※前回の岡山の記事はこちら(9節・琉球戦、3-3)
※前回の群馬の記事はこちら(13節・横浜FC戦、3-3)
<前節からの変更>
岡山=3人を入れ替え。まず宮崎智彦が今季初スタメンに抜擢され左サイドバックに入り、前節同ポジションの成瀬は右SBへ回り河野が外れる。その他はボランチの片割れが佐野→喜山、左サイドハーフがチアゴ・アウベス→木村。宮崎智に留まらず、ベンチには疋田がメンバー入りと、今季の初物を取り入れて臨む。
群馬=11人とも不動と、連戦終了を実感するスタメン。(ちなみにベンチメンバーも不動)ただしyahoo速報によると、3-4-2-1気味だった前節から4-4-2へと戻している……との事だが、元来攻撃時は3バックへ可変するチームなので真偽の程は不明。
7戦無敗を記録するなど見た目上の順位こそ4位に着けている岡山ですが、勝利した8節・山形戦が再試合の扱いとなったため気分的には未だ混戦の中。
そして前節(千葉戦・0-1)は後半アディショナルタイムに勝ち越されての敗戦で連戦を締める事となり、再出発といった感じでこの試合に挑んだでしょうか。
一方の群馬、前回観た際は首位・横浜FC(当時)との壮絶な戦いで引き分けに持ち込んだものの、本来はロースコアの試合をモノにしていくチームであり。
2得点以上挙げた試合は5戦あり、僅か1勝に留まっている(1分3敗)というデータが面白く、自分達の土俵に持ち込むか否かがカギとなっています。
岡山は木山隆之監督が試合前インタビューで「ビルドアップの所を見直した」と熱く語っており、試合が始まると早速ボール保持からの攻撃を見せていき。
前半6分ゴールキックを短く繋ぎ、ヨルディ・バイスの縦パス→ステファン・ムークのポストプレイをスイッチとして長いパスワークを展開。
時折ミドルパスも交えつつ、右サイドからエリア内右へのスルーパスに走り込んだ本山のクロス、逆サイドへ流れるも拾った木村が再度クロス。
中央で田中雄大がヘディングシュートを放ち(GK櫛引キャッチ)、主体的な攻撃でファーストシュートを生み出します。
2センターバック(バイス・柳)が距離を取り、間にGK金山が前に出て関わるか、ボランチが降りて来るかの2択という基本線の最終ライン。
これにより両SBに高い位置を取らせたい意図は窺えましたが、上記の好機の後は群馬のディフェンスもあり中々ボールを運べず、結局はデューク狙い・裏抜けを狙ってのロングパスの2択へ傾倒していく事となります。
一方の群馬もビルドアップには拘りを持ち、右SBの小島が前に出る右肩上がりのお馴染みの形が基本線。
長短のパスを使いボールを前に運ぶ事で、多く得たセットプレーで優勢の流れを作ります。
15分の右コーナーキック、キッカー岩上のクロスの跳ね返りを山中がダイレクトでシュート。(枠外)
21分には岡山・宮崎智の反則で得た右サイドからのフリーキック、ここも岩上のクロスの跳ね返りを山中が拾い、左サイドを突破してクロス。
ファーサイドを狙ったボールをGK金山が弾くも、こぼれ球を山根がボレーシュート(枠外)と脅かし。
次第にフィジカルに特化した岡山ディフェンスの穴を突くように、群馬が攻撃権でも有利を取っていき。
相変わらずセットプレーでは、ショートコーナー・ロングスローフェイントなど変化を交えて好機を作っていき、プレッシャーを与え続けます。
時間が進むにつれて不利を悟ったか、岡山は31分に最終ラインからビルドアップの際、宮崎智が中央に張っての組み立てを見せ。
それまでも偽SBっぽい動きを何度か見せていた宮崎智ですが、ここでは明らかに中で構える変節を取っていたのが印象的でした。(ここでは彼を囮にして裏へロングパスを送るも繋がらず)
それにつれて逆サイドの成瀬も、偽SBのように右ハーフレーンでのプレーが目立っていき。
39分にムークの縦パスから右サイドで組み立て、ムークのエリア内右への浮き球のパスに成瀬が走り込み、繋がらずも右CKに持ち込み。
このCKにはキッカー2人を立たせるなど、相手をインスパイアするかのように変化を付ける岡山。
宮崎智のフェイクから田中雄がクロスを入れ、ニアサイドで本山がヘディングシュートを放つも枠を捉えられず。
この岡山の変化もあり、逆に劣勢に陥った群馬。
42分、城和のラフなロングパスから好機を作り、セカンドボールを右サイドで拾ったのち小島が中央へパス。
これに加藤がシュートにいくも空振りし、左へ流れたボールを山根がダイレクトでシュートしますがゴール右へと外れ。
針穴を縫うように好機を作ったものの先制はなりません。
その後も岡山が押し込み、43分にはセットプレーから柳が、ATには流れの中からミッチェル・デュークがヘディングシュートを放ち。(前者は枠外・後者はGK櫛引キャッチ)
デュークやバイス・柳を中心としたヘディング砲台で脅威を与えつつ、前半を終えます。
共に交代無く迎えた後半、まずは群馬が右サイドをスローインで漸進していく流れを作り。
