※前回の町田の記事はこちら(27節・金沢戦)
※前回の山口の記事はこちら(38節・千葉戦)
※前回の両クラブの対戦はこちら(21節)
Jリーグが白熱する一方で、この時期に行われる重要な試合が、地域リーグチャンピオンシップ。
今年も先週にその予選が全国3か所で行われ、JFL昇格を目指した最後の戦いが凌ぎを削っています。
自分も昨年、函館で行われた予選A組の1試合を観に行った経験があります。(北海道十勝スカイアースvsブランデュー弘前FC・0-5)
いきなり話は脱線しましたが、この日町田のホームで行われた試合。
非常にピッチ上の選手・監督の声、ないしは観客の野次がしばしば目立ち、ある意味試合内容より印象に残りました。
観衆4千人弱という数がそうさせていたのでしょうが、何処となくのどかな、プロサッカーリーグ的では無い雰囲気を感じました。
町田市立野津田公園の中にある、町田の本拠地・町田市立陸上競技場。
2001年に初めてJリーグの公式戦(川崎vs新潟)が行われた際は、最寄りのバス停からも迷いやすいというアクセスの悪さで話題になった……かどうかは定かでは無いですが、現在は公園までの直通バスが通っている模様。
それでもクラブ公式HPには「地図ぐらい載せてくれよ……」と思ったりもしますが。
そんな立地も、のどかな雰囲気を醸し出すのに一役買っているのかもしれません。
将来の改修予定で今季J1ライセンスの取得には成功したものの、雰囲気作りは容易では無いと思っています。
さて、ライセンスの件とは裏腹に、J2残留を目指した戦いを余儀なくされている町田。
相手は攻撃力が売りの山口で、前半2分、フリーキックから山口のチャンス。
キッカー池上のクロスがエリア内にこぼれ、高井がシュートを放つも町田・平戸がブロック、こぼれ球を菊池が繋いだもののオフサイドでモノに出来ず。
早々にファーストシュートを撃たれた町田ですが、その直後の攻撃。
ロングフィードを左サイドで中島が収め、そこからニアサイドに低いクロスを放つと、受けたのは井上。
ワントラップからシュートを放つと、コースはゴール右に外れていたものの、土居がスライディングでコースを変えてゴールイン。
決して綺麗とはいえないながら、町田が先制に成功します。
その後は前回対戦とは打って変わって、町田のサッカーが冴え渡ります。
ワンサイドアタックにより圧力のある攻撃・守備で、山口は反撃の糸口を掴めず。
前回同様に町田対策でウイングが逆サイドに張っているのが散見されたものの、圧力の強さでサイドチェンジのパスを出せずに苦戦します。
出足の速い守備からチャンスを作る町田。
25分、中盤で李漢宰(リハンジェ)のパスカットから、森村→李浮き球→土居トラップからスルーパス→奥山ダイレクトでクロス、という流れる攻撃で右サイドを突破。
このクロスをニアサイドに走り込んだ平戸が頭で合わせますが、シュートは枠外に。
前半終わり際には山口もペースを掴み始めますが、クロスを上げるのが精いっぱいという攻撃でシュートまでいけず。
アディショナルタイムにようやくコーナーキックから、相手のクリアを高が拾ってミドルシュートを放ちますが、枠を捉えられず。
10戦未勝利という最近の町田の戦績ですが、その内訳はなんと引き分けが7つ(3敗)。
塹壕戦ともいうべき、勝ち点1をしぶとく拾う戦いが続いています。
選手起用を見てみると、FW富樫の名は既に主力からは無く、29節以降は2試合のみの出場(スタメン1試合、しかもこの時負傷で前半に途中交代?)。
ボランチで得点源だったロメロ・フランクは故障で長期離脱と、戦力の噛み合わなさ・喪失という要素が重くのしかかっている感じでしょうか。
開幕前にJ1・マリノスから移籍してきた富樫ですが、その働きぶりはやや期待外れという印象で、彼の重用により前年までの得点源だった中島が(年齢的衰退もあるでしょうが)脇に置かれて停滞したのも痛かった。
夏に獲得した林も殆ど出場無しと、得点源となる選手にこうも誤算が重なってしまっては残留争いに巻き込まれるのも無理はなかった。
