ぶらりドリブルの旅

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DAZN観戦 2022年J2リーグ第33節 いわてグルージャ盛岡vsアルビレックス新潟

2022-08-30 18:28:39 | サッカー視聴記(2022年J2)

※前回の岩手の記事はこちら(26節・長崎戦、2-2)
※前回の新潟の記事はこちら(27節・金沢戦、0-3)

<前節からの変更>

岩手=4人変更となり、最終ラインの3バックは甲斐→田平で、牟田が中央を務めて右が深川・左が田平と配置変更。ボランチの片割れが弓削→小松・シャドーは増田・オタボー→奥山・チャンヒョンスと2人とも代える。尚、サスペンド明けのはずのブレンネルはこの日もベンチ外。

新潟=5人変更と半数近くを占める。センターバックの一角が千葉→田上、ドイスボランチが星・高→島田・秋山とセンターラインを大幅変更。後の2人はサイドハーフで、右がシマブク・カズヨシ→松田、左が小見→伊藤。岩手と異なり外れたメンバーはいずれもベンチに留まるという、2人でワンセットというターンオーバー方針はしっかりしている風である。

スタメン

残留争いの渦中にあっても、その戦い方を変える事はままならないという状況の岩手。
自分達の戦い、それも決して奥深いとは言えない戦法を貫き、何とか勝ち点を得れば……。
そんな思惑もシーズンも佳境に入り、再び順位は降格圏に入った事もありいよいよ手詰まりとなってきた感でしょうか。

強豪・新潟を相手に迎え、最後の勝利となっている横浜FC戦(29節・3-0)と同様に上位クラブを潰せるかどうか。
しかしこの日はサッカーのクオリティで上回る相手に「どうやって渡り合うか」という問いを常時押し付けられているようであり、とてもそんな余裕は感じられませんでした。

新潟の最終ラインから繋ぐビルドアップに対し、果敢に相手GKまでプレッシングにいくという、何としても結果が欲しい下位クラブらしい振る舞いを立ち上がりから見せる岩手。
前半4分にはGK小島に対して詰めにいったモレラトが、勢い余って小島の足を刈ってしまうシーンも作られます。(当然反則)
そのテンションの高さを受け、流石の新潟もロングボールの割合を多めにするという、らしくない対処法を取らざるを得なくなり。

しかし7分に新潟は右サイドバックの藤原がドリブルで持ち上がると、岩手は彼をケアする事が出来ず悠々アタッキングサード付近まで接近を許し。(その後松田へのパスがオフサイドで切れる)
ドリブルへの対処が曖昧といった弱点が見られ、その後新潟はCBのドリブルを絡めて相手を押し込むシーンが目立つ事となります。
また8分には、GK小島が降りてきた高木への縦パスでプレスを脱すると、高木についていったのは中央CBの牟田。(その後受けた高木が裏へロングパスを送るも繋がらず)
人に喰いつく癖の強い岩手ディフェンスですが、リベロの選手がここまで付いてくるのはいくら何でも……と、これも弱点を曝け出すようなシーンであり。

守備重視の戦いながらも、上記の性質故に何処か危なっかしいといった岩手。
当然新潟は決定機も多く作り、10分に再び藤原がドリブルで持ち上がり、岩手・田平を剥がしエリア内右へ進入してクロス。
逆サイドへ流れるも拾った堀米が左から再度クロスを低い弾道で入れ、GK野澤大志ブランドンがパンチングで掻き出したボールを島田がダイレクトでシュート、しかし牟田がエリア内で頭部でブロックして何とか防ぎます。
12分にはロングパスの処理を岩手がクリアミス、拾った高木のエリア内へのラストパスに走り込んだ伊藤がシュートし、これもGK野澤がセーブと際どい防ぎ方。

そんな中16分にはロングパスに抜け出そうとした新潟・谷口が、岩手・田平の後追いのチャージを受けて反則、田平に警告が突き出され。
その後も相手の裏抜けを反則で止めるシーンが見られた田平、秋田豊監督も危ういと判断したでしょうか。
26分という早い時間で断を下し、田平→甲斐へと交代します。(甲斐が右CBに入り、深川が左CBへシフト)
非情とも取れる采配ですが、このままだと退場も覚悟しなければならない状態だったため止むを得なかったでしょう。
しかしその直後の27分、エアバトルで宮市が新潟・伊藤に対し強く頭部にぶつかった事で反則、宮市も警告を貰う事態に。

