浅井久仁臣 『今日の中東』

1971年のパレスチナ初取材から、30有余年中近東を見続けてきたジャーナリストが独自の視点をお届けします。

入植地に活動家が結集

2005年08月11日 | Weblog
 ガザの入植地からの撤退開始を4日後に控え、現地は緊張の空気が走っています。入植者の中には、混乱を嫌って「入植者運動グループ」の撤退を思い留まるようにとの呼びかけにもかかわらず荷物をまとめて退去する者も少なくありません。
 グシュ・エムニムやカッハなどの極右入植者推進組織のメンバー達は、7月13日に出された政府の「部外者のガザ入植地への入域禁止」を無視してガザに潜入しているといわれています。ただ、現地からの情報では、入域禁止といっても境界線における警備はズサンそのもののようで、警備の兵士と笑顔を交わして検問所を通る活動家の姿も見かけられるとのことです。また、それだけではなくイスラエル政府はその後も「訪問許可」を発行し続けているとのことで、ハーレツ紙によると、10日だけで「グシュ・カティーフ入植地」に1040もの訪問許可証を発行しています。
 これを見ただけでも、私が前から書いているように、イスラエル政府の今回の撤退意図は明らかです。ガザからの撤退でもめるだけもめて国際世論の関心を集め、同情を買い、西岸地区からの入植地撤退交渉を有利に進めたいのです。つまり、イスラエルは、「肉(ガザ)を切らせて、骨(エルサレムを含む西岸地区)を絶つ」兵法なのです。

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