浅井久仁臣 『今日の中東』

1971年のパレスチナ初取材から、30有余年中近東を見続けてきたジャーナリストが独自の視点をお届けします。

パレスチナの隔離壁

2007年07月13日 | Weblog
このブログにも使い、私のPCの壁紙にしている写真だ。高いところでは、10メートルの高さに及ぶ。

もちろん、問題は高さではない。農地や家を強奪され、この壁によって人々の生活は機能不全に追いやられてしまった。コミュニティどころかアラブ社会にとって大事な親戚関係をもズタズタにされた。

最近、西岸地区のビリン村で繰り広げられた、壁建設に対する住民たちと世界中から集まり平和活動家たちとの戦いのドキュメンタリーを見た。

一年以上続いた戦いを、日常をイスラエルのジャーナリストが記録したものだ。

食事をしながら見始めたものの、あまりに酷い状況に食べ物を持つ手が止まってしまった。

壁の建設は今も続く。完成すればその距離約600~700キロというから、東京ー大阪間の距離が約500キロと考えればその壁の長さは容易に想像がつくであろう。また、西岸地区が三重県とほぼ同じ大きさだということも考慮に入れていただきたい。

その壁を使って11日夜、両側から壁を画面にしてイスラエルとパレスチナの日常風景を写す催しが行なわれた。共存を訴える試みだという。

こんなことにしか解決の糸口を見出せないまでにパレスチナ人を追い込んだイスラエル政府と国際社会が将来、そんな閉塞状況で育った若者たちに報復されることはまず間違いないだろう。

そんな時、国際社会は名指しでパレスチナ人たちをテロリストと批判するだろうことは目に見えている。

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