立ち上がりはハイテンションだった岩手のプレッシングも、時間が進んだ事で省エネを余儀なくされて鳴りを潜め。
新潟を脅かしていたとはいえ、その内容はモレラトや奥山の2度追いに依存したものであり、個々の頑張りに頼っていてはスタミナの浪費も馬鹿にならないといった感じでしょうか。
24分の新潟のビルドアップ、ボランチの秋山が降りて3枚の最終ラインで作る中、一列前に運んだ所で秋山が上がり。
この2枚へ切り替わる瞬間にすかさずボールホルダーを囲むようにプレスを掛けた岩手、たまらず新潟はGK小島まで戻して逃れるというシーンがありましたが、こうした相手の隙を見逃さない追い方がもう少し欲しかった所。

その後も新潟は多彩な攻撃から、伊藤が何度もシュートを放つなどゴールを脅かされる岩手。
中々攻撃機会を得れない状況を強いられましたが、37分に縦パスを受けたチャンヒョンスがすかさずスルーパス、走り込んだ奥山が新潟・藤原の反則を受けて直接フリーキックに。
映像では逆に藤原がチャンヒョンスに倒されていたようでしたが、運も味方につけて好機を得た岩手、キッカーは深川。
左ハーフレーン・エリアからすぐ手前という位置から直接シュートを放った深川、ボールは左ゴールポスト外側を掠める惜しいシーンを描きます。

こうした数少ないチャンスで、しっかりとフィニッシュに繋げたい岩手。
41分にはカウンターの好機が到来するも、ドリブルで敵陣チャンスエリアまで運んだモレラトはパスの出し所に困りスピードダウン、結局フィニッシュに繋げられず。
逆に43分の新潟の攻撃、エリア内右へのミドルパスで裏抜けを狙い、GK野澤はそれをキャッチにいくも弾いてしまい危機に。
こぼれ球を松田がシュートするもジャストミート出来ず、しかし野澤がセーブしたボールを尚も繋ぎ、長いパスワークを経て伊藤のエリア手前中央からのシュートで締めるも枠外に。
攻守ともに判断の誤りが怖い、といった展開を終盤に描いた岩手でしたが、前半はスコアレスで終えました。

順位通り、実力差が激しいといったサッカーがピッチ上に描かれましたが、岩手にとっては0-0のままで終えた事でワンチャンスを得た感じであり。
そして後半の早い時間に、勝利への一糸が訪れる事となります。

後半3分、新潟は最終ラインからのパスワークで敵陣アタッキングサード付近まで運ぶも、伊藤がスリップ(この日は雨天の天候)した事で谷口へのパスが繋がらず。
拙いボールロストを生んだその刹那岩手がカウンターを仕掛け、拾った小松のスルーパスが右サイドで奥山に渡り、そのまま一気にエリア内へ切り込む奥山。
新潟は田上が必死に並走したものの、仕掛けたアタックが奥山を倒してしまうと、反則を告げる笛が鳴り響き。
PKという絶好のチャンスを得る事となりました。(田上に警告)

これで先制し、勝利への道筋が出来上がればまさに窮鼠猫を噛むといった試合展開。
しかしキッカーを務めたモレラトはゴール右へのシュートを選択したものの、コースが甘くGK小島にキャッチされるという結果に終わり。
そうは問屋が卸さずといったPKストップとなってしまいました。

すると直後の5分再び敵陣で展開する新潟、右サイドから藤原中央へ縦パス→谷口ポストプレイ→島田左へパスという速いサイドの揺さぶりから、左ハーフレーン・エリア手前で受けた伊藤がカットインの姿勢からシュート。
ワイドの堀米への更なるパスも選択肢に入る中で放たれたシュートが、巻いてゴール右上へと突き刺さる鮮やかなゴールを生み出し。
岩手にとって悪い流れとなるのは必然と言えましたが、予想以上に早いといった新潟の先制点でした。

とうとう決壊してしまった岩手、直後のキックオフからの攻撃で、モレラトのミドルシュートに繋げ。(枠外)
何とか気を取り直し……という流れを作らんとしましたが、その後肝となるべき前線でのプレスの甘さがどうしても顔を出してしまい。
新潟のボールホルダーに対して2人がいってしまい空きを作り逃げられるなど、前掛かりな姿勢がかえって仇となったようであり。
この辺の組織力がまだ未整理なのか、それとも新潟のサッカーの質の高さで跳ね返されたという事象なのか。

11分に中盤の選手4人(島田・秋山・高木・伊藤)が敵陣でパスを回し続けるなど、これでもかというパスワークで相手を翻弄する新潟。(この後一旦戻したのち再び前進、谷口のシュートまで繋げる)
苦境に立たされる岩手、12分に2枚替えを敢行(モレラト・チャンヒョンス→オタボー・中村充孝)して反撃体制を作ります。

しかしその矢先の16分でした。
何とか左コーナーキックを得た岩手でしたが、クロスの跳ね返りを加々美がダイレクトでの縦パスで再度エリア内へ入れようとしたボールが眼前でカットされ、新潟のカウンターが炸裂。
カットしたのは伊藤でそのまま長距離をドリブルで疾走、そしてエリア手前という位置で絶妙な右への横パスを送ると、走り込んだ高木のシュートがゴール左へ突き刺さり。(ちなみに逆の左に松田が走り込んでいたので、どちらに出されても手詰まりといった状態)
CKからの直接カウンターという、相手にとってショックは甚大であろう追加点を挙げた新潟。

その後の岩手は見るも無残といった展開で、更なる失点こそ無かったものの、反撃ムードを高めるべくのシーンも作れず。
前への姿勢を強めるものの、18分には再び相手GK小島に対する反則を(奥山が)犯してしまい。
24分には岩手のプレッシングを、最終ラインでのパスワークののちGK小島のフィードでいなす新潟。
岩手は新潟・島田に対して牟田が前に出て潰すも、こぼれ球を拾われて継続され、そのまま松田のエリア内のシュートまで繋がれてしまい。(枠外)
プレスを掛ければかわされ、さもなければ延々パスを繋がれるだけ、といった状況に追い込まれます。

29分にも新潟はパスワークで中央突破、秋山のラストパスを受けた谷口がエリア内からシュートし、GK野澤が足でセーブと必死の凌ぎを強いられる岩手。
この時点で新潟のシュート数は20を数える(DAZNのスタッツ、ちなみに岩手は3本)という劣勢ぶりで、最早どうしようもないという流れ。
直後に最後の交代枠を使い(30分)、小松・奥山→和田・韓勇太(ハンヨンテ)へと2枚替え。
新潟もそれに遅れて3枚替え、秋山・高木・谷口→高・小見・矢村に交代しました。

盛んに高木とポジションチェンジを繰り返し、フィニッシュを量産していた新潟・伊藤、これ以降はトップ下で固定という配置となり。
35分に小見のドリブルがエリアからすぐ手前という位置で岩手・牟田の反則を生み、絶好の位置(中央やや左寄り)で直接FKを得て蹴りにいったのはその伊藤。
放たれたシュートはゴールバーを直撃と、3点目(個人では2点目)は決められずも、最後まで岩手サイドに脅威を与える存在となり得ました。

終盤を迎えた事で、岩手が乱戦気味に好機を掴む流れに。
38分にFKからの流れで、クロスのこぼれ球をエリア内に残っていた牟田がシュートするもゴール左へと外れ。
42分には後方から甲斐が縦パスを入れるとそのままオーバーラップ、繋ぎを経て加々美の左サイドからのクロスをファーサイドでヘディングシュート。(GK小島キャッチ)
岩手らしい、DFの選手の得点力を発揮せんとしましたが惜しくも実らず。

結局2点差のまま迎えたアディショナルタイム。
交代で入ったシマブク(松田と交代)に決定機が訪れ、後方からの素早い攻めを経てシュートを放つ(GK野澤セーブ)という具合に、新潟のクオリティが目立った展開は最後まで変わらず。
岩手にさしたる好機が生まれないまま時間が過ぎ去り、試合終了の時を迎えました。

残り10試合をきり(といっても試合中止が相次いでいるので最大11試合)、残留争いを強いられるクラブはそろそろその覚悟が必要な時を迎え。
このままのスタイルを貫く選択を採った(と思われる)岩手ですが、この日の圧倒された試合内容然り、レベルアップを図らなければ今後J2の舞台を戦うのは厳しいといった感じであり。
それを磨く場がJ2かJ3かはまだ不透明ですが、転換期を迎える時は来るでしょうか。

コメント
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