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DAZN観戦 2021年J2リーグ第38節 FC琉球vsツエーゲン金沢

2021-11-10 16:09:27 | サッカー視聴記(2021年J2)

※前回の琉球の記事はこちら(33節・甲府戦、0-1)
※前回の金沢の記事はこちら(32節・新潟戦、1-0)

28節からの7戦で1分6敗と、急転直下で完全に昇格争いから脱落してしまった琉球。
特に34節・愛媛戦での敗戦(0-1)は堪える物があったようで、樋口靖洋監督の解任劇にまで発展する事となりました。

前回観た際は、これまでの「ボール支配しての主体的な攻撃」がほぼ色あせてしまっていたようなサッカーが露呈。
ロングボールに傾倒・まだ崩しきれていないうちからのクロスという攻撃が目立ち、自身の持ち味が失われつつあったような出来でした。
キープしていた上位から段々と下落していく中、サッカーの質自体も低下していってしまったのが丸解りで、昇格が潰えたとあっては解任も仕方ない事だったでしょう。
事後処理というべき、今シーズンの残りを請け負ったのはコーチから昇格した喜名哲裕氏。
清水の突然の契約解除(規律違反との事)というアクシデントもありましたが、サッカーの建て直しを図るのに必死なようです。
就任後の3試合で警告7度(上記の7試合では6度)と、球際の強さを重視する傾向が成績からは目立ちますが、果たしてその実態は。

前半3分の琉球、岡﨑のロングパスが池田に通ってから右サイドでパスを繋ぎ、スルーパスに金井が走り込んでグラウンダーでクロス。
これがブロックされ右コーナーキックとなり、キッカー風間宏矢がニアサイドへクロス、こぼれた所を武田が拾ってエリア内からシュート。(ブロック)
続く5分は左サイドで作ったのち、富所がエリア内右へとロングパス、そこに走り込んだ金井が折り返しにいくもミート出来ず。
上下動激しいベテラン・金井の動きに、彼がこの試合のキーマンとなる予感がしました。

以降、ボールを支配し最終ラインから繋ぐ攻撃を展開する琉球。
その予感通りに注目する動きを見せていたのは右サイドバックの金井で、樋口監督時代には見られなかった、「サイドバックの片側(金井)が残る」最終ライン3枚の基本形を取ったうえでのビルドアップ。
今までとは斬新な形に、金沢サイドもプレッシングを躊躇する立ち上がりとなり。(2トップはボランチへのコースを切りつつ構える)
マークされるボランチを余所に、サイドハーフ(右=風間宏矢・左=茂木)が降りて受ける事で、余裕でボールを回す事に成功していました。

一方の金沢はそんな琉球の攻撃を凌ぎつつ、隙あらば縦に速い攻撃で反撃を試み。
12分には庄司のロングパスが直接エリア内を突き、走り込んだ大谷がシュートしますがGK田口がキャッチ。
ポゼッションとカウンターのぶつかり合いという様相で、平常運転の金沢に対し、失われていたものを取り戻したという格好の琉球。

それでも攻撃権を支配している琉球の方が、強みを発揮する場面が多く。
18分には右サイドで金井がスルーパス、風間宏矢が一旦は奪われるも取り返して攻撃継続し、彼のエリア内へのパスを受けた武田がエリア外へと戻し。
後方から富所がミドルシュートを放ちますが、惜しくもゴール左へと外れ。
そして21分、今度は左サイドで沼田がボールを持ち、一旦はパスがブロックされるも富所が繋ぎ。
池田のキープを挟み、フリーになった沼田がダイレクトでクロスを上げると、中央で風間宏矢が足で合わせシュート。
ここしか無いというピンポイントのクロスを、ゴール右隅ギリギリというこちらもピンポイントなシュートで、見事ゴールに仕上げた風間宏矢。
琉球が先制、と同時に前半の飲水タイムが挟まれます

こうなると主体的な攻撃を強いられるのが、リードされた金沢。
しかしブレイク明けは、プレスを嵌めるシーンを目立たせて逆に攻撃権を支配していきます。
28分には大橋のパスカットから、右サイドでエリア近辺を突くパスワークを経て、松田のクロスをファーサイドで丹羽がヘディングシュート。(GK田口キャッチ)

そして31分右サイド深めで丹羽がボール奪取して攻める金沢、エリア内右を突いた大谷が中央へ送り、平松が入れ替わってシュート。
これを琉球・金井がスライディングでブロックするも、シュートを止めたのは広げるように残された左腕という事で、ハンドの反則。
PKとなったうえ、シュート阻止による警告も受ける事となりました。
キッカーは丹羽が務めたこのPK、ゴール左に蹴り込まれたボールにGK田口は反応出来ず、同点に追い付いた金沢。

得点で勢い付く金沢、尚も35分に丹羽がドリブルで持ち込み、エリア手前右からシュート。(ブロック)
39分には左サイドでのパスワークから、後方から大橋の上げたクロスを中央で大谷がヘディングシュート。(枠外)
45分には大橋のスルーパスが右サイドの金子に渡り、彼のパスを受けた藤村がエリア内に切り込んでヒールパス、そして金子がシュート。(GK田口セーブ)

琉球の新たな形にも慣れを見せ、プレッシングを機能させていた金沢。
結局琉球はボール支配率で圧倒しながらも、フィニッシュの数で上回られるという、ポゼッションスタイルの負の形をデータ上で描く典型例となった前半。
1-1のまま終了となり、後半を迎えます。

ともに選手交代は無く火蓋が切られた後半戦、金沢が相手のパスミスを突いて先制攻撃。(後半2分)
大橋のミドルパスを受けた平松がエリア内左へ進入し、奥からマイナスのクロスを入れ、DFに当たった所を金子がシュート。(ブロック)
しかし以降は琉球がボール支配する流れとなり、6分には左CKから、クロスがクリアされた跳ね返りを拾った茂木がミドルシュート。(ゴール左へ外れる)

前半とは打って変わって、金井が最終ラインに留まる形は既に無く。
オーソドックスにボランチが降りる事で3枚を形成する体制へと変えていた琉球。
そんな中金井が再び注目の動きを見せたのは7分で、右サイドで受けると中央方向へと持ち運んで左へと展開。
その流れで左サイドへと動いてパスを受けるという、新たなムーブメントを見せた金井。
結局この攻撃はシュートに結び付きませんでしたが、後半も琉球の攻撃権支配に一役買ったでしょうか。

迎えた9分、ルーズボールを中央で拾った茂木がドリブル、前進とともに中央→左ハーフへとレーン移動。
彼から受けた富所も、左ハーフ→中央へと移動したのちに斜めの縦パス、受けた風間宏矢がエリア内右でキープ。
そして戻されたボールを、彼の兄である風間宏希が果敢にミドルシュートを放つと、豪快にゴールネットを揺らしたボール。
ハーフスペースをふんだんに使う、琉球らしい攻撃が戻りつつあったという印象の勝ち越しゴールでした。

以降も攻勢が続く琉球、12分にはCKから、ショートコーナーを受けた茂木が左ハーフレーンからミドルシュート。(GK白井セーブ)
13分にも右サイドのスローインからパスを繋ぎ、エリア内右を突いた風間宏矢のクロス、クリアされたのち富所がペナルティアークでボールキープ。
こぼれた所をまたも茂木がシュート。(GK白井キャッチ)
やりたい放題になってきた琉球の攻撃。
ビルドアップの形も最終ライン3枚の一列前に、中に絞った金井が(ボランチ1人と共に)張るなど、色々斬新なシーンが見られ。

流れを変えたい金沢は、上記の琉球のシュートの間の13分に金子→嶋田へと交代。
右SHに入った嶋田、以降右SBの松田との連携で好循環を齎し。
14分に細かいタッチで切り込む嶋田からスルーパス、走り込んだ松田がライナーでクロスを入れ、中央に走り込む大谷。
その前でGK田口がパンチングし、弾かれた所を丹羽がシュート。(枠外)
19分には右サイドで松田と嶋田がパス交換、最終ラインへと戻したのち再度受けた嶋田がエリア内へとロングパス。
裏を取った大谷、ダイレクトでシュートを放ちましたがゴールバーを直撃してしまい、惜しくもモノに出来ず。

一方の琉球は、17分に武田→シティチョーク・パソへと交代。
風間宏希・茂木然り、このパソや後に投入されるハモン然り(樋口前監督が)勝利を追及するにつれ、出番を減らしたり新戦力の発掘が疎かになったりしていた所を改善しようという采配が目立つ喜名監督。
投入されたパソのボールキープを起点に、金沢エリア内を突く攻撃を繰り返していく以降の琉球。
その一方で22分には風間宏矢が金沢・平松に対するスライディングで反則・警告を貰ってしまうなど、この日も球際の激しさが顕著なシーンも露わに。

25分に飲水タイムが挟まれ、少しでも勝ち点を得ておきたい金沢にとっては正念場の第4クォーター。
センターバックの庄司もドリブルで持ち上がるシーンを作るなど、全員で攻め上がり。
28分に大谷・平松→瀬沼・杉浦恭平へと2枚替えし、何とか同点を狙いにいきます。

琉球は32分にパソがシュートを放ったり(ブロック)したものの、以降受けに回る事を強いられる展開に。
金沢の右サイドの跳梁を阻止するべく、36分に沼田・茂木→鳥養・ハモンへと、左サイドの2人を揃って交代します。

以降も右サイドを軸に突破を図る金沢ですが、人数を掛けて守る琉球に対し中々有効打は放てず。
40分に左CKからの二次攻撃で、エリア内左奥から松田が角度の無い所からシュートを放つも、GK田口がキャッチ。
43分には右サイドで松田のスルーパスを受けた嶋田が低いクロス、ニアで丹羽が合わせるもシュートにはならず。
44分に最後の交代カードを切る(松田・丹羽→長峰・力安、杉浦恭がFWに回る)も、次第に得点の可能性は萎んでいき。(琉球は45分に風間宏矢→赤嶺に交代、池田が右SHに回る)

やはりボールを持たされる展開になると、サイド突破からのクロス攻撃ぐらいしか攻撃の手段が無い金沢。
アディショナルタイムに突入し、渡邊の左サイドからのクロスが直接ゴールを襲う(上へ外れ)場面もありましたが、最後までゴールは奪えず。
最後は直接フリーキックから時間を使う展開へと琉球が持ち込み、金沢陣内で試合終了の笛を聴く事となり。
2-1で無事に逃げ切り、勝利を挙げました。

これで琉球は喜名氏就任以降の4戦で2勝1分1敗と、何とか建て直し。
サッカーの内容やメンバー起用といった面でも修正が図られている様は、求められているものは軌道修正である節が窺えます。
来季に向けて……とは気が早いとともに、判で押したような表現ですが、好循環を持ってシーズンを終えたい所でしょう。

コメント
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