陶芸工房 朝

アトリエ便りです。どうぞよろしく。

アンチ・ナチュラルファッション ?

2016年02月12日 | 日記・エッセイ・コラム

 1年程前、エチオピアの少数民族スルマとムルシの底抜けに明るくて楽しいナチュラルファッションについて書いたことがある。  *2015.2.9 ナチュラルファッション    彼らは、体に色土でボデイー・ベインティングを施し、身体を植物の葉や花で飾り、装飾物には水牛の角、イボイノシシの歯、サルの皮などあらゆる狩りの収穫物を使う。その素晴らしいアート感覚に思わず拍手を送ったものだった。 

 

 その時の記事が送られて来て読み返し、ふと思った。

同じ少数民族でも、住む場所や、生活形式や、環境によって全く異なるファション?(生活文化)が生まれるのだろうかと。それが民族によるものか、風土によるものか、歴史や文化によるものか、私には判らないが、東南アジアの山奥で暮らす同じく少数民族であるパダウン族のことをご紹介しよう。 

*

  もともとミャンマーとタイの国境近くにはたくさんの少数民族がいた。今もなおそれぞれが独特の文化を守りながら暮らしているが、政府との紛争が絶えないと聞く。 パダウン族もそうした少数民族の一つである。昨今では「首長族」(くびながぞく)の名のもとに観光資源として売り出され、本(ガイドブック)などでも紹介されて有名になった。

写真はタイ・チェンマイ近郊タイガーキングダム近くの集落のお店で、首長族の家族たち。

  この部族がどうして「首を長くする」ようになったかは、次のような伝説がある。

パダウン族の祖先は母が竜、父が修業者であった。二人が出会って結ばれ母は卵を3つ産んだ。最初の1つがカレン族、2つめがパオ族、3つ目がなかなか孵らずそれがパダウン族となった。そこで子が母親を忘れないようにと、竜のように首に首輪を着けるようになった。

実際に、村落には選ばれた女性の首に金色の真鍮の輪をはめ、首をながーく伸ばす習慣がある。首輪は9歳になった時にまず14本着ける。寝る時は輪のつなぎ目が喉の方に来るようにする。痛くてなかなか眠れないが、2か月もすると慣れるという。5年後の14歳の時にさらに5本を追加し、19歳の時にさらに6本を加えて全部で25本とする。出会った女性の首にも25本の輪がはまっていた。                      写真を撮ってもいいものかどうか迷ったが、聞くと気軽に撮らせてくれた。

おみやげに、首に着けるのと同じ真鍮でできたブレスレットを買ってみた(上記写真)。重さは約100グラム。首に巻くのはこの何十倍かであるから数キロの重さになる。実際には首が長くなるのではなく、輪の重みで肩が落ち顎の骨が上がって首が長くなったように見えるのだそうだ。

 山奥の村落が部族の居住地だが、最近ではタイ政府の保護の元「くびなが」を観光資源に、蓆掛けの小屋で手づくりの手工芸品を販売している。男たちは本来の居住地で田を耕し、女性たちが出稼ぎのような形でここで働いているわけだ。

同じ少数民族でもアフリカの文化には太陽のにおいがあるのに、アジアの文化は根が暗い。これをファッションと言うには、あまりにもむごい装飾であるように思える。首に重りを着ける話から思わず連想してしまったのは中国の纏足である。これも陰険なにおいのする文化?である。

どうしてなのだろう?