ぶらりドリブルの旅

ひたすらサッカー観戦がメイン

DAZN観戦 2019年J1リーグ第32節 北海道コンサドーレ札幌vsジュビロ磐田

2019-11-25 19:31:24 | サッカー視聴記(2020年以前)

ルヴァン杯決勝を経験した事で、よりレベルアップした印象のある札幌。
その通りに30節では名古屋を一蹴(3-0)し、31節では優勝争いを繰り広げているマリノス相手に、ノーガードの殴り合いの如き点の取り合いを披露。
敗れはしたものの(2-4)、攻撃力の高い相手に一歩も退かずという今後(翌年以降)に期待を持たせる内容となりました。
そんな状況で迎えた代表ウィークでの中断、札幌は代表選手を5人も輩出(日本以外も含む)するなど、上昇機運は形となって表れている。
そして中断明け、その5人(クソンユン・進藤・菅・チャナティップ・鈴木)を揃ってスタメンに起用する方針で挑んだミハイロ・ペトロヴィッチ監督(以下ミシャ)。

その対戦相手の磐田は、最下位街道をひた走っている今季。
そしてとうとう、この日敗戦すると降格決定という状況にまで追い詰められました。

開幕から指揮を執っていた名波浩氏(クラブOB)は、前半戦最後の試合(17節・川崎戦、1-3)を最後に辞意を表明。
普遍的な低迷クラブの監督交代であり納得できますが、ここからの動きが迷走を極めたのが今季の磐田。
新監督にはヘッドコーチの鈴木秀人氏(クラブOB)が昇格したものの、チーム状況は上向かないばかりか、移籍による選手流出を招いてしまうなど混迷(原因は不明ですが)。
中村(現横浜FC)・小川航基(レンタル・現水戸)・石田(レンタル・現山口)と、J2に活躍の場を移す選手が続発したうえ、ストライカーのロドリゲスもチームを離れる事に。
その穴埋めの補強でも、助っ人3人(ルキアン・ファビオ・エベルシオ)のうちルキアンが辛うじて当たりという程度で、ガンバから獲得した大ベテラン・今野も5試合のみの出場。
八方塞がりという状況のなか、体調不良を理由に鈴木氏は辞任、後任にようやくクラブOB第一という概念を捨てるかのようにフェルナンド・フベロ氏を招聘。
このヘビーな状況に火中の栗を拾うべく挑んだフベロ氏ですが、栗は想像以上に高温だった模様で、就任後も僅か2勝(5敗1分)と低空飛行は変わらず。

この状況で残留出来る方が奇跡、とも言いたくなる現状ですが、それに抗わんとする戦いを続ける事が出来るか。
運命には逆らえないものですが、諦めたら僅かな可能性も無くなってしまう。
そんな崖っぷちの状況の男たちが、昇り調子のクラブに挑みます。

キックオフしてすぐ札幌が攻勢という展開が見え(キックオフ後のロングボールで押し込みに成功、クロスの連続)、それはその後も継続されます。
磐田が必死にブロックを固めるのを余所に、札幌は後方で冷静にパスを繋ぎつつ、隙を探してからのロングボールで仕留めるという攻撃を敢行。
福森・深井とロングパスの出し手に困る事無く、また対の手段として宮澤・荒野の後方から突破できる選手も控えているので、磐田側は対応に難儀します。

磐田の攻撃は前半10分、左サイドバック・宮崎のロングパスをルキアンが落とし、上原がミドルシュートを狙ったのが最初の機会。(枠外)
その後も何度か攻め込みますが、これが札幌サイドの罠と言うべきか。
磐田サイドが前への意識が強まる時を狙っていたのか、立て続けにシュートチャンスが。(意図的かどうかは不明)
20分、深井縦パスの後、鈴木ポストプレイ→チャナティップ→白井と繋ぎ、白井は思い切ってミドルシュートを放つもGK八田がセーブ。
直後の21分にも、福森の右サイドへのロングパスを白井が受け、彼のエリア内右からのクロスを鈴木がヘディングシュート。(枠外)

展開的にここで点を獲りたかったと思われる札幌ですが、奪えずにいると、先制点は磐田に入る事に。
26分にルーズボールを奪った山本がルキアンとパス交換の後右サイドに展開し、松本がクロスを上げると、これが札幌DFに当たり絶妙な位置へ。
走り込んだ藤川がフリックし、流れたファーサイドにはアダイウトンが。
角度が殆ど無い位置でしたが、豪快に蹴り込まれたシュートは鮮やかにネットを揺らしました。
なおこの場面、ルーズボールの要因となった進藤のスライディングが相手に削られ痛むというシーンがあり、キックオフでの再開前に進藤が審判に抗議する一幕が。
代表では出番が無かった進藤、ややフラストレーションを溜め気味という風に映り、これが決着の遠因にもなってしまいます。

良い流れを作っていながらリードを奪われた札幌。
代表参加組のコンディションが良くないのか、その後は攻め込みながらもペースは握れずという展開に。
特に良くなかったのは左WBの菅で、逆サイドの白井が何度もチャンスに絡んでいたのもありますが、殆ど目立てず。
まあ彼には同サイドの福森を生かす使命があるので、何とも難しい立ち位置なのですが。

