面白草紙朝倉薫VS安達龍真

夢と現実のはざまで

2005年11月20日 | Weblog
 古いマンションで、自室に辿り着くまで、扉の鍵が三つ必要だ。疲れていたり、酔って帰る時など面倒臭くて仕方がない。友人AとHと食事をして、僕の部屋でコーヒーを飲む流れになった。話が弾んで煙草が切れた.Hが買いに行くことになり「鍵を持っていけ」、と置いたはずのテーブルの上に鍵がない。三人で大真面目に探したが見つからない。A持参の解禁ワインとビールでほろ酔いの三人、へらへら笑いながら探すが鍵は出てこない。夜中も二時を過ぎた頃Tから電話があり、「何をしている?」と聞くから「鍵を探している」と答えると、タクシーで飛んできた。Hは煙草を買いに出かけ、今度はTを加えた三人で鍵を探した。見つからない。キッチン、トイレ、寝室、書斎と広くもない部屋に鍵がない。「どこかに忘れてきたんじゃないかい?」とTがいう。「いや、俺達は鍵を開けて入った」とA。Hが帰ってきて、僕はコーヒーを淹れ、四人でのんだ。五時過ぎ、皆が帰ろうかと言い出した時、テーブルの上に忽然と、まさに忽然と三本の鍵が現れた。Tが言った。「シュレーデインガーの猫だ」今日も眠れそうにない。