シーズンはまだ終わっていませんが、そんな総評が頭に浮かんできます。
後半が始まると、山口がハイペースで攻勢に。
しかしそれでもシュートを撃てずというのは前半終了間際とさして変わりません。
後半4分の高井の直接フリーキックが惜しかったというぐらい。
そして7分、早くも山口は交代カードを切ります。(佐藤→吉濱)
面白かったのが、後半10分頃からの両チームのカウンターの応酬合戦。
町田・井上のクロスをGK吉満がキャッチし、彼のキックから山口がカウンター攻撃。
このボールを敵陣で山下が頭で落とし、拾った吉濱がエリア内に進入するもパスがブロックされ、こぼれ球を高井が拾うもGK増田が抑えます。
すると直後町田側もカウンター、増田のスローイングが平戸に渡ってドリブル、その後右サイドで森村→中島→森村と渡りエリアに迫るもののシュートは撃てず。
その後町田側がパスカット→平戸シュート(DFがブロック)を挟み、再び山口が速い攻めを敢行。
三幸右サイドへのロングパス→池上左へサイドチェンジ→高井受けてドリブルという流れで攻撃も、高井がカットインを図った所、町田・藤井に反則気味に奪われてシュートまではいけません。
その直後町田は再度カウンターを狙いロングパスを出しましたが、オフサイドで攻撃終了。
その後も山口は同点に追い付かんと攻勢をかけるも、シュートまではいけないという流れを変えられず。
17分、川井→田中パウロ淳一へと交代。
高や池上がしばしばポジションチェンジをしたりで、この後の山口のフォーメーション・ポジションは良く解らず。
一方の町田も、22分に森村→ドリアン・バブンスキー(大宮のダヴィド・バブンスキーの弟)へと交代。
何度か敢行していたカウンターに鋭さを加えるためのものだったでしょうか。
それでも大局的な流れは変わらずに時間は進んでいきます。
山口はパスワークで攻めるものの、やはりシュートまでもっていけない攻撃を量産するばかり。
そんな折、途中交代の町田・バブンスキーに見せ場が。
35分にクリアボールを受けて左サイドをドリブル、絶好のカウンターの場面でしたが、山口センターバック・菊池に奪われて攻撃終了。
するとボールを取り返そうとしたバブンスキー、あろう事か後ろからのスライディングで菊池を倒してしまい反則、警告を受けてしまいました。
その1分後、出場停止にリーチが掛かっていた山口・前にも警告。
しかもその内容が、中島のポストプレイを後ろからチャージ(中島倒れる)→奥山がこぼれ球を拾ったため流される→その奥山に対してスライディング(奥山倒れる)と、立て続けに2人を倒してしまうという荒さ抜群のものでありました。
これで2度目のサスペンドで2試合出場停止、つまり残り試合は出る事が出来ず、前の今シーズンは終了という事になってしまいました。
結局試合の方は1-0のまま町田が勝利。
21位・栃木とは勝ち点6の差で、あと勝ち点を1増やすと残留が決まる事となりました。
話変わって、先月にひと悶着あった、クラブ名変更騒動の件。
今季から幅を利かせているスポンサーのサイバーエージェント。
急ピッチでクラブの地力を上げ、前述のライセンス取得までこぎつけたのも、その存在の大きさを実感します。
しかし流石に早すぎたか、クラブの根底を理解しているかどうか不明なこの行動は多くの反発を呼ぶ事となってしまいました。
クラブ名変更騒動といえば山形が記憶に新しいですが、この時も丁度山形が初のJ1昇格を果たしたタイミングで表舞台に出て来ては、批判を浴びて取り止めと言う事態になりました。
ただあの時の山形も、集客が伸びないという危機感の下、名称変更に留まらない改革案が出される予定だったとの事。
それが報道が先行し、しかも名称変更の件だけ大きく取り上げられては批判噴出で終わってしまったという結末となったらしいです。
今回の町田の件も、この日の動員数に表れているような危機感があっての事ならば、オーナーを責める気にはあまりなれません。
ただ「FC町田トウキョウ」だと、FC東京と区別付きづらくなるだけじゃないですかねえ