これが我慢の展開の始まりを示すシーンだったでしょうか。
それを切った岡山がCK攻勢に持ち込むも決定打は放てず。
後半7分に群馬が反撃、田中稔也の裏へのミドルパスがエリア内を突き、受けた加藤のマイナスのクロスを中央で内田が合わせシュートするも岡山・柳にブロックで防がれ。
一歩も動かず足下でシュートを止めたその柳の姿は、その豊かなフィジカルもあり「そんなものは利かん」と言っているかのように写りました。
その後右サイド奥でスローインを連発する流れに持ち込んだ群馬ですが、最後は平松のGK金山への反則で終えてしまい。
12分の岡山、右サイドでムークのパスを受けた田中雄、前進ののちスルーパス送るとムークが走り込み。
エリア内で受けたかに見えた所を群馬・畑尾に倒され、反則の笛が鳴りましたが主審(上村篤史氏)の判定は僅かにエリア外でPKとはなりませんでした。
結局これで得たFKからはシュートを撃てずに終わり。
前半のように、主体的な組み立てからでは中々好機を作れなくなった岡山。
時間が進むにつれ、ハードワークを徹底する群馬の方に針が振れてきたという格好でしょうか。
そして完全に流れを変えたのが21分で、敵陣左サイドでの攻防からこぼれ球を巧く繋いだ群馬、山根が受けて抜け出さんとした所を岡山・柳がバックチャージ。
たまらず反則となり警告を受けた柳、そのフィジカルに全振りするかのようなディフェンスの弱点を突かれたように映り。
これで得た左サイドからのFKはシュートに結び付かずも、以降攻撃権を支配していく群馬。
そして26分に得た左CK、キッカーは岩上。
ニアサイドにインスイングのクロスを入れると、クリアに入った岡山・木村は触れずゴール前に。
GK金山にとってはまさに「急にボールが来た」という格好となり、弾ききれずにボールはゴールに吸い込まれ。
岩上本人も狙っていなかったと思われるCKからの直接ゴールとなり、先制に成功した群馬。
まさかの形でリードを奪われた岡山、キックオフの前に3枚替えを敢行。
ムーク・喜山・成瀬に代えて川本・ハンイヴォン・河野を投入、田中雄がボランチに・木村が右SHへそれぞれポジションチェンジして試合は再開されます。
しかし流れは変わらず、その後も群馬の攻勢は継続され。(29分に田中稔→奥村へと交代)
岡山はパスミスからピンチを招くなど、反撃したくても出来ない状態に追い込まれます。(32分に木村→白井へと交代)
そして33分の群馬、押し込んだのち相手クリアを拾った岩上がミドルシュート、ブロックされるも尚も繋いで右サイドで前進。
小島がクロスを上げ、ブロックに当たるもエリア内右へと入ったボールを収めた加藤、奥に切り込んでシュートしましたが角度無く僅かにゴール左へと外れ。
直後の34分にも奥村がミドルシュートを放ちGK金山がセーブするなど、果敢に2点目を狙いにいった群馬。
何とか反撃の流れを作りたい岡山ですが直後の35分に好機到来、バイスのボール奪取で自陣から前へ運び、ハンイヴォンのドリブルで一気にアタッキングサードへ。
そして彼のミドルパスを受けた白井がエリア内右からシュートするも、コース上に居た川本に当たってしまい跳ね返り。
運も味方に付けられない岡山、ビハインドのまま終盤を迎える事となり。
37分に両者選手交代、岡山は本山→疋田。
群馬は山中→渡辺へと交代し、これで3-4-2-1へと布陣を変える、ハッキリとした5バックのシステムを採ります。
これにより岡山も押し込む流れを作れましたが、群馬にとって得意分野である「ロースコアでの逃げ切り」という流れでもあり。
圧力を掛け続けるもののシュートには辿り着けない岡山。
そしてATも目前になった44分、内田が痛んだのもあり群馬は残っていた交代枠を使用。
内田・加藤→高木・北川へと交代、奥村がボランチに回り内田の穴を埋めます。
しかし直後に投入された高木が岡山・疋田への反則で、FKから好機を作る岡山。
二次攻撃で本山のエリア内へのロビングをデュークが落とし、走り込んだ疋田がシュートにいくもミート出来ず、尚もCKへと移り変わり。
ここでもクロスの跳ね返りを疋田がシュート(枠外)と、久々の出番で積極的に狙いにいった疋田でしたが、デビュー戦(初出場初得点)のような結果は叩き出せず。
ATに突入し、白井が空中戦で群馬・奥村に反則を与えてしまうと、白井の方が激高してしまい警告を受けるなど焦りが色濃く表れ。
群馬は後は細かなミスが無ければ逃げ切れるという展開でしたが、そのミスを岡山・ハンイヴォンが突き、トラップミスを拾って左サイドからエリア内へと持ち込む絶好機に。
しかし群馬の必死なネガトラを受け、中央へと流れての苦し紛れのシュートとなってしまい(枠外)モノに出来ません。
結局0-1のままスコアは動かず、勝ち点3に辿り着いた群馬。
得点こそ偶然の産物でしたが、狙い通りのゲームを演じて6試合ぶりの勝利となりました。