34分には札幌のコーナーキックから磐田がカウンター。
山本→小川→松本→アダイウトンと渡り、アダイウトンがエリア内からシュートを撃ったもののブロックに遭い枠外に。
そしてそのコーナーキックから逆に札幌がカウンターで反撃、キャッチしたGKクソンユンが、そのまま飛び出してパスを繋ぎます。
それを受けた宮澤が浮き球でパス、白井がトラップして繋ぎ、チャナティップがクロスを上げたもののクリアされます。
相手コーナーキックからのカウンターの応酬というシーンが趣深かったですが、結局0-1のまま前半終了。

後半開始の前に札幌・ミシャ監督も、この日の菅は良くないと感じていたか、ルーカス・フェルナンデスと交代。(白井が左WBにシフト)
一方戦力差の割に良好だったはずの磐田、こちらも大井→大南へと交代。
どうやらベテランDF大井に故障が発生したらしき交代で、未だ若い大南ゆえその後の展開が不安視されましたが、目立った大穴は開かず。

後半も札幌は、現有戦力の全てを生かして攻勢を掛けます。
後半3分にはロペスがダイレクトでシュートするもののGK八田がキャッチ。
以降も札幌は攻め上がるもののシュートまでは持ち込めず。
逆に磐田は10分、札幌の前掛かりな姿勢を見てアダイウトンがロングシュートを狙うなど(ゴール右に外れる)、カウンター気味に札幌ゴールを脅かす姿勢に。

そして後半14分再び札幌が動き、ロペス→ジェイに交代。
ジェイのポストプレイ能力に賭ける采配を魅せたかと思うと、さらに19分に白井→中野に交代と、早め早めに動く札幌ベンチ。
以降暫くは主導権を握った札幌、シャドーにシフトした鈴木がシュートを重ねます。
20分、福森の手前からのクロスに頭で合わせるもGK八田がキャッチ。
24分、右サイドで深井のボール奪取からルーカスがドリブルの後エリア内へパス。
これを受けてエリア内右からシュートを放ちますが惜しくも枠外に。

札幌の交代策を受けた磐田・フベロ監督も、18分に藤川→荒木へ、26分にはルキアン→川又へと交代。
双方早々に3枚のカードを使い切るという試合になりました。
川又投入後の28分、磐田はアダイウトン・川又の力で押し込むもののシュートは撃てずに終わり、逆に札幌のカウンターを受けます。(これも札幌はシュートまでいけず)
以降磐田の攻撃機会は極端に減り、札幌の一方的な時間にシフトという、悪く言えば「引きこもり」状態に。

札幌の得点が生まれるかどうかの展開となり、試合終盤の40分、チャナティップがドリブルで中央を上がってからミドルシュート。
GK八田が辛うじてセーブ、左ゴールポストを直撃という際どい場面を作ると、以降はセットプレー(コーナーキック)攻勢。
そして43分に入るという所での左サイドから、キッカー福森のクロスを深井が頭で合わせる同点ゴール。
ジェイや進藤といった他のターゲットとともに跳んだ密集の中、マークが緩くなっていたのが功を奏した、といった場面でしょうか。

これで同点となった札幌ですが、その意味は磐田の方に重くのしかかります。
同時刻では16位の湘南がFC東京をリードし(その後追い付かれる)、このままでは降格が決定してしまう状況に。
当然攻めなければならないアディショナルタイム、札幌コーナーキックからのカウンターでフリーのアダイウトンにロングパスが送られるものの、収められずシュートに繋げられません。

疲れと焦りがプレーにも滲み出る時間ですが、札幌側も疲労の色を隠せず、何度かあったチャンスを浪費。
するとアディショナルタイムも4分台の中頃、プレスバックして川又がボールを奪った後、荒木・山本とともに左サイドを前進。
中央で受けた松本が縦パス、エリア内で荒木が受けて札幌・進藤をかわす大チャンスに。
ここでかわされた進藤が、あろう事か後方から荒木を抱え込みの形で倒してしまうという、言い訳の効かない反則を犯してしまいPKに。
キッカーは反則を受けた荒木、結果次第で天国と地獄というPKとなりましたが、臆せずに中央へシュート。
GKクソンユンが残した足に当てたものの、ゴールに吸い込まれ値千金の勝ち越し点。

そのまま試合終了まで辿り着いた磐田、崖っぷちで踏み止まる事に成功しました。
思えば27節・大分戦でも、ラストワンプレーでの劇的な勝ち越しゴールで勝利しています。
枯れ際に美しい花を咲かせるかの如く、この日もドラマティックに勝利。

敗れた札幌、これで一桁順位の座も危うくなってきました。(ガンバ・神戸と勝ち点2差)
ミシャ氏は浦和監督時代も、2年目は屈む年のような成績(1年目3位→2年目6位→3年目2位)を描いていますが、3年目の成熟を北の大地で再現させられるか。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする