートゼロの時間が続く事となりました。
水戸が徐々に攻撃を仕掛けるも、山口の優勢は明らかなままで前半も終盤を迎え。
しかしここで流れを変えかねないアクシデントが発生します。
44分の水戸の攻撃、前田のパス出しを防ぎにいった山口・前でしたが、スライディングでブロックするも勢い余って足裏で前田の脛を削ってしまう事態となります。
たまらず主審の笛が鳴り響き、突き出される赤いカード。
危険なプレーという判定で一発退場の判定を受けてしまった前、以降山口は10人での戦いを余儀なくされました。
そのフリーキックからの二次攻撃で、エリア内左でロングボールを収めたタビナスが、カットインからシュート。
ブロックに当たりゴール右へ逸れるも、水戸の大攻勢を予感させるシーンを作り。
山口は以降も5バックでの守備を変えず(5-3-1の布陣)という姿勢が見えた所で、前半を終えます。
数的優位を活かしたい水戸、後半は立ち上がりから攻め上がり。
しかし後半2分に、ロングパスを収めにいった梅田が再びハンドを取られると、その場から中々動かなかった事で山口・渡部に後ろから押されてしまい。
これでややヒートアップとなったものの、梅田が倒された反動で山口・佐藤謙がそれに引っ掛かって倒れる珍妙なシーンも副次的に生まれた事で乱闘にまでは発展せず終わります。
それでも攻勢を作りたい水戸にとっては、リズム悪く時間を進めてしまった事に変わり無く。
その後山口がCK攻勢の流れに入った事で、水戸の焦りを呼んだでしょうか。
全員敵陣に入っての攻撃を見せるも、しっかり守備体系を取る山口に対して崩しの部分で難儀する水戸。
12分に流れを変えるべく3枚替えを敢行。
山田奈・タビナス・土肥→新里・安永・木下へと交代、最終ラインを2人代えた事で、高岸がセンターバックへ・椿が左SBへ降りるというまさに攻撃のための布陣となります。
そんな秋葉忠宏監督の必死な采配も実らず、その後山口は今度は左サイドからのスローイン攻勢で、ロングスローを交えながら好機を作り時計を進めていきます。
中盤の構成は、安永がボランチ・新里が右サイドハーフとなり、曽根田が右SH→左SHへシフトした水戸。
曽根田・椿というアタッカー2人が揃った左サイドを軸にして攻め上がりますが、山口サイドも決して彼らにスペースを与えず。
奥まで進入してのクロスも、付いていかれた末にブロックに阻まれる等、ストロングポイントが活きずにシュートまで繋げられません。
そんなリードを守る体制を貫く山口も、1トップの梅木が前半に受けた度重なるダメージの影響か、20分に倒れ込んでしまい続行不可能に。
すかさず交代措置が採られ、担架で運ばれたのちに岸田が投入される事となりました。
24分に飲水タイムが挟まれ、水戸は再度交代カードを切り。
黒石・椿→後藤田・大崎と今度はサイドバックを一遍に入れ替えと、大胆な策を続けます。
しかしこれで交代枠は早くも5枚全て使い切り。
出場停止で不在の鈴木よろしく、CBにシフトした後は敵陣での舵取り役を務める高岸。
中央を固める山口に対しサイドへとボールを振り、そこからクロスか一旦戻してエリア内を突くパスを入れるかという択を迫るも、肝心のフィニッシュには中々辿り着けない水戸の攻撃。
29分にはスローインからの攻撃で、中央での高岸の縦パスから細かく繋いだ末に、梅田が反転しながらシュートを放つもゴール上へと外れ。
山口はこの際に菊地が足を攣らせてしまった(痛めた?)のを契機に、こちらも一気に3枚替えという手段を採り。
菊地・吉岡・沼田→生駒・高木・高井へと交代します。
古巣対決、かつ水戸在籍時は山口相手にゴールも決めている(11節)という因縁を残した高井がピッチに登場。
しかし既に守り切れば良い状況故に、華麗に躍動して劇的なゴールを……という展開を描く事は無く。
それでもそんな攻めっ気からか、暫くして岸田とポジションを入れ替わり最前線でチェイシングする役割を担います。
決定機が欲しい水戸は35分、敵陣で梅田がボール奪取してドリブルで運んだのち、山口サイドが戻り切らないうちに左から大崎のクロスがファーサイドに入り。
これを走り込んだ新里が合わせボレーシュート、しかしGK寺門のセーブに阻まれ同点ならず。
ブロックを作られては得点どころかシュートも望み薄なので、この場面のような形が欲しい所。
40分には再びカウンター気味の好機、曽根田のスルーパスを左サイドで大崎が受けてドリブルに入り。
しかし戻ってきた山口・高木に奪われてしまい実りません。
結局確率の低い、山口の守備の崩しを強いられる事となる水戸。
数的不利を突いての、サイドのエリア角付近まで運ぶ事は容易ながらも、そこからどう崩すかという答えは最後まで出す事が出来ず。
山口のスローインやゴールキックでの時間を使う姿勢にも悩まされつつ、最後の攻勢を掛けたいAT。(その最中に山口は田中→山瀬へと交代)
もはや頼みはセットプレーといった感じで、左サイドのスローインから大崎がクロス、ファーサイドで梅田が折り返したボールをエリア内左で前田が拾い。
そして再度クロスという執拗なボールの交差を見せ、コーナーキックに繋げ。
そこから楠本がヘディングシュートを放つも、右サイドネット外側に留まるなどやはりモノに出来ず。
水戸の攻勢を凌ぎ切り、1-0で試合終了の時を迎えた山口。
実に8試合ぶりの勝利と、ようやくトンネルを抜け出したホームでの試合となりました。